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人権研修 二日間 指導者育成

二日間人権研修

201882829 9.5時間研修

10:30-16:00

10:00-16:00


■ねらい:

・人権研修を参加型で指導できる人材育成

・アクティビティ実践

・「行動」から「気づき」への流れを考える

ESDの観点で人権教育を点検する。


■二日間研修の要素

  • λ気づきのためのアクティビティと経験学習
    • ¬アクティビティ実践
    • ¬ファシリテーターの役割
    • λ参加の力、スキルを発揮する機会を全員に
    • λ流れのあるプログラムを体験する
    • λW型学習 テキストを読む
    • λふりかえりと点検の視点
    • λESDの価値観とコンピテンシー
    • λ推進の課題


■二日間研修の構成


第一日

第二日

セッション

10:30-12:00(10:00-)

共通基盤づくり


アクティビティ実践の準備・実践1

セッション

13:00-14:50

流れのあるプログラム体験

アクティビティ実践の準備・実践2

セッション

15:00-16:00

ふりかえりと参加型学習についての学び合い

ふりかえりとまとめ


■プログラムの流れ

第一日

セッション1 共通基盤づくり

1. アイスブレーキング「名前だけの自己紹介」

2. 傾聴

3. 話し合いの心がけ

4. 「わたしの本名は・・・」性的指向、本籍、先祖

5. 「特権」って何だろう? 資料「あなたの属性は有利?不利?」「無限のカテゴリー」


セッション2 流れのあるプログラム体験

1. マイクロアグレッション 攻撃? それとも気にしすぎ? 資料

2. 「言う側/言われる側」両面連想図

3. 日本社会の○△⬜︎

4. つけたい「人権尊重文化」実践力

5. ESDコンピテンシーを育てる


セッション3 ふりかえりと参加型学習についての学び合い

1. 参加型学習の特徴 参加を促進するもの

2. テキスト・リーディング 分担読み 「学習の本質」

3. ファシリテーターの資質と課題

4. 人権研修で伝えたいこと四行文章

5. マゴリス・ウィール「相談の輪」

6. 実践したいアクティビティで仲間づくり

7. ふりかえり



第二日

セッション4 アクティビティ実践

1. 昨日のふりかえり

2. アクティビティ実践の準備

3. プログラム評価の視点

4. アクティビティ実践


セッション5 アクティビティ実践

続き


セッション6 ふりかえりとまとめ



■準備物

  • ¬人権2018資料   pdf. pp.7
  • ¬ファシリテーター・ハンドブックpdf. pp.27
  • ¬資料「あなたの属性は有利?不利?」「無限のカテゴリー」pdf.裏表印刷
  • ¬ちょっとした攻撃性  pdf. pp.2 裏表印刷
  • ¬ESDコンピテンシー点検表 pdf. 1ページ A4
  • ¬アクティビティ実践評価表 pdf. 1ページ A3


■文房具類準備物

  • ¬模造紙 20枚程度
  • ¬マジック 4人一組にした場合に、各グループに3本以上多様な色が当たるように。
  • ¬A4, A3紙 各50枚程度
  • ¬白板 3台以上
  • ¬ホワイトボードマーカー
  • ¬マグネット



■記録

参加者 14


参加者数が30名から40名程度を予想してプログラムを考えていたのだが、当日、14名ということが判明。直前、結構迷ったが、自己紹介のアクティビティの段取りを変えるだけに。

さらに、一日目で「アクティビティ実践の仲間づくり」までを欲張らずに済むのと、「プログラムづくり」のための「四行文章づくり」を取り入れることができたのが良かった。


第一日

セッション1 共通基盤づくり

10:20-12:00

1. ミニレクチャー 「参加のスキル」「社会性と個性の二つの教育目標」

2. 傾聴

3. 話し合いの心がけ 「二日間の学び合いの心がけ」5つ。さらに「尊重する」の具体的行動20


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4. アイスブレーキング「名前だけの自己紹介」

5. 四つの文章、一つはうそ「わたしはほんとうは・・・」性的指向、本籍、先祖

6. 「特権」って何だろう? 資料「あなたの属性は有利?不利?」「無限のカテゴリー」



セッション2 流れのあるプログラム体験

13:00-14:45

1. 参加者はどんな人? フルーツバスケット

2. マイクロアグレッション 攻撃? それとも気にしすぎ? 資料

3. 日本社会の○△⬜︎

4. ノートテイキング

5. 正確に聞く傾聴

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セッション3 ふりかえりと参加型学習についての学び合い

14:50-16:00

1. 流れのあるプログラムふりかえり 

2. 四つの活動形態をふりかえる

3. テキスト・リーディング



第二日

セッション4 アクティビティづくり、プログラムづくり

10:00-12:00

1. 人権尊重文化をチェックする「トランセクト」

2. 12のものの見方・考え方でアクティビティを作る

3. 接続詞で論理トレーニング

4. 人権研修で伝えたいことを「四行文章」で

5. マゴリス・ウィール「相談の輪」

6. 仲間さがし


セッション5 アクティビティ実践

13:00-14:45

1. プログラム評価の視点の共有

2. アクティビティ実践

8. 傷つける言葉

10. 参加者アンケート

11. 4つのコーナー

14. 多数派少数派体験ゲーム

23. 世界人権宣言


セッション6 ふりかえりとまとめ

15:00-16:00

1. アクティビティ実践のふりかえり

  参加者から出された改善点。すごい。

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2. あなたはどっち? 理念を教育的ツールに 


3. 二日間のふりかえり

4. マッサージはメッセージ 褒める、認める


■ファシリテーターのふりかえり

「あなたはどっち」で右側につけていることの方が多いという参加者多数。嬉しい反面、しんどいだろうなあと。

難しかったという意見と、使えるものがあるという意見と。人数が少ないと直接聞けるのが利点であり、また、厳しくもある。




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by eric-blog | 2018-08-30 16:29 | □研修プログラム | Comments(0)

シンギュラリティは近い 人類が生命を超越するとき

シンギュラリティは近い 人類が生命を超越するとき

レイ・カーツワイル、NHK出版、2016

3176冊目


『ポスト・ヒューマン』のエッセンス版。


シンギュラリティとは「技術的特異点」。


人間の存在が、生物的ハードウェアから切り離されて、人間の意識、思考、知恵、情報などのソフトが技術によって永久に保存される可能性が生まれる時点。


著者は、それが2080年だという。


いや、ハードウェアそのものも寿命がのびる。500年、1000年も不可能ではない。


生物、テクノロジーの進化の歴史には六つのエポックがあったという。

エポック1 物理と化学

エポック2 生命とDNA

エポック3

エポック4 テクノロジー

エポック5 人間のテクノロジーと人間の知能の融合

エポック6 宇宙が覚醒する


1042CPSになると、技術的特異点に至る。


ポスト・ヒューマンも読んだけれど、ワカラーーン。


変化は速い、変化は加速するということだけど、その変化の担い手って誰なんだろう? 誰が担い手で、誰がそのテクノロジーのユーザーなんだろう?


その意思決定はどのようになされるのだろう?


?????な読書体験でした。



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by eric-blog | 2018-08-30 14:24 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

「逃げるな、火を消せ!」戦時下トンデモ「防空法」

「逃げるな、火を消せ!」戦時下トンデモ「防空法」

大前治、合同出版、2016

3175冊目


『検証 防空法』などの著書がある大阪の弁護士の方。同窓の人がしっかりとこういう社会性の高い問題にとりくんていると、なんか嬉しい。15歳も違うけど。


当時のチラシや出版物、ポスター、など、写真資料が多数乗せられており、臨場感がある。


焼夷弾(アーサー・ビナードさんの指摘に寄れば、「ナパーム弾」も同じもの)をわずかな防火水槽の水とバケツリレーで消せると思わせたり、消火活動がまず大事と逃げることを禁じたり。その非科学的なこと、人命軽視の姿勢は凄まじい。


まさしく、トンデモだ。


そして、粗末な防空壕で、焼死するなど。馬鹿馬鹿しいとわかっていても、馬鹿馬鹿しいと言えないことが一番怖い。それは現在の「北朝鮮からのミサイル攻撃に対する避難訓練」を拒否できない学校の姿勢にも通じる。


現場では「お上」に従う人々と、その必要性や効果に疑問を持つ人々の間に緊張感があったことだろう。少なくとも、私がその学校現場にいたら、内心穏やかではいられない。


これらの体制は昭和16年ごろから立て続けに形作られる。


昭和1611月の防空法の改正により「逃げずに火を消せ」が罰則を伴う法的義務に。127日、真珠湾攻撃の前日には「退去禁止」を出した。62


一億防空の義務 という表現が踊る。はあああ?


イギリスもナチスの猛攻に対抗し続けたわけだが、チャーチルの演説など、勇猛果敢に立ち向かったイメージがあるが、実相は『猫の帰還』にあるようなことなのだろう。

https://ericweblog.exblog.jp/237529059/


日本の場合は、こちらから侵略戦争を仕掛けている側だから、反撃があるのは当たり前、かなあ。歴史は勝者によって書かれる、とも考えられるが、アジアに対する日本の侵略は歴史的事実だ。


結果、押し戻されての被「空襲」体験となるわけだが、そのような状態で「防空」して戦い続けることの意味がわからない。いつの間に、イギリスと同じく防衛戦争みたいになっているのだろうか?


本土を賭して戦ったものはなんなのだろう?

佐藤賢了陸軍省軍務課長「戦争は意志と意志の争いである。たとえ領土の大半を敵に委しても、あくまで戦争を継続する意志を挫折せしめなければ、このものは結局において勝つのである。」68


昭和15年情報局設置。


きっと、ここ出身の人たちが電通とか作ったんだろうなあ。

ナベツネとかね。


「国権の発動としての戦争」がいかに危ういものであるか。国権の目的のためであれば、領土も人命も顧みられることはないのだから。


日本全国の主要都市が晒された空襲によって、多くの社寺仏閣、古来からの建物が失われた。そこは、石造りのイギリスなどと異なるのかもしれないなあ。


戦後、というのは、建物という観点からも、随分「風通し」が良くなったところから再建されたんだなあ。あまり、イメージできない。それまでの町並みは、もっと「江戸」時代のものを残したものだったのだろうか?



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by eric-blog | 2018-08-30 13:05 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

慟哭 小説・林郁夫裁判

慟哭 小説・林郁夫裁判

佐木隆三、講談社、2004

3174冊目


オーム真理教の一連の事件について死刑囚13人に相次いで刑が執行された。

この小説で取り上げている林郁夫服役囚は、地下鉄サリン事件の実行犯としては唯一死刑を免れ、終身刑を言い渡された。


判決理由で裁判長は、本人が進んで事実を自供していること、本来であれば実行犯に選ばれることのない部門長であったのに、特に松本/麻原彰晃主犯から指名されて選ばれていることが「組織に対する」考慮が背景にあったのではないかと窺われることを挙げている。


在家信者であった林服役囚は、なんと「坂本弁護士拉致事件」をきっかけに、「オーム真理教」はそのような宗教ではないと証明したいと思い、出家することにしたというのだ!


医者である林服役囚は治療省の担当となり、看護師長義兄拉致事件に関わった信者の「指紋」を消す手術なども、地下鉄サリン事件の後、逮捕までの間に行なっている。


家族ぐるみで出家した妻も医師であるが、暴力を振るわれて怖くて従っていたという。


本人は、医師としては患者の信頼も厚く、腕も良い人であった。


1947年生まれ、199043歳で出家。1994年には幹部クラスに。妻への暴力が始まったのはその頃。


オーム真理教の組織では「上」の言うことは絶対。


優秀な人物が、思考停止して突き進んでいった事件。絶対権力者に認められようとする心理的メカニズムが見え隠れする。


さらに、権力者には、地下鉄サリン散布も、自分の指示で行われたのではないような言動もあったと言う。権力と「忖度」の構造に、知性は無力だと言うことか。


『教誨師』堀川恵子、講談社、2014

渡邊普相教誨師の「遺言」。

「人間は背負っていた、いや、背負いきれなかった荷物を降ろして逝く。手渡されたことに気づいた人は、悪人になる。」


「悪人とは己の罪深さを知りながら懸命に生きる人。自らの罪業に気づかない人は善人」。286


渡邊さんは東京拘置所で昭和38年から41年にかけて「仙台送り」と言う宮城刑務所まで死刑囚を執行のために送ることがなかった期間も教誨師を勤めていた。そのために、死刑囚の心境の変化にも気づいた。


日本でも死刑がなくなるかと言う期待すら生まれていた時代。


社会の秩序維持のために人を拘束し、自由や生命を奪う行為をしている社会に生きている以上、罪なく生きることはできない。著者である堀川さんは、「死刑執行を見えない手で支えている私たち自身」が問われていると言う。


オーム真理教の事件。13人もの死刑。関連する事件40以上、死者30名以上、6300名以上のサリン被害者など。大きな事件だったのだなあ。サリンの時はちょうどカンボジアに居たから、実感がないんだけどね。



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by eric-blog | 2018-08-27 12:08 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

ERICニュース608号 2018年8月26日 より

ERICニュース608号 2018年8月26日 より 群馬県立女子大学「地球社会と共生」まとめ




◆◇◆◇ 1. ESDコンピテンシーは身についたかな? ◆◇◆◇


 群馬県立女子大学前期「地球社会と共生」の授業が終わった。最終的には14名が受講。アクティビティ実践は三名一組、地域調査も三名一組で実施。評価は五種類の提出物で行った。ちょっと種類が多いかと思ったが、「書くことで意識化する」ことを狙いました。

1. レポート

2. 論文化に向けた情報ソース・バランスシート

3. コンピテンシー自己点検表

4. 地域調査計画及び実施報告書

5. 今後の行動計画


 レポートはA4用紙で2-3枚程度。内容はほとんどが地域調査についてであった。講義全体を通してのレポートを作成するというのは難しいことがわかった。


■コンピテンシー自己点検の効果?



 今回の受講生には3年生が4名ほどいて、その優秀さに驚かされた。レポートの書き方、提出の仕方などの適切さも、トレーニングされているなあという感じであるが、ものの見方・考え方も随分しっかりしていると思った。内3名は教育実習で3回ほどの公欠があったのだが、よくやっていた。

 同時に、彼らの「コンピテンシー自己評価」の高さにも驚かされた。コンピテンシー自己点検は一ヶ月に一回、合計三回行ったのだが、最終の評価で、レポートや地域調査の取り組みの優れていた彼ら3年生の自己評価がどの項目についても「○」担っていたのだ。

 「○」をつけた理由も記入するようになっているので、それを読むと、これらのコンピテンシーにどのような意味があるのかがしっかり伝わっていることがわかる。レポートや取り組みと自己評価の一致に、感動した。

 三回の集計はこちらからみていただける。皆さんはこの結果をどうみるだろうか?


https://www.dropbox.com/s/5l5gmae0igvmrv4/%E9%9B%86%E8%A8%882018.pdf?dl=0


■アクティビティ実践は生きたのか?

 アクティビティ実践を「プレゼンテーション」と捉えてしまうこともあったが、それでも「ミニレクチャー」「個人作業及びぺア作業による自分の経験との結びつき」「まとめ」というような段階を踏んで、学びの構成主義的アプローチはしっかり取り入れていた。一方で、「学び」の深化を参加型でどうするかという点については、ほとんどのチームに課題が残された。ま、それはファシリテーター養成一般に言えること。


「ねらいはねがい」


アクティビティを行う時に、どこまで「深化」することができるかは、ファシリテーターの「ねがい」の強さによると思う。


人権や環境への思い入れの強さをアクティビティの力にするためには「起承転結」のプログラムの流れの「転」で、どれだけ視点を広げて深めることができるかだとわたしは思っています。そこにファシリテーター自身の気づきと問いの深さが、現れる。


人権については「当事者性」が気づきの深まりのとっかかりになるのでしょうが、「地球環境」については、例えば「うなぎ」の絶滅の問題、「プラスティック」による環境汚染、いまだに収束しない「福島第一からの放射能汚染」、地球温暖化など、当事者性を持ちにくいというのが課題。専門家任せになってしまいがちなものだ。


せめて、今後も、意識して情報を得るようにしてほしい。でも、コンピテンシー自己点検では「地球的な課題のつながり」については「わかる」と評価している学生が半数はいるのだけどね。


前半でのアクティビティ実践が、その後の授業内容にどのように生かされていくかの構造化をもう少し練り上げる必要があるなあ。「12のものの見方・考え方ジャーナル」はうまく使いこなせなかった。



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by eric-blog | 2018-08-24 16:35 | ERICニュース | Comments(0)

部長、その恋愛はセクハラです!

部長、その恋愛はセクハラです!

牟田和恵、集英社新書、2013

3173冊目

セクハラのわからなさを解説したもの。

「気づけない鈍感さ」

「ノー」の言葉を持たない女性、染み付いたサービス精神

喜んでいるように見せて巧みに男性の面子を立ててやり、・・・(マッキノン)96

女性であっても「目上」であれば起こらない誤解が起こるということは、

「鈍感でいられるのは、相手の女性を軽くみる気持ちがあるから」115

「ある程度の年代や地位にある男性たちにとっては、鈍感さは構造的にビルトインされている、つまり組み込まれている」

そして、男性が権力の側にあるがゆえに、セクハラを訴えられた時に、男性陣は男性の側の肩を持つ。  かばう男性たち  166

彼らはやすやすとセクハラの二次加害に加担してしまうのだ。

男性側の自覚と女性の新たなコミュニケーション能力の獲得と、それを認める社会の体質改善の三者が共々に求められるのであろうが、この本は、「どうセクハラの訴えを回避するか」に主眼が置かれているように見えるところが、「加害者に優しい」となるのだろうなあ。


どこか一つだけでは解決にならない。


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by eric-blog | 2018-08-24 14:06 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

「ひきこもり」だった僕から

「ひきこもり」だった僕から

上山和樹、講談社、2001

3172冊目


順調に「優等生」だった中学二年の時、体が異変を起こした。腹痛、便意、頻尿感。40


頭で感じている「落ちこぼれる恐怖心」から、無理に勉強することができなくなった。成績が落ちていく中で、高校は不本意な進学校に行くことになるが、初日のオリエンテーションで理不尽なビンタ攻勢にあい、不登校に。43


その後は大学に進学するも、自分の天職がわからないまま、意欲を持てずに、父親の死によって家族に対する責任感から大学卒業資格だけは取ろうと、7年ほどかけて、阪神淡路大震災の混乱の中、卒業。しかし、就職先についての方針が見えないまま、バイト生活。


小学生の頃からの記憶を細かく覚えていることに驚く。そして、15歳から書き出した日記は28歳頃には200冊を超えていたという。81


ちょっとしたつまづきが、「頑張ろう」という気持ちに反乱する体の奥底につもって行くような感じが、、、記憶の襞から浮かんでくる。 記憶力がいいのも考えものだなあ。身体感覚としてすっきりすればいいのに、と、どうしようもない心と体と意識のバランスに生きている危うさに思う。


エンジンのパワーはあるのに、それをタイヤにつなげるクラッチがうまくはまらない。規格品のクラッチの押し付けはごめんだ。145


「弱すぎて負けてしまった正義」 どこか正義感が強いひきこもりの人たち。しかし、その正義感も社会とどうつなげばいいのか、クラッチが見つからない。


正義だけではない。価値観は保守的だ。足せかにこそ、自分が許せない。151


ある出会いがあって30歳で実家から出る。


お金の絡まない人間関係、その上で職だと、著者はいう。


ひきこもりの人にお金を出しているのは親。親は、自分の望むのではない結果に対しても、お金を出さないと、「親の期待の押し付け」に終わってしまう。そりゃそうだ。でも、それが難しい。


子どもの側には親に負担をかけているという罪悪感がある。そこにすでに葛藤が生まれている。


ひきこもりがどれほど辛いかが、ひしひしと伝わる本である。


原因がどこにあるかはわからないとしながらも、心配性すぎる親、過干渉の親、自立できていない、子どもに依存している親は、こどもからすれば辛いという。


著者の経験からも、学校のあり方、労働のあり方にも人間の生理に反するものがあるように思う。


会社で働いているからといって社会参加しているとは言えないような働き方。183


組織の利益に囲い込まれる働き方。


「いま(いまから)」の部分はp.130からp.234100ページを超えている。


ひきこもりについて、これだけのことを考えてきたことの重さがすごい。






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by eric-blog | 2018-08-24 11:12 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

ヒューマン・ユニヴァーサルズ 文化相対主義から普遍性の認識へ

ヒューマン・ユニヴァーサルズ 文化相対主義から普遍性の認識へ

ドナルド・E. ・ブラウン、新曜社、2002、原著1991

3171冊目


ミードの『サモアの青春』は、文化によって人間の行動は変わるという文化相対主義の例としてこのほんの中で言及されている。


しかし、生物学的な理解が進むにつれて、普遍的人間の特性が解明されてきた。

この本はそれをまとめたもの。


Universal People


確かにミードの観察した「違い」は表面的であったかもしれないが、どの違いが表面的でどの違いが本質的なものかを区別する著者の論調はこじつけのようにも思える。

ヤノマミ族のように、言語の特性そのものが異質である人類のバリエーションも報告されている。

人間とは、生物、環境、時代、社会、文化の総体としてできている。
普遍性と個別性の課題はずっとついて回るよね。

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by eric-blog | 2018-08-22 11:51 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

知性は死なない 平成の鬱をこえて

知性は死なない 平成の鬱をこえて

与那覇潤、文藝春秋、2018

3170冊目


大学の准教授であった時に、うつになり、そこからの回復と今についてのエッセイ。


うつについての誤解を10個ほど。


  1. 1.うつは「こころの風邪」である。
  2. 2.うつ病は「意欲がなくなる」病気である
  3. 3.「うつ状態」は軽いうつ病である
  4. 4.うつの人には「リラックス」をすすめる
  5. 5.うつ病は「過労やストレス」が原因である
  6. 6.うつ病に「なりやすい性格」がある
  7. 7.若い人に「新型うつ病」が増えている
  8. 8.うつ病は「遺伝する病気」である
  9. 9.「カウンセリング」が重いうつに効く
  10. 10.うつ病は「認知療法」でなおる


エーーー、そうなんじゃないの?と思うようなものもある。「こころの風邪」というのは日本独特の言い方らしいが、誰でもなる可能性のあるものという意味ではそうかもしれないが、重度のものもあって、風が治るように、そんなに単純なものではないということ。

のように、「単純化」することは危ない。という「誤解」への警告。


著者は「身体感覚」から日本の民主主義や明治維新を振り返る。

いまの反知性主義も、どこか身体感覚で物事を進めることを求めている。


ほぼ「平成」という時代に字が形成し、大学という現場に過ごして、著者は大学はすでに斜陽産業だという。そして、知識人は敗北したと。


だからこそ、「知性」を再定義する必要があると。15


うつという身体の自己主張。130


自分ということを知性と身体の両方から確認する。それでも知性は死なない。


うーん、この方が回復した気がしないなあ。知識を仕事にすることが強いるアンバランスが、そもそもあるのではないだろうか?



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by eric-blog | 2018-08-20 13:41 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)

ルポ東大女子

ルポ東大女子

おおたとしまさ、幻冬舎新書、2018

3169冊目


「東大女子」という呼称が成り立つのがすでに問題があることを示している。いまだに女性率は2割に満たない。どこかの医大と違って、東大は女性を増やすために家賃補助などの支援策も打ち出しているにも関わらず、だ。


男性が自分より学歴の高い女性と結婚したがらない。そのために東大女子は結婚相手が限られる。専業主婦の道は狭い。しかも彼女たちがキャリアを選べば、共働きとなり、相手も激務をこなしている可能性が高い。必然的に出産・子育ての負担は、女性の側に大きくなる。


もちろん、東大に進学できるような男女は、家族の支えもあってのことである場合が多かろう。きっと子育てにも家族の支援が期待できるだろう。しかも、ダブルインカム、お金で解決できるものは金で解決だ。とはいえ、あくまでも幸運に見舞われれば、であるが。


女性一般に対するバイアスが四つあると、「フェイスブック」は全世界で社員研修で説明する。それらのバイアスに自覚的になり、かつそれを意識的に補正できるようになることが求められている。124



パフォーマンス・バイアス成果に対する

パフォーマンス・アトリビューション・バイアス 成果の理由に対する

コンピタンス/ライカビリティ・トレードオフ・バイアス 能力か好感か

マターナル・バイアス母性についする


男性中心社会では、女性は男性以上の成果を上げなければ認められにくい。

また、その成果も女性自身の実力のためであるとは認められにくい。

能力が高い女性は嫌われる。し、そのために「女性として」好感を持たれつつ、成果を上げなければならない。

母親は良い労働者にはなれない。という思い込み。


これからが無意識的に「ガラスの天井」を補強している。


実際に、今時の東大女子に聞いてみると、「問題を感じたことがない」というらしい。彼女らなりに、すでに個人的に課題をクリアしているのだろう、と著者は言う。


能力と機会とサポートなしでは勉学に励むことなどできない。

わたし自身、大学受験勉強は、米国交換留学から帰国した後のたった半年のことだったが、その期間に勉強に集中できたのも、母親のおかげだ。休暇中には朝六時に起きて勉強し、七時には朝食、昼の12時には昼食をとり、夕食は午後6時。その後、入浴をして、午後9時まで勉強。と判で押したようなスケジュールで勉強できたのも、家族の理解とサポートがあってのことだ。


そのようなことが、多くの東大女子には多少なりともあったのではないか。


「女子」問題は社会問題。


フェイスブックのように、企業をあげて取り組む姿勢が、社会にも求められている。

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by eric-blog | 2018-08-19 14:29 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)