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ぼくはアメリカを学んだ

ぼくはアメリカを学んだ

鎌田遵、岩波ジュニア新書、2007

3252冊目


1991年、高校卒業後の19歳、アメリカへ渡る。それ以前に中国や中東などの貧乏旅行をしていた。


ワシントン州につき、語学学校に入学するも、日本人ばかりで一向に英語も向上しない。ニューメキシコ州へ。そこでプエブロ族やラティーノのコミュニティ、エスパニョーラで暮らす。


そこで見たアメリカ社会の辺境。外では差別を受ける人々が自分たちのコミュニティで生きている。その混沌と強さに驚かされる。「差別されるということは、やられたらやられっぱなし」ということ。法律も、何も助けてくれない。


ニューメキシコ大学への入学を志願しても、「高校の時の成績が悪いから」と受け入れてくれない。


1994年、カリフォルニア大学バークレイ校に、これまでのアメリカでの体験と、構造的な差別のない、平和に生きる社会を作りたいという思いを書いて、願書を出す。大学は「アメリカに来てからのあなたの経験を評価する」と言って、入学を許可。


成績が振るわず「強制退学」というような危機も乗り越えて、アメリカ先住民学を学び続ける。一度、帰国するも、馴染めず、学び続けるために、大学院へ進学。


先住民の居留地に核施設を受け入れるユタ州のコミュニティを博士課程でのテーマに選ぶ。同じテーマを選んでいた日本人女性と出会い、結婚。


『ネイティブ・アメリカン』『「辺境」の誇り』など著書多数。


アメリカの辺境での体験ではあるが、彼が今あるのはバークレー校やニューメキシコの短大などの「単線」ではない高等教育システムのおかげであることを考えると、まだまだ懐が深いなあ。日本にいただけなら、確実に「落ちこぼれ」「大学なんか無理」のヒトだったんだから。そして、どんな環境にあっても、「勉強」を続けたことがすごい。

by eric-blog | 2018-12-31 17:45 | ■週5プロジェクト2018

NHK 『耳を澄ませば』

NHK 『耳を澄ませば』

20181230

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2018-12-30&ch=21&eid=30676&f=3373

チャンネル

[総合]
2018年12月30日(日) 午前6:25~午前6:54(29分)

ジャンル

情報/ワイドショー>その他

番組内容

今年亡くなった方の生涯をNHKのアーカイブス映像で振り返る3回シリーズ。第2回は2月に亡くなった2人の「闘う文筆家」。作家・石牟礼道子さんと俳人・金子兜太さん。

出演者ほか

【出演】作家…石牟礼道子,俳人…金子兜太,【語り】加賀美幸子

水俣病患者と家族の声なき声を豊かな方言でつづり、被害の実態を伝えた石牟礼道子さん。代表作「苦海浄土」をはじめ水俣病をテーマにした作品を数多く発表、独自の文学世界を築いた。戦後を代表する俳人のひとり金子兜太さん。季語や花鳥諷詠といった伝統的な形式にとらわれることなく人間や社会の姿を詠み、現代俳句の革新者と呼ばれた。作品を通して現代社会へ警鐘を鳴らし続けた2人の生涯を作品と貴重なインタビューでたどる。


石牟礼さんが10年前に亡くなった杉本さんと晩年に交わした会話を語る。

「杉本栄子さんが、許すというのです。全て許すと。国も許す、チッソも許す、わたしたちのことを下げすんだ人たちのことも全部許す、と。でも美智子さん、わたしはもっと生きたい、と。

この社会で、わたしたちの代わりに病んでいる人たちに許されている。恥ずかしいことだと思います。」

2008228日永眠。


杉本栄子さんについてはこちら。

https://ericweblog.exblog.jp/3216603/



by eric-blog | 2018-12-30 11:33 | ◇ブログ&プロフィール

2018年 今年の三冊

今年の三冊


東京新聞 20181223日 日曜日

20人が選ぶ三冊=60

その中でわたしが読んだものは


進歩

軌道


来年からは書評など、どこで出会ったのかの記録つけないとなあ。


ダブっているもの

ホモ・デウス


ということで59!


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5プロジェクト201842日から始まり、これまで198冊をご紹介。

「今年の三冊」に倣って、三つのジャンルにくくって、本を紹介したい。


■龍の耳を君に

https://ericweblog.exblog.jp/238479849/

『デフ・ヴォイス』の作者が、当事者の体験談や取材も交えて小説にしたもの。木村晴美さんの『ろう者の世界』など、手話関連の本もたくさん読んだ年だった。去年から手話を始めたのに、真面目に取り組んでいなかったのかなあ。バドミントンもそうだけど、スロースターターだな、わたし。

手話の学習を通して、聴覚障害者の問題だけでなく、言語の問題にもより視野が広がったのが嬉しい。

もう一つ、気づいたことは、来年には映画も公開される『こんな夜中にバナナかよ』のように障害を持っている人々の自己表現や自己実現、発達障害や難病患者らの当事者研究という名の自己語りも本当にたくさんあるということ。枚挙にいとまがないほどだ。

これらの出版物は、他者の世界を垣間見せてくれると同時に、当事者とその他の人々の関係性をも広げていく。

当事者と援助者の関係を考察した「援助論」は面白かった。

そして、以下の本を読むと、「援助者と非援助者」の対等性こそが、求められるのだということがよくわかる。「心配事」のない人はいないし、援助者であっても完璧な人間でもなんでもないのだ、という当たり前のこと。


●あなたの心配事を話しましょう 響きあう対話の世界へ

https://ericweblog.exblog.jp/238827566/

●対話のことば オープンダイアローグに学ぶ 問題解消のための対話の心得

https://ericweblog.exblog.jp/238825929/


そして、対話が成立しない二つの世界に分断する力が働いている現実がここにもある。

●新復興論

https://ericweblog.exblog.jp/238882321/

今年の出版ではないけれど、これも同様の問題を描き出している。

●復興ストレス 失われゆく被災の言葉

https://ericweblog.exblog.jp/238693313/

この著者の伊藤浩志さんとは、ぜひお話をしたいものだと思っている。


■日本の分断 切り離される非大卒若者たち

https://ericweblog.exblog.jp/238609251/

実は、今年読んで衝撃だったのはこっちの方。

●下流中年 一億総貧困化  2016年 

https://ericweblog.exblog.jp/238496012/

ひきこもりや万年非正規は実はバブル後の社会が作り出したものだという指摘。もしも、自分がこの世代だったらどうだっただろうかと、衝撃を受けた。そうだ、雇用だとか、職だとかは社会が作り出しているのだ。1989年に始めたERICが、最初は環境教育で、そしてその後人権教育で実績を積んでこられたのも、90年代の地球環境ブーム、2000年代の国連人権教育の10年などの社会の動きがあったからだ。

加えて、「格差社会」は「非大卒の親の子どもは非大卒になる。それが経済格差につながり、経済格差が学歴格差につながる。」の連鎖につながる。今、非正規で働いている人たちはそのまま経済格差の連鎖になるかもしれないのだ。しかも大卒だけでは就職には結びつかないのも現実だ。格差社会は健康格差にもつながる。健康格差の大きい社会は不健康な社会だという指摘もあった。

これらは全て政策の結果なのだ。OECD諸国中もっとも低い教育への公的投資、大企業優遇の経済政策、富裕層に甘い税制、貧困な住宅政策、それらの複合的な結果、戦後70年以上を経ても「うさぎ小屋」から脱することができず、男性や正規労働者の長時間労働は解消せず、さらには女性や非正規労働者も劣悪な経済状況におかれている。

経済大国を誇っていた頃、もっとできたことがあったのではないか。そんな思いがしてならない。

公的な教育投資、収入の1/3を住宅費に当てる必要のない住宅政策、そしてワークシェアリングなどを含めた労働時間の短縮があれば、日本はもっと社会活動が豊かな社会になれたのではないだろうか。

人口減少社会は社会構造の変化を求める。量より質、モノよりサービスの社会への転換だ。その鍵は、社会におけるコミュニケーションの活性化にあると、思う。熟議型民主主義の実践をもっと進めたいものだ。SDGsという国際的な課題解決への道も、そこから始めるべきなのだ。


■トマト缶の黒い真実

https://ericweblog.exblog.jp/238514529/

文明論も面白かった。今年の三冊で古市憲寿さんが取り上げている『進歩』は、今の社会、そんなにひどくないよと、人類の姿を描いているし、ジャレット・ダイヤモンドの文明論も大きな視点からの面白さがある。

一方で、この本のように、新たな問題も生まれている。これまでもナオミ・クラインが描き出したTシャツの物語や、フェアトレードが問題提起してきたチョコレートやコーヒー、バナナなどの列に、トマトも並んだということだ。いや、そこに並んでいない商品はもうないだろうということを、わたしたちはこの本を読んで改めて自覚すべきなのだ。

文明と文化。文化は文明の前で、弱者になりつつある。伝統文化は趣味であり、ファッションであり、消費であり、コズメティックな粧いとして「選ばれる」ものでしかない。そこに生活に根ざした必然はないのだ。

生活の全てが現代の物質文明と貨幣経済によってプロデュースされている今、わたしたちはどう生きるのか。

今年のベストセラーであった『君達はどう生きるべきか』は漫画にもなり、映画にもなるようだが、この人気は一人一人が自らを問い、そして選択していく時代であることを反映しているように思う。


その流れはいまに始まったのではない。


1972年、国連のストックホルム環境会議に、国際社会としてのその萌芽がある。すでに半世紀もの「問いかけ」の歴史が、国際社会にはあるのだ。


その問いかけに応え、ともに「みんなの頭で考える」ために、ERICは生まれた。


生まれて30年、来年、ERICは千石に移転する。人類共通の課題に警鐘を鳴らし続ける「カナリアハウス」として、問いかけ続け、みんなの頭でともに考え続けたいと思っている。


長いご案内になったが、ぜひ、これらの本からの問いかけにともに考え続けましょう。より良い未来への、より良い道、プロセスを歩むために。



by eric-blog | 2018-12-28 17:10 | ■週5プロジェクト2018

ERICニュース623号 2018年12月24日号 SANO報告

◆◇◆◇ 1.  中林調PLTファシリテーター・ワークショップin SANO 「歴史は繰り返す」 ◆◇◆◇


 PLTファシリテーターの資格を持っている佐野高校生たちの小学校での教育実践だとか、プレゼンテーションなどのプレイベントも満載でしたが、しっかり中林調の六本の調査項目の柱についてのワークショップもできました。

 今回、ご報告したいと思ったことは、一点。「歴史は繰り返す」ということです。

 ERICの「学びの三期」を覚えておられますか?

 学びの第一期が、PLTや『ワールド・スタディーズWS』などの「気づきのためのアクティビティ」です。伝えたい概念を学習者中心の参加型アクティビティのコアに据えた実践です。WSでは「知識、技能、態度」を総合的に育てることが大切だと言っています。今の「コンピテンシー」の概念そのままです。気づきのためのアクティビティは「無関心の悪循環」を断ち、そして問題解決のための意欲づけとなることを目指しているのです。

 今、ESD持続可能な開発のための教育が言っていることは「ESD的イシュー」と「ESDのコンピテンシー」のクロスするところにアクティビティやプログラムを構成することですが、ESDは概念の教育であるというように、持続可能な開発のための原則も同時に提言されています。WSが伝えたいこととして「10の基本概念」をあげていたのと同じです。

 つまり、現状のESDは、1980年代の『ワールド・スタディーズ』やPLTを繰り返しているのです。言葉や枠組み、そしてSDGsなどの国際的な共通目標と毛連動しているかどうかなどが、現在の方が、より課題とのリンクが強くなっている点が異なりますが、それが現場に降りたらどの程度の違いになるかは大差ないだろうなあというのが実感です。

 今回のワークショップでわたしたちが気づいたのは、上述のようなESDのあり方が、技能といい、知識といい、高次の思考スキルが求められるものであり、現代が抱える「学習性無力感」や、特に日本社会に顕著な若者たちの自尊感情の低さという問題に答えていないということです。

 ERICが国際理解教育に取り組みだしたとき、社会的課題に対する気づきだけでは、行動につながらない、行動するためには「参加のスキル」の習熟や、それ以前に「無力感」を「効力感」につなげていくような教育的手立てが必要だということを発見しました。それが次の「学びの第二期」につながりました。

 折しも開発教育のテキストライターだったスーザン・ファウンテンさんが「開発教育、環境教育、人権教育などに共通するスキルは幼児期から育てることが必要だし、できる」として『いっしょに学ぼう』というテキストを出しました。このテキストでは、「自尊感情・コミュニケーション・協力」というスキル分野に分けて、育てるためのアクティビティが紹介されています。幼児期から、繰り返し、繰り返し、育てていかなければ、「気づきから行動へ」の社会的問題解決行動には繋がらない。

 あいちESDフォーラムが開催されたとき、NIEDの伊沢さんらが中心になって『自己肯定感を育てるESD』という提言を行いました。本当に的を得た提言出会ったと思います。

https://www.dropbox.com/s/9f9ucp7mlvxywqr/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E8%82%AF%E5%AE%9A%E6%84%9F%E3%82%92%E8%82%B2%E3%82%80.pdf?dl=0


あれから5年。国際的なESDについての議論は、今も高次な思考スキル、問題解決能力に偏っているように思います。「あらゆる機会に、あらゆる人を対象に」と言いながら、「誰も取りこぼしてはならない」を実践できていないように思います。

 これから、ERICの学びの第二期のような主張が出てくることでしょう。高次の思考スキルの発揮の基盤には「わたし」の自己肯定感、自信を育てることが幼児期から必要だということ主張です。

 さらに、ERICの「学びの第三期」は社会的合意形成の方法論でした。ESDの問題解決のためには、合意形成が不可欠です。1990年代に広がった合意形成の方法論、熟議などは、今後も市民社会のツールとして実践され、そして子どもたちもまた、そこに参加することが求められるようになるでしょう。『対立から学ぼう』もそうですが、人間関係における対立から、集団対集団の対立まで、同じ基本が、問題解決のために有効なのではないでしょうか。


歴史は繰り返す。ERICの学びの三期は、これからのESDの発展を示しているのだと思いました。


 中林調の報告書づくり、楽しみです!



by eric-blog | 2018-12-26 13:28 | ERICニュース

働く人のほんとうの健康法 世直し活動は健康にも最高

働く人のほんとうの健康法 世直し活動は健康にも最高

服部真、学習の友社、2018

3251冊目


寿命は病気の有無以上に社会的格差で決まる!

貧困と低学歴・低収入の悪循環


働き盛りの病気は全て労働関連疾患: 不健康習慣も労働関連  30


職場での事故では医療系が一番多い。


過労死を作る脳の仕組み。「大脳皮質がリラックスしようとしても大脳辺縁系が今は緊張・戦闘モードだと判断すると、交感神経がフルパワーで働く」45

「血圧、血糖、脂質を上げ、内臓への血流を止めて筋肉の血流を増やし、出血がすぐ止まるように血を固まりやすくし、傷から侵入する菌を殺すため白血球が増え過酸化物質をばら撒きます。また、脳を興奮させて寝させません。」


日本ではメタボより痩せとストレスが健康問題。49


健康診断と保健指導では健康を改善できない。54


つまり、職場における安全第一と健康経営が健康の鍵。


Sense of Coherence SOC ストレッサーが加わっても、それによって桜れた錦地用状態の処理に成功すれば、より健康側に動き、処理に失敗すれば、健康破綻側に動く。79

アントノフスキー理論。



健康を守るには社会を改善するのが大事。99


社会的なつながりが強い人ほど壮年期死亡率が低い。100


別れの時が来るまでは他人や社会との関わりに生きがいを見つけ、日々充実感を持って、毎日30分以上笑って暮らしましょう。



by eric-blog | 2018-12-26 10:10 | ■週5プロジェクト2018

捨てないパン屋

捨てないパン屋

田村陽至、清流出版、2018

3250冊目


パン屋ってそんなもんだよ。大きな窯で焼いている。そして、そんなパン屋は地域の胃袋。必ず人が買いに来る。

トルコの人はガンガン パンを捨てていた。たっぷり買って、昨日のパンはどんどん捨てる。

ピザ屋さんはピデという名の惣菜パンのようなものを窯で焼く。普通のパンも焼く。


しかし、これまで「何回焼くのか」「毎回薪を足すのかどうか」などは気をつけていなかった。窯の中ではいつも端っこの方に炭が残っていたように思うからだ。


しかるに、田村さんところのパン焼き石窯は、一回焼くのに窯を温めるのに2時間、パンを焼くのに1時間、そして灰などをかき出して1時間、ワンクール4時間かかるという。そうすると、たくさん焼こうとすると8時間、12時間労働になるというのだ。


そこで取り組んだのが、大きな窯で一度にたくさん焼く!

そのために、焼く種類は少なくする。


次に取り組んだのが、週の半分はネット販売、半分は店頭販売。


そんなことをして実現したのが一日5時間労働を夫婦二人が。そして週休1日。夏休みは50日。


ヨーロッパにパン屋の勉強に行った田村さん。ヨーロッパに何にも勝っていないとがっくししたという。働き方が違う。

彼らは続ける形を作り出してきたのだ。


その一つがマルシェという生鮮食品が安く手に入る仕組み。


モンゴルの馬乳酒の発酵にも、人間の食のヒントがある。馬乳をそのまま飲めばモンゴルの人も腹を下すという。

パンも発酵によって人間が食べやすいものになったのだ。


モンゴルで伝わるチンギス・ハーンの「城塞都市攻略方法」が心に刺さる。


とても攻めることができないほどの強固な城塞都市があった。ハーンは兵糧攻めをする。食料の補給路を断ち、飢えさせる。上きったところにペスト菌を持っているタルバガンという齧歯目リス科の動物をこんがり美味しそうに焼いて城内に矢で飛ばす。もちろん、城内の人々も危険性を知っている。しかし、飢えには耐えられず、それを食べ、ペストのために全滅したという。139


 いまの日本、自分だけが「伝統」にしがみついて生き残ればいいといワンばかりの「城塞都市」なのではないかと、この逸話を読んで思った。


これからも、「起業」を前提とするインターンを少数ずつ、1年から3年程度の期間を区切って、手伝いを求めていこうと考えているという。


ある地域に必要とされるパン屋として、展開していくことで、「続くパン屋」になる。


その方がネットワークが広がるのだという。


・ソーケシュ製パン

  • λ大葉製パン
  • λ弥栄窯
  • λ丹波の中山大輔、青森の斎藤絢子、長野の大野田哲郎、沖縄の塩見聡史、熊本の奥添朋弘、北海道の中西宙生、らの研修生のネットワークが広がっている。


そして、小麦粉づくりの農業者、加工食品、レストランなど、上流から下流までのつながりもまた広がっている。


十勝の中川さんの「自然無耕起栽培」などもすごいねぇ。


ああ、また、サンフランシスコサワードウブレッドを焼きたくなったなあ。


ところで、著者のパン屋は広島にあるドリアンさん。ま、注文はできないだろうけれどね。



by eric-blog | 2018-12-25 10:13 | ■週5プロジェクト2018

発達障害当事者研究 ゆっくり丁寧につながりたい

発達障害当事者研究 ゆっくり丁寧につながりたい

綾屋紗月+熊谷晋一郎、医学書院、2008

3249冊目


綾屋さん、この本を仕上げた後、日常生活に戻ったのかなあ。


この時、熊谷さんは東大大学院に在学中。初めての出版?


発達障害というか、感覚過敏症である本人が、「感覚過敏」であるということは、どういうことかを細かく描写してくれている。


たくさんの情報があるのだけれど、それらがまとまった形で何らかの行動につながる「したい性」に繋がらないのだと。


お腹が減ったという解釈を構成している身体感覚は何かを、あなたは知っているか? お腹が減ったという身体感覚ボタンは存在しないのだ。低血糖になる、胃のあたりに何だか、凹みを感じる、イライラする、などなど。


情報過多のために決定ができず、動けない。感覚によっては満たすのに互いに矛盾するものもあるのだ!


それをまとめ上げて何らかの行動につなげる「します性」で行動を律するしかないのだと。


そんな彼女が聞こえない子供や手話と出会って、コミュニケーションの言葉によらない手段の獲得とコミュニケーションに課題があることでの共通性の発見に至る。


二人の子供を抱え実家に帰り、負担を軽くするために「脱家事」宣言をし、書くことに可能性を見出した彼女。


どこか『自閉症の僕が飛び跳ねるわけ』の彼と似ているよね。」



by eric-blog | 2018-12-19 16:40 | ■週5プロジェクト2018

オーストラリア・女性たちの脱施設化 知的障害と性のディスーコース

オーストラリア・女性たちの脱施設化 知的障害と性のディスーコース

ケリー・ジョンソン、相川書房、2006

3248冊目


440人の知的障害者が暮らす入所施設、ヒルトップの閉鎖に伴う諸々を、参与観察する機会に恵まれた研究者による本。入所施設はほとんど閉鎖空間。社会との接点がなかった彼女たちの希望と変容の物語。


とても面白いのだが、20ヶ月、何百時間もの観察の結果を「まとめる」ことはできない。


病棟における人間関係。性、日常。


Reflexivity 再帰性。彼女による多様な声の語りは、彼女自身へと帰っていく。

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NHKのハートネットTVの「きょうだい」で取り上げられた障害者の姉とその妹の物語。姉の家と通所施設での大きな違いに驚いた。表情も乏しい家での彼女。仲間のムードメイカー、リーダーになっている施設での彼女。インタビューに答えて施設の職員は言う。「施設は通所者の力を引き出すようにできているから」

? では、家庭はそうではないのか? ????? 家庭は健常の四人家族が住む場所でしかなかったのか? 五人目の彼女は、そのルールや満たされたいことに従うしかなかったと言うことなのではないか。さらに驚いたことは、両親はそのことを知ってかしらずか、驚かなかったことだ。他の二人の子供たちを育てるのと、面倒を見るので精一杯だから? ウーーン。人って、環境でこんなにも変わるんだ。ショック。


そして、この本にはそんな物語が溢れている。




by eric-blog | 2018-12-19 16:23 | ■週5プロジェクト2018

検証 金属バット殺人事件 うちのお父さんは優しい

検証 金属バット殺人事件 うちのお父さんは優しい

鳥越俊太郎、後藤和夫、明窓出版、2000

3247冊目


あとがきに鳥越俊太郎さんが言う。「取材していたある時点から私の問題意識は・・・なぜ、この子は、これほどまでの家庭内暴力を起こすに至ったのだろうか?・・・に移行した。」


全く同じ読後感だ。裁判の中では、究明されるどころか言及すらない。199611月、14歳の政彦くんは、自宅の自室で寝ている時に、父親に撲殺された。1982年生まれか。生きていれば彼自身も親になっていたかもしれない年齢だ。


裁判で姉は言う。14年間の間にはいいこと、楽しいことの方が多かったのだと。殺される前の2年間で、弟を語ることはできない、と。


見たい番組の録画を親に頼む。できていないと暴力を振るう。

買ってきてほしい服やX-Japanのグッズを頼む。期待と違っていると暴力を振るう。

食べ物に難癖をつける。母親を殴る。父親を蹴る。

暴力によって支配される「ピリピリと気を使う」状況が続く。


きっと、政彦くんの14年間も、どこか「ピリピリ」と緊張していたのではないか。最後の2年間はその反動だったのではないかと思えてならない。


真面目な父親。クリニックで「受け止めること」「暴力を止めない」などと指導されるとそのままに実践する。息子に「かばうな」と言われると殴られても庇わず、抵抗もしない。


暴力はエスカレートする。しかし、暴力の後は、「お父さん、チャーハン作ってよ」と、いつもの家族に戻ったりする。


そんな「物分かりの良い」「優しい」父親に対して、父親としての厳しさがないとかの批判も向けられたようだ。父親を支援する会がすぐに結成されたが、父親は、減刑などを望まず、罪を償いたいと言う。


文京区湯島の住宅街で起こった事件。事件が起こるまで、学校も地域も、家庭内暴力に気づいていなかったと言うのも、不気味だ。かろうじて、遊びに来た友人が、政彦くんの親に対する横柄な口利きに驚いたと言うことがあるだけだ。


死んでしまった政彦くんの思いを知ることも、暴力の後の人生を生き直すチャンスも叶わないことだ。


この本は、テレビ朝日『ザ・スクープ』で番組を作ったディレクターと鳥越さんの取材によるものだ。父親は学生運動世代。東大紛争を経験していると言う。戦後民主主義の体現者ではあったが、息子が抱えている課題を共に考える、ともに悩み、迷う道は取らなかった。取れなかったのか。後藤さんは、それを「マニュアル人間」と呼ぶ。



by eric-blog | 2018-12-19 16:04 | ■週5プロジェクト2018

心脳コントロール社会

心脳コントロール社会

小森陽一、ちくま新書、2006

3246冊目



あなたの脳は操作の対象になっている。


Soy Joyのようなアタかみオノマトペとして聞こえる商品名は、・・・音を情報処理する大脳皮質側頭葉の前方と、人間の言葉としての声音の情報を処理する側頭葉の後方との両方を使うため、脳がより活性化しやすい。039


長期記憶、中期記憶、短期記憶の三つの層を刺激するメディア戦略032

『目からウロコの脳科学』富永裕久、PHP2006


正しい判断ができるようになる能力が「教養」、すなわちリベアル・アーツ 029

しかし、日本のすべての国立大学で「一般教養」は抹殺されてしまった。


マインド・マネジメント(フランク・ライツ)の方法は、言葉を操る生きものとしての人間を、言葉を習得する以前の0歳児段階に対抗させ、言語的な思考能力、とりわけ「原因」と「結果」の関係を考える「なぜ?!」という問いかけを放棄させるもの。123


周囲の大人が禁止することを「内在化(内面化)」して、同一視するようになった段階、ほとんど無意識的に働く自己抑制機能のことをフロイトは「超自我」と呼んでいる。イドと超自我の葛藤の中で自我が揺れ動きながら次第に成長していく。125


イメージだけを操作して「快・不快」の二項対立に落とし込むことは「イド」が従っている「快感原則」だけで動くように仕向ける・・・人間の脳への破壊攻撃  


フラング・ライツはブッシュ大統領時代に「地球温暖化」を「気候変動」と言い、「War on Terror」と悪の枢軸国に対する戦争を仕掛けることを可能にした人物。


そのやり方を真似たのが小泉政権。


そのころの新聞の論説などは「日本近代文学研究者という、日本語の専門家である私にとっては、怒り心頭に発するような許し難い日本語の使い方」であるとその詐術を弾劾する。


その時から12年。心脳コントロールで育った子どもたちが成人を迎えるようになる。



by eric-blog | 2018-12-14 11:49 | ■週5プロジェクト2018