カテゴリ:■週5プロジェクト17( 335 )

人をつなぐ対話の技術

人をつなぐ対話の技術

山口裕之、日本実業出版社、2016

3033冊目



いまの日本社会について、そして、学生の質について、大学人の多くが感じていること、考えていることを哲学者として「対話の技術」と絡めてまとめた本。我が意を得たりと膝を打つことしばしば。


そもそも対話とは「価値観が違う他者とのコミュニケーション」なのだ!


まず第一章「対話ができない人たち」症候群の分析。

インターネット上の書き込みはなぜ罵り合いのようになるのだろうか? 質が低くないかと、ネトウヨなどについて感じている人は多いのではないだろうか?


著者はそれらの書き込みが「上から目線の決めつけ」だという。ネトウヨにもアンチネトウヨにも共通しているこの兆候は、そもそも書き込みの動機が「正義感」に発しているせいなのだ。


この本の最後にまとめられている「対話の技術」をここで紹介しておく。

  1. 1.自分から見て、どんなに不正だと思える相手についても、その人なりの立場や感情があるはずなので、まずはそれを理解しようとすることが大切。
  2. 2.それから、問題となる事態を具体的に特定し、それが事実に反する思い込みや、中身のない言葉だけのものではないかを検討する。
  3. 3.人間の思考にはバイアスがかかっていることを自覚する。
  4. 4.自他の要求を明確化することで、争点を明確化する。
  5. 5.要求が事態の改善につながる因果関係を持っているかどうかを検討する。
  6. 6.相手の思考の体系を理解した上で、その問題点を指摘し改善策を提示するような建設的な質問をする。
  7. 7.自分自身の立場を反省する。
  8. 8.事実認識を共有する。そのためには、ネット情報に頼らず、学術的な研究や一次資料を確認する。
  9. 9.共有されている価値観を確認し、価値観同士が両立し得ない場合には、どの程度のところまでが許容範囲なのかについて合意形成する。現実をその許容範囲に収束させるための適切な手段を検討する。


最初に自分の考えがあるのではない。対話の中で「考え」が共同作業で作られていくのである。


この本を読んで、わたしが考えていたことをすでに一冊の本にまとめてくれている人がいることに驚いた。


ドナルド・ブラウン『ヒューマン・ユニヴァーサルズ 文化相対主義から普遍性の認識へ』である。2002年。まだ21世紀の出版だから、知らなかったことも許せるか。図書館に入っていないし、中古品での出品でもお高いよ!


民話に共通性があることを探求した本はすでに紹介した。ブラウンの本も、ぜひ、読むリスト。


と、大切なことをまず書いておいて、次に進もう。


第二節「異論を封じる政治」

ネトウヨだけが「上から目線」なのではない。政治がそうなのだ、と続くところがワクワク。ネトウヨが問題なのは、ネット上で彼らが書き込むことではなく、現政権が彼らが主張に近い政策をしていることが問題なのだと。

「生活保護切り下げ」「韓中との関係悪化」「安保法案強行採決」などなど。20


彼らの「上から目線で対話を拒む態度」。そしてその結果として客観的な根拠のない感情的な思い込みが十分な検討もされないまま政策として実行されてしまう。


安保法案について、憲法審査会に呼ばれた3人の憲法学者が、「違憲」とした。

それに対して自民党側は、「違憲かどうかを決めるのは学者ではなく、最高裁だ」とか、「国民と国を守る責任は憲法学者でなく政治家」などの発言を繰り返した。到底合理的なはんろんとは言い難い。しかも、その後憲法審査会の開催を取りやめた。21


安倍政権下で「上から目線の対話拒否」を恒久化するための制度変更が着々と進められている。制度が変更されれば、政権が変わっても存続していく。24



その一つが、第3節「大学における異論を封じる体制づくり」である。


予算による「改革」への誘導。

予算による支配も「上から目線の対話拒否」の手法である。26


重大な転換は20146月、学校教育法改正によって、教授会の権限が大幅に限定され、学長独裁体制が大学に強要されたこと。26


時の政権によって教育が左右されるような「不当な支配」に服することなく、教育は・・・国民全体に対し直接に責任を負う」旧教育基本法第10条。


そのような大学の「抵抗性」こそが学問のためにも必要であるのに、今の改革はそのような批判的精神を封じる。


独法化から10年間の国立大学運営の実態は、・・・政府による統制の強化と予算削減による病弊化だった。30


論文数は激減。


大学改革は、対話拒否の態度が対話の場そのものを破壊することの最も象徴的な現場だから。35


そして政治家の世襲化が示すように、日本は階級社会に逆戻りしている。


しかし、「トップダウン体制」を強要されると、強要された側は、まずは反発し、・・・主体的に物事にとり組もうという意欲を失ってしまう。それは結局日本の将来にとって大きなマイナスだろう。37



第二章「対話が民主主義を作る」


当たり前のことだが、大切なこと。

1 「民主主義は多数決ではない」

小泉首相が郵政改革を本来「多数決」になじまない問題を選挙に持ち込んだ悪しき例。


個々人は平均して少なくとも50%を超える確率で「正解」を出せる事柄についてのみ、多数決によって高い確率で「正解」を出すことができる。byコンドルセ


自民党改憲草案の問題点として著者が指摘するのは「権利」と「義務」の概念を理解していないところだという。

2011年の草案については、憲法学者の小林節と長谷部恭男が、「憲法そのものを理解していない」と批判している。76


著者は「権利」はルソーの言うように、「基本的人権rightsは人間が人間らしく生きて行くために不可欠のものであって、義務を伴うものではない。」と指摘する。76


duty, claim, obligation, titleなどの整理がついていないのだと。


rightsclaim(請求権)などでは断じてない。


戦後70年「改憲」を党是とする自民党が戦後のほとんどの期間にわたって政権をになってきたにもかかわらず、彼らは改憲することができなかったのである。82



対話が思考力を育て、民主主義を育てるのだ。


「民主主義の本質は多数決ではなく、すべての人が対等な立場で自分の意見を根拠づけて主張し、討議し、お互いに納得できる合意点を探るところにある」116


多面的な見方ができると、感情にとらわれにくい。128


少しずつでも対話による解決を広げて生き、それが対話のできる人、幅広い知識を持って多面的な見方ができる人を育てていき、それがまた対話による解決を広げる、と言う循環が成り立つように努力して行くべだと考える。148


第三章「正しさは人それぞれ」なんてことはない

対話を阻むものの一つに「人それぞれだから」と言う考え方があると著者はいう。学生たちの考え方の根底にあるものだと言う。


それは『心のノート』や『私たちの道徳』にも表れている。

すでに『私たちの道徳』では、権利を「国家が課した義務obligationの対価として国家権力から恵与されるもの」と教えている。171


これらのテキストでは自己分析がよくなされ、「心」重視の傾向がある。心や感情を重く見るために、異なる意見と出会った場合、対立の扱い方を学ばせるのではなく、「正しさはそれぞれ」とかかわらないようにする傾向に行き着いてしまう。  175


思いやりという下との関係、感謝という上との関係、つまりは上下関係しか、『心のノート』は想定していないのだと、小沢牧子は指摘している。

http://ericweblog.exblog.jp/774951/


第四章「対話が正しさを作る」


ここで、著者はスタンフォード監獄実験を引用して、「権力者は暴走しがちで、庶民は盲従しがち」だと。

217


人間の思考バイアス

  • λ確証バイアス
  • λ認知的不協和への対応
  • λ権威への盲従
  • λ正常性バイアス
  • λ傍観者効果


ベーコンの四つのイドラなど、バイアスについてまとめている本が紹介されている。


『人間 この信じやすきもの』ギロビッチ

『心は実験できるか 20世紀心理学実験物語』ローレン・スレイター、2005




[PR]
by eric-blog | 2018-02-20 13:20 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

国家の興亡 人口から読み解く 2020年の米欧中印露と日本

国家の興亡 人口から読み解く 2020年の米欧中印露と日本

スーザン・ヨシハラ他、ビジネス社、2013

3032冊目


2017年に出版された『未来の年表』の衝撃インタビュー。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54304?page=3


タイトルにある通り、「米欧中印露と日本」それぞれの人口動態とそれに至った政策、そしてこれからを分析している。「人口動態それ自体は運命ではない」

帰結なのである。


欧州は、低い出生率と移民の多さで、欧州人口割合が激減する。


インドは中国を抜く。ロシアも少子化、しかも短命で経済も鈍化する。


日本は移民の受け入れが進まず、少子高齢化で人口減少の一途をたどる。そのことが一番大きく影響するのが「国防」である。人口が少ない国が先制攻撃によって有利になろうとすることはあるかもしれないが、日本にとっては以下のような四つの抑制要因が、そのような攻撃の可能性を低めている。

・地理の重要性

・地形が侵攻を阻む

・双方が核を保有している 日本の場合はアメリカの核の傘

・軍隊の能力 日本の自衛隊は予算はでかい。

というように、日中の間にはこれらの抑制要因が全て存在する。113


高齢者は怪獣的政策を好み、核家族は子供を戦闘員にしたがらない。


先進国の兵力展開の選択肢は限られている。比較的安価な低強度対応(対テロ攻撃と巡航ミサイル外交)か、高強度対応(戦略兵器による全面的攻撃) 115


人口減少という圧力の中、日本は国際的なプレゼンスや米国との協力を約束している。


そして、中国の人口動態の混乱(極端な一人っ子政策の余波と、男子願望による比率の歪さ)は続く。


米国の人口動態は有利性を担保する。経済の80%がサービス産業に転換。しかも、全軍志願兵組織は、全米平均よりも若く、学歴も高く、多様なバックグラウンドが入り混じった構成になっている。249


人口と軍事の関係について論じた稀有な本。


技術だのみの限界が、そこにはあるのだ。


先進国の安定も、いよいよ手詰まりになってきている。その中で、米国の一人勝ちが続きそうな分析ではある。



[PR]
by eric-blog | 2018-02-19 17:32 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

AIが人間を殺す日 車、医療、兵器に組み込まれる人工知能

AIが人間を殺す日 車、医療、兵器に組み込まれる人工知能

小林雅一、集英社新書、2017

3031冊目


ドローンという無人飛行攻撃機は、決して人間が遠隔操作しているというようなものではない。照準を定め、航路を決定し、自動航行。人間とAIのコラボだ。


コンピューターの「ディープ・ラーニング」というのは、計算や検索機能のスピードアップによって可能になっているのだが、膨大なパターン学習の結果だ。


まだまだ、変数の多い複雑な環境、突発事態、不規則性に対応する力は弱いが、どんどん改善されていくに違いない。


倫理的な問題も、それなりに答えを出すこともできるようになるだろう。サンデル教授のいうような、「今、この人を救うか、それとも、30人が死ぬ結果避けるか」というような倫理哲学も、計算可能性を秘めている。


いま、医療で起こっている問題は、AIの出す結論に従うと、患者を救うことができるのだが、なぜ、その結論に至ったかのプロセスが「ディープラーニング」ではブラックボックスになっていることだ。「合理的な理由がわからなければ、人命を左右する決断は下しにくい。」56


国会の質疑でも、除雪車などの自動運転について「ぜひ推進してほしい」と雪国の議員が力説していた。災害救助、災害時の自動放送などの可能性の追求なども始まっている。


手話放送も、災害時にCG手話で情報を伝えるように研究が進んでいる。


まだまだロボットが完成していない段階だからこそ、「ロボット、頑張れ!」とロボコンのような競技が共感を持って迎えられている。


しかし、ロボットが可愛い盛りはすでに去り、実際に様々なところでの活用が、国民、市民、人間の総意や合意なしで、それぞれの分野で進んでいるのが現状だ。


人間は間違う存在だが、AIの間違いに、わたしたちはどの程度寛容になれるのだろうか? その間違いの責任はどこの誰に問われることになるのだろうか?


すごい時代になったものだ。人間の学習なんて、ちんたらしたものは、追い越されるよね。人間は、何を学べば良いのだろうか?


■多い事故、喪失

http://ericweblog.exblog.jp/19827458/

■自立型ロボット兵器

http://ericweblog.exblog.jp/17708776/



[PR]
by eric-blog | 2018-02-19 11:46 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

ヒロシマ 増補版

ヒロシマ 増補版

ジョン・ハーシー、法政大学出版局、2003、初版1949

3030冊目


1946年に来日し、取材。6人の主人公たちに焦点を当てて、ヒロシマを描き出したレポートは、雑誌に連載されただけでなく、一冊の本として大ヒットとなった。


それから39年後に、その6人の人たちのその後を訪ね、取材したのがこの増補版。


一読、描き出される人々の名前の多さに驚く。一人の人が覚えている詳細は限られている。能力の高い取材者、調査者を経て、この本はあの時を一人一人の人間に起こったこととして描き尽くしている。


中村初代さん、佐々木輝文博士、ウィルヘルム・クラインゾルゲ神父、佐々木とし子さん、藤井正和博士、谷本清牧師。


6人の物語は、6人の物語でいて、同じような境遇の人たちは戦争直後の日本のどこにもいた。そのような物語として、共感を呼ぶ。


谷本清さんの社会運動にも心動かされるが、神父そして、神父に導かれて入信した渡辺さんら、キリスト教者の姿に、思いが巡る。


彼らが被爆したのはおよそ爆心地から1kmから1.5kmの所にあった教会堂や病院など。


自身も被爆したクラインゾルゲ(高倉)神父は、ある取材にこう答えている。


「もし、誰かが私に、体がだるいといい、そういった男が被爆者だとしたら。そのことは彼が普通の人である場合とは違った感情を私に起こさせます。彼は説明する必要はありません。」152


続いて彼は天皇陛下という言葉が西洋人と日本人にもたらす違いにも言及する。


「犠牲者である人と、そうでない人との場合でも、両者がもう一人の犠牲者について耳にした時には同様の問題があります。」


日本に生きている外国人というアイデンティティよりも、国籍よりも強い共通性を「被爆者」は持つという。


ピア・サポートの重要性はこんな所にあるのかもしれないと思った。


佐々木さんは、クリスチャンの施設で仕事をしながら、被ばくのひどさよりも、戦争の残酷さをこそ、伝えるべきだと感じていたという。



何を語るべきか、被爆者の運動は、そのような共通性を背景に、世界に訴え続けてきたのだろうなあ。


これまで、多くのヒロシマについての本を読んできたが、この本はすごい。


映画『デトロイト』の原作ともいうべきルポの著者でもある。



[PR]
by eric-blog | 2018-02-17 14:05 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

暗闇のなかで

暗闇のなかで

レイチェル・シーファー、アーティストハウス、2003、原著2001

The Dark Room

3029冊目


ナチスの負の遺産を引きずるドイツを三つの物語に分けて書いた作品。(訳者あとがきより)


まだ、戦争中のベルリンを、障害のために憧れの軍人になれなかった男の子、ヘルムートの目を通して描く。


戦争直後の混乱を、親衛隊員だった父の子供達の目を通して描いた「ローレ」。これが映画『さよなら、アドルフ』の原作になっている。



ローレの祖母は、瓦礫の町と化したハンブルグに南方の疎開先から移動禁止命令と占領軍による統制のもとをかいくぐり、やっとの事で帰り着いたローレに言う。「恥だと思ってはいけないよ。両親を恥じてはいけません。」217

「行き過ぎた連中もいたけれどね、悪いところばかりだったと思ってはいけないよ。」


そして、戦後、祖父の過去を知り悩むミヒャ。ベラルーシを尋ねると、そこで「対独協力者」だったという老人に出会う。物語はミヒャエルが期待するように「ドイツ人の支配」という単純なものではなかった。1941年にナチスがやってきて、彼は、通訳を務めた。そして、ナチスと一緒にユダヤ人を殺したと言う。



興味深いのは著者は1971年生まれで、ドイツ人の母とオーストラリア人の父の間に生まれ、イギリスで育ったミックスであること。


アーモン・ゲートの孫娘と、一歳違いでしかない。


最近、ポーランドが、アウシュヴィッツに絡んでポーランドの名誉を毀損するような言説を禁止する法律を作った。


a0036168_17412575.jpg

この本や、アーモン・ゲートの孫娘の本も、確かにナチス高官や親衛隊員、あるいはSSなどであった父、祖父らの罪を知りながら、シングル・ストーリーには収まりきらない物語である。多分、20世紀の間には語り得なかった視点なのだろう。


多様なストーリーが生まれる時代になったからこそ、ポーランドのような決定も生まれるのかもしれない。少なくとも、ポーランドの意図が「シングル・ストーリー」の矯正にはないことを信じたい。いや、というか、無理なのだろう。


それにしても、最近の日本での満州からの引揚者についての本も、著者は女性であるなあ。

a0036168_17391575.jpg


物語の長さと繊細さ、入り混じる感情などへの耐性を、次の世代は全員が持っているわけではないだろうに。ひょっとすると、そこにも分断と二極化が進んでいるのかもしれない。ヘイトスピーチに走るような単純な物語を鵜呑みにする人々と、複雑な、感情的に揺り動かされる物語に耐えられる人々と。



[PR]
by eric-blog | 2018-02-15 17:42 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

食べない、死なない、争わない  人生はすべて思いどおり--伝説の元裁判官の生きる知恵

食べない、死なない、争わない  人生はすべて思いどおり--伝説の元裁判官の生きる知恵

稲葉耶季、マキノ出版、2015

3028冊目


『食べない人たち』という本が2014年に出ている。その中の一人、秋山さんは、100%プラーナで生きているという。人類が皆「不食」という道を実践できたら、すごいことだなあ。


少食から不食へ。無理なくすすめることだと、どちらの本にも書いている。


稲葉さんは、何と渋谷の山手教会を創立された牧師さんのお子さん。1942年生まれ。この本を書いた段階で、「もう30年以上、不食に近い実践をしている」というから、40代からやっているということだ。


東京大学を卒業して、都庁、司法、琉球大、そして再び判事。臨済宗の僧侶となって、インドの仏教大のアドバイザー! と、心のままの経歴の人。


人は、不食、つまり、食べるための時間やエネルギー、コストを削減すると、1. 時間が生まれる、2. お金が要らない、3. 健康になる というのだ。


何と稲葉さんは収入の9割をインドの学校支援に充てて来ているという。


きっかけは、牛が自分の運命を察して涙を流しているのを目にした時。30代。ダイビングをしていて、魚も親しみ深い生き物なのだと思ったから。21


2005年には限りなく少食になっていたが、オーストラリア人女性、ジャスムヒーンさんの『リヴィング・オン・ライト』に出会う。


五ヶ月ほど不食を続け、今は無理なく、玄米菜食を一日一食。


プラーナの摂取率を高めるための8つのポイント。

1.毎日の瞑想

2. 祈り

3. プログラミング

4. 軽いベジタリアンの食事

5. エクササイズ

6. 奉仕

7. 自然の中の黙想

8. マントラ、チャンティング、賛歌の実践


第二章は「死なない」。インドの死に方を見て、自分でときを知り、穏やかに、家族に看取られながら、水だけで、枯れていく。


第三章「争わない」

ガンディーの非暴力主義コソが道なのだと、自分を守るために武装することの無意味さを言います。そして、そのことは、「誰かがいい続けるしかない」と。147


攻撃に対して、幼児の反応で仕返しをしたら、泥沼になる。


巻末に「いまを生きる16の知恵」をまとめている。


1. 川の流れのように

2.自分の中のかすかな息吹を感じる繊細さ

3. 他者と同じ息吹の中で生きていることを感じる

4. 興味のあることに集中する

5. 不安や恐怖を持たない

6. 喜びをもって生きる

7. 感謝を持って生きる

8. 風や太陽や月や星の語りかけを感じる

9. 木や草や花や医師と語り合う

10. 人が喜ぶことを考える

11. 心を静かにする時間を持つ

12. 物を減らしてさわやかな環境にする

13. 天然の環境のもとで少量の食事をする

14. ごみを出さない

15. 金や物や地位が自分を幸せにすると考えない

16. 他者の行き方を肯定する

17.


最後に紹介されている瞑想の手引き、チベット・メディテーションに似ているなあ。


そうそう、第一章は「食べること」です。






[PR]
by eric-blog | 2018-02-15 12:50 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

知立国家 イスラエル

知立国家 イスラエル

米山伸郎、文春新書、2017

3027冊目



各国の民族的多様性と文化的多様性を比較した論文。

https://web.stanford.edu/group/fearon-research/cgi-bin/wordpress/wp-content/uploads/2013/10/Ethnic-and-Cultural-Diversity-by-Country.pdf


イスラエルは74位と高い方である。その原因は大勢の移民によるものだ。


近年、イスラエルのイメージと国力は大きく向上していると、著者は言う。


ハイテク分野での躍進、移民活用による、起業、イノベーションの宝庫だと見られているのだ。


プラス、徴兵制も駆使した徹底したエリート教育。国家のためという危機感が背景にある。


個人主義的なユダヤ人が軍隊で「個を上回る大義」を知る。


また、軍産官学が徹底している。141


イスラエル人の45%の最終学歴が大学卒である。


そして、三つの特性があるという。

・徹底した懐疑と議論

・危機感

・ユーモア


日本とは真逆な文化や特性だが、学ぶべきことはあるのではないかと著者は言う。



[PR]
by eric-blog | 2018-02-14 11:57 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

祖父はアーモン・ゲート ナチ強制収容所所長の孫

祖父はアーモン・ゲート ナチ強制収容所所長の孫

ジェニファー・テーゲ、ニコラ・ゼルマイヤー、原書房、2014、原著2013

3026冊目


プワショフ収容所の所長だったアーモン・ゲートは1946年に絞首刑になった。シンドラーとは同い年で、ユダヤ人をシンドラーの工場で働かせる許可を与えていた。


その時10ヶ月だった娘モニカは、すでに逮捕されていた父親と一度も会うことはなかった。にも関わらず、その影は彼女を生涯苦しめることになる。


精神的に不安定であった彼女は、最初のボーイフレンドで、ナイジェリア人との子どもを養護院に預けることになる。そして、ジェニファーが6歳の時、養親となったドイツ人夫妻との養子縁組を認める。


ジェニファーは知らなかったのだが、養親は実母との交通を拒否。それまでは時々に実母の家を訪ねることがあったのだが、その時、戻って来たジェニファーが不安定になっているのを見ての、養親の決断だった。


シェニファーが生まれたのは1970年、モニカが25歳の時だ。モニカの母、ルート・イレーネ・カルダーは、1943年ごろアーモンと、シンドラーを通じて知り合い、そして結婚を前提とした愛人関係を結び、ユダヤ人の財産を没収して富を築いていたアーモンと、プワショフ収容所の近くの邸宅で贅沢三昧の暮らしをしていた。


しかし、ルートは、病気がちになっていた1983年に、あるインタビューを受けた次の日に、服毒自殺をする。負担になりたくないと理由でだ。そのインタビューでも、ルートは、夫アーモンへの評価を変えることはなかった。悪いのは夫個人ではない。夫アーモンは優しい、いい人だった、と。


そして、ルートはその物語をモニカにも吹き込んだ。プワショフ収容所は労働収容所であって、絶滅収容所などではないこと、父親は無実の罪で死刑になったのだと。


モニカが、その嘘を知るのはティーンエイジになってからであった。彼女は、実家を出ることを選択する。


そして、養子に出した娘、ジェニファーには、何も伝えなかった。ジェニファーは、この本を書くにあたって、何も知らされなかったことを憤りながらも、モニカはモニカで、アーモンの娘としてどう生きればいいかを引き受けるだけで大変だったのだろうと理解をする。


シェニファーが自分の祖父のこと、そして母のことを知るのは38歳。2003年のことだ。たまたま手に取ったモニカの伝記。偶然のことだった。


ケスラー, マティアス 『それでも私は父を愛さざるをえないのです 『シンドラーのリスト』に出てくる強制収容所司令官の娘、モニカ・ゲートの人生 伊藤富雄訳、同学社2008



それから10年の、ジェニファーの軌跡が、本人及びジャーナリストであるニコラの両方から描かれる。とても、わかりやすい構成だ。時に、ジェニファーの記述は、時系列を飛び、不分明であるからだ。


アーモンの孫娘は、イスラエルを訪ね、そしてユダヤ人の親友もいる人間に育ったのだ。


ジェニファーはしばしば言う。「ナイジェリア人のような外見が、ドイツ人であれば責められるような状況でも、免責に役立った」と。多分、そのせいで、ジェニファーはイスラエルを訪れやすかったのだろうし、多分、ドイツ人であることがイスラエルに彼女の関心を向けさせたのだろう。


ジェニファーが「非アーリア人種」の特徴を持っていたことの意味は、次のようなデータを合わせて読むと、その意味の大きさを知ることができるだろう。

https://web.stanford.edu/group/fearon-research/cgi-bin/wordpress/wp-content/uploads/2013/10/Ethnic-and-Cultural-Diversity-by-Country.pdf


西洋諸国及び日本の比較の中で、日本が多様性度最低だと言うのは驚かないが、ドイツも低い方なのだ。


もちろん、そのために、子どもの頃にはいじめられたり、目立ったり、居心地が悪い思いをしたりすることがあっただろうが、養親家族の温かさがそれを補っていたことは、時々に引用される兄弟のマティアスの、彼女を心配する言葉にも見て取れる。


38歳、すでに結婚し、子どもも二人いたジェニファーが、自分自身のルーツを知り、衝撃を受け、それを乗り越えることで、母モニカの世代、ナチス高官の子ども世代よりも客観的にナチス時代を受け止めることができるようになる。個人的な心情とは切り離して。


個人的な感情としては、とジェニファーは言う。祖母はとても好きだったと。祖父が生きていたら、どう受け止めただろうかとも。




[PR]
by eric-blog | 2018-02-14 09:14 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

希望のスイッチは、くすっ

希望のスイッチは、くすっ

脇谷みどり、鳳書院、201120174!

3025冊目



映画『キセキの葉書』とてもよかった。

http://museplanning.co/movie-kisekinohagaki.html


モデルとなった脇谷さんは、1953年生まれ、花のニッパチ、我が姉と同い年じゃん。


13年間で5000枚の手紙。すごい。

くすっと笑える話題を、絵もつけて。すごい文章力だ。



その中から90本ほどを抜粋、編集したのがこの本だ。決して映画の台本でも、原作でもない。


実際のハガキは、裏だけでなく、表の住所を書く面にまで進出している。34文字×13行。=442字。ふむふむ原稿用紙1枚ぐらいなのね。


そして、なんと、2014年に、大分から西宮に両親が引っ越してきたという。

その母も、葉書に刺激されて、原稿用紙一枚ずつに娘時代のエピソードを書き綴り、出版までしたという。


ありゃ、じゃあ、うちの母親もそのぐらいのネタならあるなあ。毎回、帰るたんびに聞き書きしているんだし。


映画の中の言葉に「今のままで幸せになるんだ。のぞみのために我慢したりとか、できなかったんだなんてことは言わない」と言うのがある。


しかし、本の中には、もっとすごい言葉があった。


「ほんとうの幸せ

ずっと前の私は、幸せとは不幸でないことだと思っていた。

でも、今は違う。どんなに不幸になっても、それを必ず幸せな状況に変えて行けることが、ほんとうの幸せなのだと。

(・・・思い通りにいかない。病気になる。など・・・)

なってもいいのだ。なったら治ればいい。

・・・

命には、何があってもそれを幸せに変えていく力がある。」 p.120


すごい。


とは言っても、映画に描かれていた主人公の努力はすごい。

自分の文章を書く力を信じ、子どもたちに向けて、書いた物語をの読み聞かせをして、評価してもらう。

毎日、「くすっ」のネタを探す。そのためには可愛い子供にも一人旅で動物園に行かせる、毎晩2時間おきに吸入が必要な娘のそばで執筆に励む。


寝入ってしまった時に、娘の容態が急変、救急車を呼んだ時には、「こんなことをしているからだ」と書いていた原稿を破り捨てる。


しかし、その破り捨てたものを拾い集め、セロテープで補修するのは息子なのだ。「これは無くしちゃダメなものなんだから」と。


でも、ほんとうの感想を言うと、内容は全然、クスッとも思わないものがほとんどだ。希望からは、遠いんだな、きっと、私は。






[PR]
by eric-blog | 2018-02-14 08:35 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)

雑草に学ぶ「ルデラル」な生き方 小さく、速く、多様に、しなやかに

雑草に学ぶ「ルデラル」な生き方 小さく、速く、多様に、しなやかに

稲垣栄洋、亜紀書房、2013

3024冊目


ルデラルって初めて聞いた。


ruderal


荒地植物という意味らしい。


小石などと同じラテン語の語源。貧弱な土壌およびそこに生きる植物。


イギリスの生態学者ジョン・フィリップ・グライムの植物の生存戦略の三分類。

https://ja.wikipedia.org/wiki/C-S-R三角形


C Competition競争

S Stress toleranceストレス耐性、生育場所の厳しさ

R Ruderal=Intensity of disturbanceが高い撹乱耐性


サボテンはS型の典型。厳しい条件で生きる。


R型がここでいうルデラル。って違うと思うけどなあ。荒地植物はS型なんじゃない? ま、著者とグライムの雑草の戦略のR型に話を戻して。


ルデラルの二つの特徴

・弱者の戦略である  つまり、競争しない。

・逆境の生き方逆境を味方に。


最高の条件では強いものが勝つ。

逆境、予測不能にこそ、チャンスがある。

複雑な局面には多くの勝者が生まれる。


「ニッチ」はそもそも生物学用語だし。


大きいよりは小さい。

素早く、機を捉えて  雑草は育てるのが難しい・・・・そりゃそうだ。83

「大きな成功を夢見れば失敗するかもしれないから、とりあえず小さな成功を目指す。」

踏まれたら立ち上がらない 117


日本の家紋は植物が圧倒的に多い。西洋の紋章は強い動物。


実は、日本人は変化が好きなのではないか?


あ、これはそう思うね。伝統なんて糞食らえだ。でなけりゃ、こんなにスクラップアンドビルドばかりやらないって。





[PR]
by eric-blog | 2018-02-13 13:04 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)