「軍学共同」と安倍政権 多羅尾光徳、池内了、西山勝夫、他、新日本出版社、2017年 3097冊目 日本学術会議の声明も紹介している。安倍政権が急速に軍事化の道を進んでいることに対する危機感から。 最終章「安倍政権下で軍事費はどうなっているか」竹内真 2000年までに49358億円と、1990年代に急激に伸びた後は、ずっと横ばい。しかし、2011年の震災以降は、「東日本大震災復興特別会計」から上乗せされている。 1991年のソ連崩壊で平和な国際秩序に向けて舵を切るべきだったのに、米国の世界的な軍事支配体制の強化の方向に、日本も引きずられている。 2012年の安倍政権誕生から、5年連続で増額となっている。 「科学者を軍事動員する防衛省の研究推進制度」土井誠 そして、西山さんの「15年戦争中の「医学犯罪」に目を閉ざさず、繰り返さないために」 医学界がせん層における医師たちの犯罪を見逃してきたこと、いや、返ってそのことによって出世すらしていることを暴いている。 「軍事研究を加速させる二つの技術戦略と「軍・産官学」体制へと進む動き」河村豊 2016年に発表された『防衛技術戦略』と『科学技術イノベーション総合戦略』。 憲法9条の理念を踏みにじり、専守防衛の枠すらも乗り越える方向を持つ。 北朝鮮と韓国による「朝鮮半島非核化」への動き、北朝鮮は核実験をもう繰り返さないという明言など、これまで安倍政権は「近隣諸国の脅威」を口実に防衛予算を拡大し続けてきた。日本は完全に、アジアの平和外交のリーダーシップを取り損ねている。「蚊帳の外」とまで言われているのだ。 平和憲法の理念が泣くのではないか? 洋の東西を俯瞰する位置、宗教的中立、経済立国の経験、被爆国として発信し続けてきた歴史など、日本は平和外交のためのとてもいいポジションに地位を占めてきたと思う。それはまさしく憲法の前文に言う「国際的に名誉ある地位」であったのではなかったか。 成長ではなく、成熟をとは、少子高齢化した日本社会を見れば、誰もが思うこと。「軍事」という経済や科学技術に対する下手なカンフル剤は、国家をより疲弊させるのではないだろうか? そんなことを、 この本を読みながら思った。残念な国である。 ▲
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| 2018-04-30 17:47
| □週5プロジェクト2018
青年海外協力隊がつくる日本 選考試験、現地活動、帰国後の進路 清水正編著、創成社、2011 3096冊目 協力隊への参加の形態から三分類して、それぞれのカテゴリーから3人から4人の人たちの体験談からまとめたもの。この本のタイトルが示すように、帰国後の日本での活動に重点を置いた人選となっている。 海外協力隊の人たちは帰国後、講演活動を行ったり、学校で話をする機会を持ったりしている。それだけでなく、海外協力活動を体験したことで、視野が広がり、人生の選択肢も広がった人が多いのではないだろうか。 現職参加 退職参加 その他 2015年に50周年を迎えた青年海外協力隊。累計4万人を超える数は、日本人の3000人に一人が活動したことになる。 その活動は、現地にとってだけでなく、日本社会にも影響しているはずだと、編著者は言う。 各国からの要請主義で、どこに派遣されるかは選択することができない。また、開発途上国からの要請が根強い農林水産部門や加工部門、保守整備部門では、日本からの応募者数が満たされないこともあるという。日本の産業構造と、途上国の産業構造にズレが生じているということだろう。 これからは観光業、環境教育などももっと増えるのではないだろうか。 「鏡のような交流」というのが五カ条に含まれていることを初めて知った。 やんばるでアグリツーリズムなどの調査事業の委託を受けていた時に、この言葉を沖縄の人たちとのワークショップで考え出した時のことを思い出した。なんだ、知っていたら、あの「生み」の感動はなかったわけだ。それとも、実はどこかで読んでいて、その記憶から出たものだったのか? やんばるツーリズム三原則は、「鏡としての交流」以外に、「縦と横のタペストリーで魅せる」「広く浅くの経済効果」というものだ。これは、今も、さまざまな開発に当てはまると思っている。 しかし、何処も同じことを「交流」について考えるものなのだなあ。 いまは女性隊員が半数以上になっているのもすごいことだね。 アジア、アフリカ、そして中南米。これまで88カ国以上に派遣してきているという。 経験談を寄せてくれている人たちの経歴の書き方が不揃いなので、派遣時期のばらつきがあるのかどうか分かりにくいが、帰国後の日本での経験が10年くらいというところか。 特に、教育について見ていると、21世紀、明るくなっている気はしない。 のんびりとしたスピードがよく語られている途上国での体験は、協力隊以外でも日本人に広がっているだろうに。体験が息抜きや逃げ道になっているだけで、「鏡」にはなっていないのではないか? https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-10042.php さてはて、何が問題なのだか。 ▲
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| 2018-04-30 17:24
| □週5プロジェクト2018
高校生ワーキングプア 「見えない貧困」の真実 NHKスペシャル取材班、新潮社、2018 3095冊目 高校生になってアルバイトをする。親から小遣いはもらわない。バイトで、自分の昼食代や衣服代、交際費用などは出す。だから平日4時間、休日8時間、二つもバイトを掛け持ちしたりもする。それで月収8万円。 子供のバイト代収入によってかろうじて貧困ラインより上になっている世帯は、何かでつまずくと、脆い。 子供もバイトのせいで授業についていけなくなり、また、経済的負担のために進学を諦める。高等教育への進学は、二重の意味で負担が大きいのだ。 しかも、学費も「借金」に終わってしまう。 最初に放送したのは2006年。その後も続けて報道している。 ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない http://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009010526_00000 感想 http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/workingpoor.html ワーキングプア 努力すれば抜けだせますか? https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20061210 2017年、高校生ワーキングプア https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/91077/1077265/index.html 豊かな国の貧困は、彼女たちの「努力」で見えにくくなっているのだ。 それがいいこととは到底思えない。 ▲
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| 2018-04-27 13:53
| □週5プロジェクト2018
SNSトラブル連鎖 NHKオトナヘノベル 高橋幹子、みうらかれん、金の星社、2018 3094冊目 NHK Eテレの番組「オトナヘノベル」で放送されたドラマの元になった小説。 チェーンワールド SNSで繋がって、「指先から生まれる無責任な会話、不夜城で夜通し繰り広げられるおろかなパーティ」に絡めらとれる心理を描いたもの。 たりない言葉 小学校からの親友が、医学部進学の夢を持ちつつもバスケの部活にもがんばっている。しかし、ある時、母親の一言で「部活やめるかも」とSNSに書き込んできた。事情を知るだけに、「いなくなっても大丈夫。」と書き込んでしまう。そこから始まるスレ違い。本当は寂しい。けれど、夢のために頑張っているなら応援したい。その一言が足りなかった。 ゆがんだ鏡 小学校の頃、「お前顔でかいなあ」と言われた一言をきっかけに、自分の顔が嫌いになった。勝手に撮られてネットにアップされた写真には、自分の嫌いな自分の顔が。身体醜形障害で姉が摂食障害になった友人がそのことに気づき、心配する。そうか、自分のこだわりはとても危ういんだと、気づかされる。 どの物語も、高校生たちがお互いに少しずつ手助けし、自分自身の経験をもとにアドバイスすることで、解決に向かう。トラブルがないことがいいのではなく、それを超えていくことができる力を、彼らは持っているんだと言うことを見せてくれる。 番組も見たかったなあ。 ▲
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| 2018-04-27 13:04
| □週5プロジェクト2018
地域分散型エネルギーシステム 植田和宏監修、大島堅一、高橋洋編著、日本評論社、2016 3093冊目 第8章 省エネの可能性 歌川学さん 省エネは、地球温暖化対策の柱の一つである。地域分散型エネルギーシステムの構築にあたって、過渡期に果たす役割は、より大きいと言える。 かつて、日本は省エネの優等生と言われていた。がしかし、1990年以降は、輸送部門で悪化、省エネ技術は向上したのに、「大型化・過剰機能・オーバースペック等、かえってエネルギー消費を増やす要因もありシステム全体としては省エネが進まなかった。逆に言えば、現在のエネルギー消費には大きな省エネの余地がある。」176 この一文を読んで、吹いてしまった。ポジティブな人だなあ。怒らないのか? 大型化、オーバースペックに走る背景を分析しないのか? そんな傾向を持っている国民に、省エネも、大震災も忘れてしまったように生きている人々に、今更「省エネの余地が大きいよ」などと言うキヤンペーンが成功するとでも言うのだろうか? 環境については分裂症気味なまでに、方針がまとまらない国、社会。 かつて国策がまとまった時には、暴走してしまったことがある国。 どうすればいいのだろうか? 国策で推進すれば過ち、資本主義経済の中で生き残るためには、環境をおざなりにする企業に任せれば、分裂的な行動に終始し、 市民運動はますます行政の手先化、タダ働き、イベント盛り上げかがり化する傾向を強め、 規準庁はぐだくだ。規制が鉄板だと批判され、特区を導入すれば、権力者に忖度するだけのことになってしまっている。 なんで、こんなことになっているの? 政治家、公僕、国民、市民、一人ひとりの価値観がしっかり育っていないからだ。その場限りの風見鶏。原則がないからではないかと思う。 一方で、ずっと、復古主義を狙っている人たちは揺るがないのになあ。 不思議だ。 気を取り直して、この本のクリエイティブな側面も紹介しよう。 分散型エネルギーとは「多様な場所に分かれて立地する比較的小規模なエネルギー」18 四種類の分散型エネルギー ・自家発電 ・再エネ 新エネ ・燃料電池、蓄電池 ・デマンドレスポンスを含む省エネ スマートメーターなどITの助けを借りて「ネガワット」によって、消費者が能動的にピークカットを行うことができる。それは追加発電能力の開発にかかるコストと同等の価値がある。23図もp23 ![]() この本では主に再エネと省エネを取り上げる。らしい。 で、日本の潜在力は・・・ ・再エネは進んでいない ・省エネは停滞している この二つの組み合わせによる分散型エネルギーは地域という括りと親和性が高い。36 歌川さんと同じかよ。可能性は大きいって? 第二部は「再生可能エネルギーをめぐる論点」 コストと課題。 第3部は省エネ。 第4部「新しい社会をつくる」 地域のエネルギー利用特性に合わせて、対策を立てる人がある。それがポリシーミックス。 「人口減少とそれにともなうインフラの再構成の必要、地域再活性化なと、地域にとっての他の分野での課題への対応といかに相乗効果を生み出すことができるか」278 第13章「地域分散型エネルギーがもたらす新しい社会」として ドイツやヨーロッパのコミュニティパワー、エネルギー自立地域づくりなどが紹介されている。 雇用の促進 地域の付加価値につながる など。 ![]() いまの太陽光発電が引っ掻き回している地域の実情を散見するに、「地域」と言うまとまりが、公共的な共同投資に向かうことなく、個別の個人投資家や企業によるコンサルなどによる「競争的資本投下」体質があるのではないかと思われる。 それは、昔で言えば、地域内での足の引っ張り合い、横並び、人権研修で初期の頃にすでに共有された「見栄・因習・陰口」の体質が背景にあるように思う。 その体質改善がなされない限り、あるいはそのような体質などかまっていられないほど、地域が「困っている」状態なのだとの共通理解が確立しない限り、地域分散型エネルギーシステムなど作れない。 あなたの、その地域のことなのだ。 ![]() 山仕事ボランティアをしている地域でも、活動場所を提供してくれていた山主さんが死亡したことで世代交代が起こっている。そうすると、その地域に住んでいない親戚一同までが口を出す事態となり、先代の意向を汲んだ活動拠点の提供という決定は通らなくなったのだ。 山仕事を通じていまの日本の林業や自然環境、木材利用の課題について考えてもらいたいと言う活動の理念は、山主たちを説得するには至らないのだ。活動によって名誉を受けているのはNPOだけではないかと。妬み、やっかみ、足引っ張り。前に進もうと言う意思がない。 信頼のシステムがない日本社会。それが課題なのだ。 そんな地域の課題を見ることもなく、地域から遠いところで、地域のエネルギーシステムを学者が論じているだけでは、未来はないな。 では、大木町やみやま市モデルは広がるのか? 広がるとしたら、その要因は何か? 行政による旗振りとポリシーミックスによるシステム構築なのではないだろうか。「市民発」に限界があると言うのは、「信頼社会」の意思が欠如しているからなのだ。地域分散型エネルギーシステムの構築は、必然的に地域市民社会を育てることになると思う。しかし、過渡期としては「お上」頼みにならざるを得ないのではないか。 そんなことを、この本を読みながら、考えていた。 ああ、懐かしい。「環境基本計画」。それが地域のエネルギー公社などの課題にも答えるべきだったんだよなあ。 ■東京新聞 2018年4月27日 ▲
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| 2018-04-27 10:45
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コレアン・ドライバーはパリで眠らない 洪 世和、みすず書房、1997 3092冊目 今日、映画を観た。『タクシー運転手』。1980年の光州事件の取材に来た外国人ジャーナリストをソウルから戒厳令が引かれた中を連れて行き、連れ帰った実話。2003年、そのジャーナリストは韓国で賞をもらうために来訪。その時の運転手を探したいと。そして2015年の実録インタビューでも、会いたいと。 韓国の「あの頃」がグイグイと描かれる。軍隊、私服の軍隊が情け容赦なくリンチする、殺す。付け回す。 この本の著者は、1979年の弾圧事件のあおりで、海外滞在を余儀なくされ、パリでタクシー運転手を始めたことはすでに次作『セーヌは左右を分かち、漢江は南北を隔てる』でもすでに紹介した。 https://ericweblog.exblog.jp/238454367/ 最初は「賃貸ドライバー」としてタクシーを週借りして、収入を上げていく。月曜日からの一週間、生活のためにギリギリ週7日働き続ける。 いまのセクハラ問題に通じるエピソードが紹介されている。韓国も日本と文化風土が似ているのかもしれない。韓国からのお客様を赤線地帯に連れて行った時に、道にたむろしている女性のお尻を触ったり、キスしようとしたり。女性はそれを許容するはずもなく、連れていってパリの事情もよくわかっている著者は平謝りに謝って、機嫌を取るしかない。著者は、そこでフランスの「職業に貴賎はない」ことの証として、このエピソードを紹介している。「娼婦だから失礼なことをしても許されるだろう」なんてことは通用しないのだ。 そう言うことだよね。ハラスメントなんて、人を馬鹿にしているのだ。福田事務次官のセクハラ暴露のその後の下村元文科大臣、麻生財務大臣、自民党議員らのとんでも発言も、どこまで人を馬鹿にしているのかということだ。 そのことがわからないのが、「力の側」の鈍感さだ。 パリでタクシー運転手をしていて、「嫌な気分」にさせられることが少ないのも、「人として」扱われる、コミュニケーションがそんな風である、と言うことなのだろう。初めてのお客が、「メルシー」と言う言葉とチップ込みの料金を払ってくれた時、うるっときた。絶対忘れない。そして、自分自身もいい対応をしようと三つの心がけを決める。 いい対応は、いい対応によって育てられたのだ。 人権もそうなのだろう。劣化させるのか、それともより良いものに。 ▲
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| 2018-04-25 20:20
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シニア左翼とは何か 反安保法制・反原発運動で出現 小林哲夫、朝日新書、2016 3091冊目 わろた。タイトルに脱帽。 著者は1960年生まれ。彼が観察している「シニア」とは80代あたりか。 水上勉さんの『桜守』を読んだのだが、そこに「大正生まれは、生真面目に生きて、損しているよなあ」と明治生まれが言う場面がある。大きくなった時には戦争で、国家のためとどんどん徴兵されて、初年兵の最前線を担わされて。わたしの父親は、それでも大正14年生まれだから、ギリギリ志願兵で戦争に行った口だが。 左翼かどうかは別にしても「シニアアクティビズム」というのは存在するように思う。新聞の投稿欄だって、シニアオンパレードだし。東京新聞なんて、わざわざ木曜日に「若者の声」を設けているが、見開きの紙面に投稿欄が拡大しているだけだ。 石井部隊の実名を公表するというような動きをしている西山勝夫さんも、シニアだ。 https://mainichi.jp/articles/20180416/ddm/041/040/109000c 第3章は、そのようなシニアの学者たちの動きに焦点を当てている。この人たちは70-80代。名誉教授。 憲法学者たちがこぞって自民党改憲を批判する論陣を国会で張った。 「安全保障関連法案に反対する学者の会」は全国展開。14000人が名を連ねているという。 法律学者 政治学者 歴史学者 社会学者 文学 経済学 理学・工学 無関係な分野などないほどだね。 これまでやってきたことはなんだったのだという思い。 若手が呼びかけ人にならないのは、上の世代に対する「遠慮」とまだ業績もあげていないのに、寄り道するなという叱責があるのではという慮り。 これに対して、50代半ば以上の学者に怖いものはないc!!! あの三田誠広さんも文学者として反対声明を出しているのか。 海外受けを狙っているのか、村上春樹さんも政治的な発言をよくするし。 先頭を切った益川敏英さんの座右の銘は師匠である坂田昌一さんの「科学者は科学者として学問を愛するより以前に、まず人間として人類を愛さなければならない。」100 もう一つのシニア層が「全共闘世代」団塊の世代だ。 第4章は、学生運動ののち、これまでも「左翼」として戦ってきた人々がいま、何をしているか、である。その人たちのノウハウが、シニアの運動に生きているよね。 中年女性の生きがいとして「社会化」「純化」「精神化」という特徴があると指摘した人がいるが、中高年男性も同様なのではないか。左翼化というよりは、社会運動化であり、そして、自らの専門分野を突き進めているという点では、職業人として活躍していた時には十分社会問題化できなかったことに対する補償作用、償いでもあるのではないだろうか。 いずれにせよ、彼らを奮起させたのはSEALDsだ。若者の動きに触発されて、エールを送る。何よりも、昔は「悲壮感」今は「楽しい」のだ。 さて、これから後20年は元気そうなこのシニア世代が切り開く未来はどんなんなんだろう? 「セクハラ」とは無縁な態度姿勢行動を身につけて活動してくれると嬉しいのだけれど。彼らの「学び直し」はあり得るのか?そして、それは中高年女性の課題でもある。 シニアにとって「共産主義」は「実力主義」や「実績主義」に翻弄されがちないまの金融資本主義にひっぺがされるよりは、良いのは事実だろうなあ。
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| 2018-04-25 10:37
| □週5プロジェクト2018
学校でしなやかに生きるということ 石川晋、フェミックス、2016 3090冊目 Weに連載していたものをまとめて、加筆したもの。 だんだんと息苦しくなっていく学校。そこで小さくても声を上げ続けることで人間同士が繋がることができるのではないか。 教員同士が学び合える環境も、せばまっているのかもしれない。「正解」を目指す中で。 学びの場というのは、人として成長する場だと、石川さんはいう。「学びは長い時間の中で行われていくものだ」。完成されて仕事に就く人などいない。89 語り続けること 省察すること 歴史にまなぶこと この三つの力が若手には必要だという。 石川さんの一番最初の担任した中学生。GW明けに学級崩壊。そのころの記憶に色はついていないという。 21のエピソードのキーワードだけ、列挙しておく。石川さんの視点が仄見える。 ちなみに石川さんの担当教科は国語だ。
石川さんは、保育所と中学校の間を行き来する間に、一人一人の生徒が引き受けている生の蓄積を見るのだ。 一人の生徒のために誕生日に学級通信を、一つの詩と一つのエッセイで構成する。 学級にパーティションを持ち込む。board gameやトランプを持ち込む。 宿泊学習で学校外の人の力を借りる。 修学旅行で被災地を訪ねる。 しなやかに、したたかに。 国語が、一人一人の力になっていく言葉につながるといいね。 ▲
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| 2018-04-24 11:59
| □週5プロジェクト2018
龍の耳を君に 丸山正樹、東京創元社、2018 3089冊目 デフ・ヴォイスの続編。 https://ericweblog.exblog.jp/237837126/ 流石に今回は、当事者からの取材やエピソードなども題材にしたという。しかし、すごい。 三つの事件の短編で構成されることで、ろう者の抱える問題の重層性が垣間見えるのは、瓢箪から駒だよね。これ、いい。 手話通訳者の範囲を超えて、語りかけてしまったことを反省して、しばらくは法廷通訳を断るという判断。 そして、同居人が警察官。子どもはどうなる? そして、ろう者を支援する「海馬の家」は? これは続編があるね。 そして、「龍の耳」伝説は、固定されていくに違いない。聾の漢字と龍は全く無関係というのが、漢字の成り立ちの側からの説明のようだが、こちらの物語の方がパワフルだ。そして、中国へと逆輸入されていくに違いない。伝説の始まりだ。 ネットで検索した龍の画像。どうみても、耳はあるのだが。 ▲
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| 2018-04-24 11:00
| □週5プロジェクト2018
地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか 太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来 宮原ひろ子、化学同人、2014 3088冊目 宇宙気候学。というか、太陽の活動が地球の気候にどのような影響を与えているかについての研究が進んで来ていて、この本はその入門書のようなもの。 どうも、タイトルがわかりにくい。「宇宙で」というのは手段と同時に、場所を表すからね。化学同人という会社が、専門家向けの本を出すことが多いせいなのかと勘ぐってみる。「家庭エネルギー読本」も、素人向けかなあ、なんて思う人なので。わたし。 始まりは1997年。あれ? 遺伝子と似ているなあ。 それまで支配的だった「閉鎖系」としての地球という見方が変わったのは、地球に降り注ぐ放射線の量が地球の天気を支配しているという論文が出されてから。2 すでに1960年代にはその可能性が指摘されていたけれどね。 アポロ計画のすべての資料はこちらから。 http://www.hq.nasa.gov/alsj/ 太陽の変動は千年単位であったりするので、過去の気候との関係を知るために年輪が使われる。 1964年に特徴的な炭素14の濃度から年輪の年代を特定する。大気中で行われた核実験によって中性子が大量に放出され大量の炭素14が作られた年。106 サンゴの年輪 湖の底にたい積している地層 日記などの史料 南極の氷 太陽活動の1000年周期が「小氷期」を引き起こした。氷河が前進。124 作物の収穫量が影響されるなど。 地球を知るには、太陽から。太陽を知るには宇宙から。 地球の気候は宇宙的な出来事なんだなあ。 CRISPRよりは実用性がまだまだな感じの、現在解明中の案件でした。 ▲
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| 2018-04-23 13:38
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