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ERICニュース626号 収活からの収穫 2019年1月13日

◆◇◆◇ 1.  【収活からの収穫】ERIC過去プロジェクトおよび「点検の視点だな」 ◆◇◆◇


可動式書棚の奥、幅1m80cm、高さ1m80cm、四段のたっぷりとした緑色のスチール棚が「過去プロジェクト棚」と呼ばれるものだ。そこには、これまでERICが取り組んできたプロジェクトの記録が、当時の交信、打ち合わせ、当日資料などの有象無象の形で、ファイルされている。


鬼木さんの整理によると、こんな分類になるらしい。


  1. (1)過去プロジェクトその数120以上。https://ericweblog.exblog.jp/239057022/
  2. (2)ERICスタッフが出席した会議や勉強会の資料
  3. (3)ERIC運営関連
  4. (4)主催研修
  5. (5)受託研修

整理しながら、ちょっと、ERICの30年を時代区分してみた。


過去プロジェクトで一番古いのは『ちびっと』という、アイデアハウス時代に編集していた情報紙、1984年から86年発行していたもの。懐かしい!


その次に来るのが「グローバル・セミナー」の時代。テキストの出版と連動して地域セミナーも同時に行なっていたものだ。


95年くらいからは「ガイドブック」や「アクションプランづくり」やワークショップなどの実践的な参加型プロジェクトに取り組みだした時代。同時に「M.E.E.T.ザ・ワールド」など、海外ボランティア派遣にも取り組んでいた。

2000年代は、エネルギービジョン、環境基本計画などの市民参加による町の計画づくり。人材育成研修も多かった時代だ。

https://ericweblog.exblog.jp/239057022/


ERICの主催研修は2000年からTESTも含めて年間6本の定期開催として定着している。それらの内容はレッスンバンクに収録している。定着の時代。営業がいないので、受け身の姿勢でいたら、拡大はないよ、と言う見本のような時代。守りではなかったことは、いつもご紹介している「これまで」の「学び」からも明らか。千石のテラスハウスは、化学物質過敏症にも配慮した選択になっている。


もう一つの重要な棚が、わたしたちが「神棚」と呼んでいる「点検の視点だな」。

https://ericweblog.exblog.jp/239057037/

ESD、地球憲章、アジェンダ、ガイドラインなど、自分たち自身の教育活動を成長させる視点として「ガイディングスター」となり得る出版物を収納している棚だ。久々に「トビリシ宣言」の英語版に目を通して、感無量であった。

いまも「点検の視点」として生きているものをPDF化したのが、このリストである。前回のかくた編集のニュース、623号でも指摘したが、既視感満載のリストではある。


1970年代から、わたしたちはどれほど成長したのだろうか?

わたしたちの実践は、どれほど「地球にやさしく」「人権尊重社会の実現に向けた」ものになっているだろうか?


日々の点検のみが、わたしたちを育ててくれる。


ESDがわたしたちみんなを学び合わせてくれる。


千石のテラスハウスを「カナリアハウス」として今の文明の病を診断しつつ、ERICnextが、社会全体が「学びの共同体」と成長して行くことに、どれほど貢献できるか。


今年、ERICは創立30年。前半15年が田端時代、滝野川時代は歴史の半分の長さを共にしてきたのだ。ありがとう!


1989年-1994年 田端高台時代  グローバル・セミナー時代

1995年-2003年 田端岩瀬ビル時代 人材育成充実時代

2004年-2018年 滝野川時代主催研修、TEST継続時代

2019年-千石時代の始まり 


グローバル・セミナー時代は、テキストの出版や地域セミナーによってネットワークが広がった時代。

人材育成充実時代は、ファシリテーター派遣を中心に、多様な社会的要請に「参加型」という方法論で応えた時代。忙しかったあ。

滝野川時代は、ERIC主催研修時代。人材育成の方法論が定着してきた時代。

そして、ERICnextは、アクティブな生涯学習の実践時代へ。多くの「文明の病」を学びながら、当事者として、そしてアライとして、学びと活動の両輪を展開していければいいなあと思っている。


学びなしで持続可能な未来はひらけない。


ESDteachusALL, Active Life-long Learning. アクティブな生涯学習によって持続可能な社会を実現していきましょう。



by eric-blog | 2019-01-13 10:11 | ERICニュース

ERICニュース623号 2018年12月24日号 SANO報告

◆◇◆◇ 1.  中林調PLTファシリテーター・ワークショップin SANO 「歴史は繰り返す」 ◆◇◆◇


 PLTファシリテーターの資格を持っている佐野高校生たちの小学校での教育実践だとか、プレゼンテーションなどのプレイベントも満載でしたが、しっかり中林調の六本の調査項目の柱についてのワークショップもできました。

 今回、ご報告したいと思ったことは、一点。「歴史は繰り返す」ということです。

 ERICの「学びの三期」を覚えておられますか?

 学びの第一期が、PLTや『ワールド・スタディーズWS』などの「気づきのためのアクティビティ」です。伝えたい概念を学習者中心の参加型アクティビティのコアに据えた実践です。WSでは「知識、技能、態度」を総合的に育てることが大切だと言っています。今の「コンピテンシー」の概念そのままです。気づきのためのアクティビティは「無関心の悪循環」を断ち、そして問題解決のための意欲づけとなることを目指しているのです。

 今、ESD持続可能な開発のための教育が言っていることは「ESD的イシュー」と「ESDのコンピテンシー」のクロスするところにアクティビティやプログラムを構成することですが、ESDは概念の教育であるというように、持続可能な開発のための原則も同時に提言されています。WSが伝えたいこととして「10の基本概念」をあげていたのと同じです。

 つまり、現状のESDは、1980年代の『ワールド・スタディーズ』やPLTを繰り返しているのです。言葉や枠組み、そしてSDGsなどの国際的な共通目標と毛連動しているかどうかなどが、現在の方が、より課題とのリンクが強くなっている点が異なりますが、それが現場に降りたらどの程度の違いになるかは大差ないだろうなあというのが実感です。

 今回のワークショップでわたしたちが気づいたのは、上述のようなESDのあり方が、技能といい、知識といい、高次の思考スキルが求められるものであり、現代が抱える「学習性無力感」や、特に日本社会に顕著な若者たちの自尊感情の低さという問題に答えていないということです。

 ERICが国際理解教育に取り組みだしたとき、社会的課題に対する気づきだけでは、行動につながらない、行動するためには「参加のスキル」の習熟や、それ以前に「無力感」を「効力感」につなげていくような教育的手立てが必要だということを発見しました。それが次の「学びの第二期」につながりました。

 折しも開発教育のテキストライターだったスーザン・ファウンテンさんが「開発教育、環境教育、人権教育などに共通するスキルは幼児期から育てることが必要だし、できる」として『いっしょに学ぼう』というテキストを出しました。このテキストでは、「自尊感情・コミュニケーション・協力」というスキル分野に分けて、育てるためのアクティビティが紹介されています。幼児期から、繰り返し、繰り返し、育てていかなければ、「気づきから行動へ」の社会的問題解決行動には繋がらない。

 あいちESDフォーラムが開催されたとき、NIEDの伊沢さんらが中心になって『自己肯定感を育てるESD』という提言を行いました。本当に的を得た提言出会ったと思います。

https://www.dropbox.com/s/9f9ucp7mlvxywqr/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E8%82%AF%E5%AE%9A%E6%84%9F%E3%82%92%E8%82%B2%E3%82%80.pdf?dl=0


あれから5年。国際的なESDについての議論は、今も高次な思考スキル、問題解決能力に偏っているように思います。「あらゆる機会に、あらゆる人を対象に」と言いながら、「誰も取りこぼしてはならない」を実践できていないように思います。

 これから、ERICの学びの第二期のような主張が出てくることでしょう。高次の思考スキルの発揮の基盤には「わたし」の自己肯定感、自信を育てることが幼児期から必要だということ主張です。

 さらに、ERICの「学びの第三期」は社会的合意形成の方法論でした。ESDの問題解決のためには、合意形成が不可欠です。1990年代に広がった合意形成の方法論、熟議などは、今後も市民社会のツールとして実践され、そして子どもたちもまた、そこに参加することが求められるようになるでしょう。『対立から学ぼう』もそうですが、人間関係における対立から、集団対集団の対立まで、同じ基本が、問題解決のために有効なのではないでしょうか。


歴史は繰り返す。ERICの学びの三期は、これからのESDの発展を示しているのだと思いました。


 中林調の報告書づくり、楽しみです!



by eric-blog | 2018-12-26 13:28 | ERICニュース

ERIC NEWS 617号 at/from ERIC ともによりよい質の教育をめざして  2018年11月4日

◆◇◆◇ 1. プロジェクト・ネクスト「文明病=現代を読み解くイシューとコンピテンシー」2 ◆◇◆◇

 「ERICのミッションは何か。」引越しに当たって、収活、収束しつつ、次の展開を考えるために、ビジョン、ミッション、アクションの再定義、再整理を行なっています。何をすべきで、すべきでないか、NPOとして何ができて何ができないか。

 国際理解教育のミッションはユネスコの定義にある通り、「人類共通の課題について問題解決に取り組む人材育成」です。

 と定義しても、そもそも国際理解教育では何が課題で何が課題でないかと考えると、課題でないものはない。ERIC設立当初に行なったワークショップで出た答えは「全てが国際理解教育の範囲だ」と言うことになり、絞れない。と言うことでした。ERICがいちばん最初に翻訳した『ワールド・スタディーズ(WS)』の衝撃はその扱っているイシューの幅の広さと、学習者にとってのレリバンス(関連性)の高さだったのではないでしょうか? 加えて、WSは世界の読み解き方として「基本概念」と言う考え方を提示していました。

国際理解と言うと「国際政治」や「グローバル経済」と思ってしまいがちな私たちに、南北格差をバナナや身の回りのモノなど、身近な問題として理解し、かつ、その歴史的背景である「ヨーロッパの世界支配」と関連付けて見せたのです。その上で、より「フェア」な、公正で、かつ結果としての配分の正義が実現している社会と言う理念を共有しようと呼びかけたのです。

 同時に、そのような理念というのは「わたしたちの家庭から始まる」ということ、家庭内での役割分担などの「関係性」を根本的なところから問い直し、WSの基本概念は、すべての行動原理として一貫性を持って実現されていかなければ、社会的実現にはならないのだと教えてくれているのです。

 その後に翻訳した『地球のみかた』は、まさしく、1980年代に開発されたWSには十分取り入れられていなかった観点、「環境」も視野に入れたイシューの整理に成功しています。

 1970年代、80年代から環境保護活動に関わって来たものとしては今更のような「プラスチック」騒ぎ。この「出口なし」の廃棄物問題を、私たちは「国際的な課題」だと、当時から考えていたけれど、実はまだまだ「途上国」が先進国の「出口」であるかのような経済的な解決が問題解決を先延ばししたのです。

 いままた、買い物袋の有料化などの施策が検討され始めていますが、まるデジャブ、既視感にめまいすら覚えます。何かが、根本的に変わらなければ、わたしたちは同じ間違いを繰り返し、そして、間違いだと悟った時には、最初に気付いた時よりも、状況は悪化しているということになるのではないでしょうか?

 わたしたちの文明のあり方の何かが「病んでいる」ように思います。森のフンババを追い詰めた文明、新世界を追い詰め収奪した文明、地球環境を収奪し追い詰めている文明、そして、わたしたち人間の体内環境すら追い詰め始めている文明。

 ESDは価値観の教育だと言われます。わたしたちの価値観が変わらなければ、持続可能な未来に繋がる道はないのだと。「わたしたちは変わらなければならない」生活習慣病のようないまを見直すキーワードを「文明病」と名付けて、ESDのイシューの再整理を試みたいと思っています。

 できれば地球環境基金に応募したいと思っています。

 来年2019年は、ERIC創立1989年から30年の節目の年。2022年の1972年、ストックホルム人間と環境会議から50年の年に向けて、ERICネクストを見据えた発信をしていきたいと思っています。是非、ご一緒に。

 



by eric-blog | 2018-11-15 17:13 | ERICニュース

ESDfc テーマ「人権」 ESDとしての再方向付けを学ぶ

◆◇◆◇ 1.  ESDファシリテーターズ・カレッジ「人権」 ◆◇◆◇


「人権」の実施要綱にも書いたように「Redirection」再方向付けをテーマにやりたいと思います。

http://www.eric-net.org/news/atERIC18HRyoukou.pdf


再方向付けのポイントは、二つ。


一つは、「コンピテンシー」によって従来のスキル目標を再点検する。

もう一つは、ESD&「人権」として適切なテーマやコンテンツという視点から、従来の教科内容、そして新しく導入された道徳の内容を点検する。


人権としての課題としては「弱者のエンパメントのジレンマ」を取り上げたいと思います。


■弱者のエンパワメントのジレンマ


1. 社会的な合意はできたけど・・・


世界人権宣言に始まり、人種差別、女性差別からの解放運動、そして障害者差別禁止、ヘイトスピーチ禁止など、社会的弱者の権利運動は発展してきている。


人種や性別などによる差別を解消しようという国際社会の決意が、様々な条約や合意に表されていルシ、また、人権委員会がその推進をモニターし、改善のための勧告を出すなどの体制も整ってきている。


第0 期 世界人権宣言など諸条約

第1期 アファーマティブ・アクション

第2期アサーション

第3期合理的配慮


差別解消のために「積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)」を社会が取るようになった。国際的な合意もあり、社会的な差別解消のための積極的な措置が取られるようになっても、「差別を内化」させてきた被差別者の意識はすぐには変わらない。

そこで出てきたのが「アサーション」やエンパワメントなど、「力の剥奪状態にある人に、力を付与する」ためのトレーニングである。


さらには、「障害」は、障害「者」の側にあるのではなく、「社会」の方にあるのだということが障害者権利条約によって確認され、「合理的な配慮」が社会の側に求められるようになった。


これらの大きな変化を見ると、「合意」「対策」「個人のエンパワメント」「社会的配慮」など、合意された方向性に向けて、さまざまな手立てが取られてきたことがわかる。


差別のある社会で被差別者も成長する。その中で「差別的な視線」と態度姿勢行動を学んでしまう。「差別の内化」は常に起こる。


弱者のエンパワメントのジレンマの一つは、「弱者の再生産」に対抗する手立ての弱さである。


2. 「平等・対等・公正」を求めることと、「である」こと・・・


弱者のエンパワメントのジレンマのもう一つは、「平等・対等・公正」を求めることと、「平等・対等・公正」が実現されていることを混同するマジョリティがいるということ。


弱者が権利を主張する力を身につけると、「逆差別」だ、とか、「十分に女性は強い」などと、求めている権利と、今すでに実現されている権利をわざと混同するようなマジョリティの側の「防衛的」な態度に出会う。


女性解放運動に対して「バックラッシュ」が生まれたし、人種差別解消に対して「ヘイトスピーチ」が生まれてきている。運動に対する反作用のようにも見える。


しかし、そのような反作用に乗っかっている「特権」の側は、自分たちが易々と声をあげられること、弱者を攻撃することができるのはなぜかという状況、特権的な地位にあることに鈍感である。


弱者は常に過敏で、意識しているのに、である。


運動や主張に対する反動、防衛的なマジョリティの態度は、運動が強ければ強いほど、強化される。ジレンマである。


Ex.

例えば、性差別的な態度が強い男性は、男女の平等を促進するメッセージを読んだ後、女性に対してさらに攻撃的になったことが分かっている。


マラムスらはこれを「ブーメラン効果」として知られる心理学的現象に分類。「人は自由を脅かされるとそれに反発し、外部からの強制と反対の方向に動くことで、自律性を主張する」と論じている。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2018/08/post-43.php


多様性が大事だという表現によって、抑圧される人たちもいる。その人たちがトランプの出現で力を得た。多様性なんて糞食らえ! と勢いを得たのだ。

ラブという薬 The Medicine called “LOVE”、いとうせいこう・星野概念、リトルモア、2018

https://ericweblog.exblog.jp/238740538/


3. サバルタンは語れるのか、支配の言葉で・・・・

このような「解放」の論説すらも、マジョリティによってお膳立てされているだけ、マジョリティが認める限度に置いて運動が許されているだけなのではないかという疑いは晴れない。

言葉や学問も「特権」の側がコントロールする。

人間の測りまちがい 差別の科学史スティーヴン・J・グールド著 鈴木善次・森脇靖子訳河出書房新社1989年 増補改訂版1998年The Mismeasure of Man, 1981Stephen Jay Gould

https://ericweblog.exblog.jp/1914648/

ことばは男が支配する、スペンダー, D、勁草書房、1987年

https://ericweblog.exblog.jp/832708/

従って、差別のある社会で生きるとは、朴和美さんが言うように、彼女の母親たちの世代の「生き延びる戦略」から、彼女たちの世代、在日二世の解放運動へと言う変化がある。

1. 生き延びる戦略

2. 解放の戦略

ロバート・チェンバースは社会的弱者の生き延びる戦略を次の四つにまとめている。  (第三世界の農村開発、ロバート・チェンバースより)
・あきらめる
・馴化する
・異議申し立てする
・逃亡する

チェンバースは、「異議申し立てをしたとしても、マイノリティの定義が人口の多寡ではなく、社会的影響力の強弱を意味しているのであるので、成功することはない」と言う。


4. トリレンマを超えて・・・

社会的合意はある、が社会的な手立てはとっちらかっている。

弱者の解放運動はある。しかし、運動が強ければ強いほど、反作用は強まる。

枠組みそのものを形成している認知、考え方、それらを構成する言語、そのものに疑いがある。このままここに止まらざるを得ないのに。

そんなトリレンマの中で、弱者のエンパワメントはいかにあるべきか。今、目の前の「生き延び」のための手立てを手放すことはできない。長く待てない。しかし、遠くを見通す目も欲しい。

そして、何よりも「弱者」としてではなく、一人の人間として生きる自己実現の道が欲しい。カミングアウトする属性としてではなく、「らしさ」を押し付けられる属性としてではなく、「わたし」を生きる。

■プログラムのキーワード

  • λ差別のある社会の全体的不利益  国際的な合意の背景は何か?
  • λあなたの属性は有利? 不利?
  • λアサーションの12の権利
  • λアファーマティブ・アクション
  • λ個性か属性か


このようなプログラムを通して、ESDコンピテンシーを伸ばすこと。


  • コンピテンシーとテーマ学習を通してESDを取り込む


いま、「ESDを教科書、教科カリキュラムに埋め込む」ためのガイドブックを読み込んでいるところです。

TEXTBOOKS FOR SUSTAINABLE DEVELOPMENT  ~A Guide to Embedding


2017年にUNESCOから出版されたESD推進のためのガイドブックです。

ESDは学校カリキュラムに「新たに付け加えられるテーマ」ではなく、すべての教科に「埋め込まれる」べきものであり、具体的に「埋め込む」ための方法を示しているガイドです。


ESDを主流化するためには、すべての教科の内容と教授法が「再方向付け」されることが重要だと、このガイドは指摘しています。


再方向付けのための具体的な方法が「ESDコンピテンシー」を教科の目標に取り入れる、ESD的テーマ学習や問題解決学習を各教科に取り入れるという二つです。


環境教育もそうでしたが、人権教育も同様です。「環境」や「人権」という気養育内容を追加するだけではなく、環境、人権、ESDを点検の視点として、学校カリキュラム、学校全体アプローチを「再方向付けていく」。


そんな点検の視点も、取り入れていきたいと思います。ぜひ、ご参加ください。



by eric-blog | 2018-09-06 15:59 | ERICニュース

ERICニュース608号 2018年8月26日 より

ERICニュース608号 2018年8月26日 より 群馬県立女子大学「地球社会と共生」まとめ




◆◇◆◇ 1. ESDコンピテンシーは身についたかな? ◆◇◆◇


 群馬県立女子大学前期「地球社会と共生」の授業が終わった。最終的には14名が受講。アクティビティ実践は三名一組、地域調査も三名一組で実施。評価は五種類の提出物で行った。ちょっと種類が多いかと思ったが、「書くことで意識化する」ことを狙いました。

1. レポート

2. 論文化に向けた情報ソース・バランスシート

3. コンピテンシー自己点検表

4. 地域調査計画及び実施報告書

5. 今後の行動計画


 レポートはA4用紙で2-3枚程度。内容はほとんどが地域調査についてであった。講義全体を通してのレポートを作成するというのは難しいことがわかった。


■コンピテンシー自己点検の効果?



 今回の受講生には3年生が4名ほどいて、その優秀さに驚かされた。レポートの書き方、提出の仕方などの適切さも、トレーニングされているなあという感じであるが、ものの見方・考え方も随分しっかりしていると思った。内3名は教育実習で3回ほどの公欠があったのだが、よくやっていた。

 同時に、彼らの「コンピテンシー自己評価」の高さにも驚かされた。コンピテンシー自己点検は一ヶ月に一回、合計三回行ったのだが、最終の評価で、レポートや地域調査の取り組みの優れていた彼ら3年生の自己評価がどの項目についても「○」担っていたのだ。

 「○」をつけた理由も記入するようになっているので、それを読むと、これらのコンピテンシーにどのような意味があるのかがしっかり伝わっていることがわかる。レポートや取り組みと自己評価の一致に、感動した。

 三回の集計はこちらからみていただける。皆さんはこの結果をどうみるだろうか?


https://www.dropbox.com/s/5l5gmae0igvmrv4/%E9%9B%86%E8%A8%882018.pdf?dl=0


■アクティビティ実践は生きたのか?

 アクティビティ実践を「プレゼンテーション」と捉えてしまうこともあったが、それでも「ミニレクチャー」「個人作業及びぺア作業による自分の経験との結びつき」「まとめ」というような段階を踏んで、学びの構成主義的アプローチはしっかり取り入れていた。一方で、「学び」の深化を参加型でどうするかという点については、ほとんどのチームに課題が残された。ま、それはファシリテーター養成一般に言えること。


「ねらいはねがい」


アクティビティを行う時に、どこまで「深化」することができるかは、ファシリテーターの「ねがい」の強さによると思う。


人権や環境への思い入れの強さをアクティビティの力にするためには「起承転結」のプログラムの流れの「転」で、どれだけ視点を広げて深めることができるかだとわたしは思っています。そこにファシリテーター自身の気づきと問いの深さが、現れる。


人権については「当事者性」が気づきの深まりのとっかかりになるのでしょうが、「地球環境」については、例えば「うなぎ」の絶滅の問題、「プラスティック」による環境汚染、いまだに収束しない「福島第一からの放射能汚染」、地球温暖化など、当事者性を持ちにくいというのが課題。専門家任せになってしまいがちなものだ。


せめて、今後も、意識して情報を得るようにしてほしい。でも、コンピテンシー自己点検では「地球的な課題のつながり」については「わかる」と評価している学生が半数はいるのだけどね。


前半でのアクティビティ実践が、その後の授業内容にどのように生かされていくかの構造化をもう少し練り上げる必要があるなあ。「12のものの見方・考え方ジャーナル」はうまく使いこなせなかった。



by eric-blog | 2018-08-24 16:35 | ERICニュース

ERIC NEWS 595号 at/from ERIC ともによりよい質の教育をめざして  2018年5月27日

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ERIC NEWS 595号 at/from ERIC ともによりよい質の教育をめざして  2018年5月27日

ESDファシリテーターズ・カレッジ! すべての学びを参加型で!

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                   (文責: かくた なおこ 角田尚子

                     http://ericweblog.exblog.jp/

twitter : kakuta09  FBもやってます。)


暑いやら寒いやら。皆様、体調はいかがですか?


群馬県立女子大学の授業がはじまって、木曜日のバドミントン教室がAクラスに逆戻りです。高崎まで出かけて帰ってくるだけですが、疲れだああああ感があるので、無理はせず、です。


ERICの収活もいよいよ「ではどんな形でERICを継続したいのか?」というERICnextを構想すべき段階に入ってきました。テキストの出版、6時間12時間の指導者育成研修の提供、そして高等教育におけるESDの指導というこれまでの蓄積を踏まえ、それらの社会的貢献をよりよく果たす形はどんなものでしょうか?


そんな知恵を出し合うERIC2018年度総会の日程が決まりました。


6月19日 火曜日 17時30分から20時ぐらいまで、軽食をいただきながら、ワークをしたいと思います。


今後も継続していきたいことは

○テキストの提供

○指導者育成研修の提供: 主催と受託と

○資料室: ERIC出版物の原著や引用文献は必須。加えて、アクティビティ開発、カリキュラムデザインに関わるリーデイングズ。

○高等教育におけるESDの指導についての研究開発の継続。できればESDテキストの出版につなげたい。


などと、収活を踏まえて、ERICのミッションの再検討、「純化」「社会化」「行動化」が見えてきています。


ぜひ、総会にご参加ください。総会のプログラムの予定などが決まりましたら、ブログやERICニュースでもお知らせしていきたいと思っています。



◆◇◆◇ 目次 ◆◇◆◇

◆◇◆1. 大学生をESDのファシリテーターに

◆◇◆2. ESDファシリテーターズ・カレッジ2018年度 のご案内

◆◇◆3. こつこつ収活、テキスト在庫と蔵書処分のご案内

◆◇◆4. with ERICこれまでの活動



◆◇◆◇ 1. 大学生をESDのファシリテーターに ◆◇◆◇


 大学生自身にアクティビティをやってもらってみて、「起承転結」の「転」の部分は「一冊の本から」という先達の視点を活かすこと、その思いと「わたしの視点」あるいは「ESDの視点」を取り入れるスタイルを実践できた。

「出発点」→「広げる・深める連想図」→「転」→「結:わたしたちにできること」

という基本形にしてもらったのだけれど、それはうまく展開できた。

https://ericweblog.exblog.jp/238530858/


しかし、それだけでは深まらないことに気づいた。「這い回る経験主義」に陥っているのではないか。それはなぜかを第六回では追求してみたいと思う。

 何が課題なのだろうか? 教育的指導者がやる、つまりこの場合はわたし、ということになるのだけれど、わたしがやった場合であれば、こう展開するということをやってみて、何が違うのか、比較してみるというわけだ。


「幸せ」について考えたチームには「セリグマンの幸福論」から「三つの幸福」の視点を。というのも、その時出てきた視点がほとんど「ポジティブな感情」「夢中になる体験」だけだったからだ。


そして「生活保護」については、さらにアドボカシーにつながる行動力へとつながる活動を加えてみる。「いじめ」問題についての構造に重ねてみるということ。


第6回で実践した学生アクティビティは結局二つだけになった。

「傾聴」

「環境問題」

いずれも「聞いてもらう側からの視点」で考えることの意味に気付けたり、「環境問題」について知っているようで知らないことを再確認できたりなどの効果があったとふりかえりシートに書かれている。


さて、次回は、「ふりかえりと評価」。そして、第二ステップの「PRA地域調査」にすすむのだが、PRAのポイントである「主体的地域評価」につながる調査って、どんな調査だろうか?


大学生のためのファシリテーター・ハンドブックに、地域調査の第三部が必要だなあ。来週までに間に合うのか?



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ESD
でつちかいたい 「価値観」
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  1. 1人間の尊厳はかけがえがない


  1. 2私たちには社会的・経済的に公正な社会をつくる責任がある


  1. 3現世代は将来世代に対する責任を持っている


  1. 4人は自然の一部である


  1. 5文化的な多様性を尊重する

by eric-blog | 2018-05-25 10:31 | ERICニュース

ERIC NEWS 593号 at/from ERIC ともによりよい質の教育をめざして  2018年5月13日

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ERIC NEWS 593at/from ERIC ともによりよい質の教育をめざして  2018513

ESDファシリテーターズ・カレッジ! すべての学びを参加型で!

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                   (文責: かくた なおこ 角田尚子

                     http://ericweblog.exblog.jp/

twitter : kakuta09 FBもやってます。)

早い桜の時期、早いツツジの時期を、あっという間に34月中に終わってしまい、もう5月も半ば。大学のオムニバス授業の二コマ分も、無事終了しました。大学生ESDリーダー化計画、成功したと言えるでしょうか?

群馬県立女子大学の受講者は17名。教育実習がすでに始まった学生もいて、前回の参加者は15名。大学の単位は「授業+自学」ということを意識づけるために、毎回、様々な手法で「自学の共有とふりかえり」を行なっています。

今回は、全員がしっかり本を読んできていたことに感動!中にはビジネス書なんじゃない、これ?と思う選択もありましたが、それはどうしたものか。短期間の宿題にすると、そうなってしまいますよね。時間をかけてでも、ちょっとずつでも、読んでほしい本リストを作らなければならないかもしれませんね。

詳しい授業の記録はブログを見ていただくとして、「大学でESDを意識づける」は、結構いい感じなのであります。

成城大学の記録

https://ericweblog.exblog.jp/238456762/

群馬県立女子大学の記録はこちら

https://ericweblog.exblog.jp/238518262/

◆◇◆◇ 目次 ◆◇◆◇

◆◇◆1. 大学におけるESDの意識化

◆◇◆2. ESDファシリテーターズ・カレッジ2018年度 のご案内

◆◇◆3. こつこつ収活、テキスト在庫と蔵書処分のご案内

◆◇◆4. with ERICこれまでの活動

◆◇◆◇ 1.  大学におけるESDの意識化 ◆◇◆◇

群馬県立女子大学での「地球社会と共生」の授業も4回目。51日からゴールデンウィークを挟んで、510日。前回の最後に、休みの間に本を読んでおいてね、とちょっと言っただけだったので、どれほどが読んでいるやらと思って最初に聞いてみると、全員が挙手! ギャーーーーー! 嬉しい! 「調べ学習は?」と聞くと、こちらは1/3ほど。

それでは、と、前回の「自学のふりかえり」では「参加者アンケート」というアクティビティで「自学の共有」をやったのだが、今回は「本トのインタビュー」が使えるのではないかと、やってみる。

通常20分、読んでまとめる時間をとるのだが、すでに読んでいるので、まとめるだけで10分をとることにした。いつも準備してもらっている「ふりかえりシート」を配布し、A4の半分ぐらいでいいから、「通行人」に本を紹介するつもりで書いてもらう。タイトル、著者などの書誌データ、内容に加えて、その本の中のフレーズなどを引用するように伝える。これはラクダ・スクールの平井さんがやっていたことだ。わたしが「週5」をやっている時も、心がけている。

わたしも入って16名なので、四人一組みになって、1分ずつで紹介する。結構いい感じ。

そこから「一冊の本から」プログラムを起承転結で展開する流れをまず板書して紹介。転の部分は、三つの視点のいずれかを選んでもらうことにする。

「著者が伝えたいこと。あなたが伝えたいこと。ESDとして伝えたいこと。」

「あなたが伝えたいこと」の視点としては、わたしの例として「あなたが大切」と紹介。

起承転結のそれぞれを5分程度ずつで、全体で20分をタイムウォッチすることを伝えて、はい、スタート。五分ごとに、とりあえず、声かけすることにする。

A3の紙を二枚。半面ずつに、ひとつずつ展開。マジックで書くこと。

わたしもペア作業に参加。やっぱり参加すると楽しい! って、わたしがマジックを握って、わたしが喋ってどうすんねん! って。授業の代わりかよ。一人に対する授業? ま、慣れるまではしゃーないか。

20分で終了。

転のところだけ全体共有する。

すると、ESDの視点を取り入れたペアは一組みだけだったかな? 著者の視点で「生活保護は権利」も1組だけ。残りは、「わたしの視点」をそれぞれが考えていたことも面白かったなあ。

今後はESDの視点をもっと強調するのが良いかもしれないけれど、今回は、「本」で読んだことについて「みんなの頭で考える」ためのプログラムの流れなので、これで良し。

III. ふりかえりとまとめ、これからのすすめ方

ふりかえりシートの裏面「ORID的ふりかえり」行動感情価値観意思決定に記入してもらう。

起承転結の流れの作り方を意識化できたところで、三人1組を作ってもらい、次回はその三人で「学生アクティビティ」を実践してもらう。と告げる。これ、最後の5分でした。

 

今回から、テキストのアクティビティをなぞるだけのものではなく、まとめてやることにした。というのも、これまでのやり方ではアクティビティのすすめ方が身についているように思わないからだ。まとめてやったほうが、比較評価、改善できると思う。

とりあえず、テーマを決めて、三人を見つけてもらう。ちょうど15名で5組できた! 二回の授業でできそうだなあ。「ESDの視点で点検表」を使うことにする。

ファシリテーター・ハンドブックは配ってあるが、それを読むか読まないかは特に強制はしていない。

すごいなあ。この学生たちなら、やってくるに違いない。

プログラムの流れは基本形を以下のようにする。

1. 知っていること/知りたいこと

2. WhyWhyWhyの連想図

3. 「転」

4. わたしたちにできること

次回がとても楽しみである。

準備物は「点検表」。ESDの価値観と能力を書き込む欄があるので、意識化できると思う。

学生たちが今回「自分の考えが変わった」ことに驚いたのは、転が効いているのと、その転の視点が人を成長させるものだからだと思う。

もちろん、「著者」の視点に同意する必要はなく、批判的に読むことも必要だが、未来につながる方向性として、自分がどちらを選んでいるかを意識化させることは大切。

よりよいものを、できる限り、いつも、自分のものとて選ぶ癖をつけることがESDなんだろうなと思いました。

そのことも次回は伝えようと思います。


by eric-blog | 2018-05-13 12:49 | ERICニュース

ERIC NEWS 588号 at/from ERIC ともによりよい質の教育をめざして  2018年4月9日

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ERIC NEWS 588号 at/from ERIC ともによりよい質の教育をめざして  2018年4月9日

ESDファシリテーターズ・カレッジ! すべての学びを参加型で!

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                   (文責: かくた なおこ 角田尚子

                     http://ericweblog.exblog.jp/

twitter : kakuta09  FBもやってます。)


ERICのメールアドレスが、先月から不調になり、とうとう使えなくなってしまった。ホームページやメーリングリストなどにも「@」に小細工もせずにオープンにしていたら、ネット攻撃に曝露してしまったようだ。


とりあえず、サブの「eric1アットマークeric-net.org」で乗り切っている。すると、元のアドレスも生き返ったりする。年度替りは、あたふたあたふたである。


桜もすっかり散ってしまった先週末は相模原市さくら祭りに、山仕事ボランティアをしている「緑のダム 北相模」の本部お留守番で出かけた。お留守番といっても、誰かそこにいる必要があるだけのこと。暇なので、いつも手遊びを準備する。


これまでの「手遊び」は次の通り。

○2015年 三角ストール これは2014年5月に「Studio Y'es」の石塚さんの椅子づくりワークショップに参加して、椅子づくりにはまり、何としても、小さい子供用の三角ストールを作りたいと、自分で工夫して3台作り、孫などにもあげたりしていた。翌年の桜祭りは、地方統一選挙の年で5月に「若葉祭り」として実施。3台作って、一応完売。

○2016年 杉座 厚さ5センチ程度、25センチ×30センチ程度の杉板を、ちょっと角と座面に加工するだけ。フローリングに直座りしたり、座布団に座ったりするより快適。我が家でも愛用しているのだが、これは9台準備して、5台ほど売った。小雨で早く撤収したので、無理しない。

○2017年 竹ボラ 鬼木さんが手伝ってくれて、パフォーマンス。というか、本人の練習。指笛もできるようになったし、竹ボラも吹けるようになった!

○2018年 アレッポの石鹸と石鹸袋、石鹸皿。9セット。完売。マーブル・テーブル、杉座など、これまでの作品も持ち込み。


今年は、作品を思いついたのが三月の定例活動日だったので、十分準備できなかったが、本人的には大好き。これからしばらくははまりそうだ。


桜祭りは、最初の関わりは「相模原市環境情報センター」の環境教育や啓発活動からだった。場所もセンターやふれあい館など、室内でだった。ERICの活動は「モノ」ではなく、「プログラム」なので、アピールが難しく、自分自身も同じ会場の「EMぼかしの堆肥」作りやクイズなどの方が面白いと思った。


その後は、緑のダム 北相模に関わるようになり、本部を引き受けているために、留守番役として参加してきた。


緑のダムとしての活動は「積み木」(二万個以上の圧巻! 大人気)、「丸太切り」(これも人気)。例年は「茶席」も設けていたが、今年はなかったなあ。


祭りでアピールするには「プログラム」より「モノ」という教訓から、毎年なにがしかの「手遊び」を準備している。来年は、バージョンアップした石鹸皿になりそうだ。


祭りがだんだんと「お遊びイベント」だけになっていくのは、こうやってふりかえると寂しいものがある。何か良い知恵はないものか?



◆◇◆◇ 目次 ◆◇◆◇

◆◇◆1.  12のものの見方・考え方アイコンとジャーナルとワークブック

◆◇◆2. ESDファシリテーターズ・カレッジ2018年度 のご案内

◆◇◆3. こつこつ収活、テキスト在庫と蔵書処分のご案内

◆◇◆4. with ERICこれまでの活動



◆◇◆◇ 1. 12のものの見方・考え方ジャーナル ◆◇◆◇


ESD持続可能な開発のための教育のあり方を考えると、「思考スキル」のトレーニングは不可欠だということがわかる。「ESDの能力」のリストはこんな感じ。


---------------------ESDを通じて育みたい 「能力」---------------------

  1. 1自分で感じ、考える力


  1. 2問題の本質を見抜く力/批判する思考力


  1. 3気持ちや考えを表現する力


  1. 4多様な価値観をみとめ、尊重する力


  1. 5他者と協力してものごとを進める力


  1. 6具体的な解決方法を生み出す力


  1. 7自分が望む社会を思い描く力


  1. 8地域や国、地球の環境容量を理解する力


  1. 9みずから実践する力


参加型学習は、自ら考え、「他者」とのコミュニケーションは不可欠であるから目標1、3、4、5は、達成できる。目標2の「批判的思考力」を磨くには、いわゆる「高次の思考スキル」を活用することが必要だ。


もちろん、これまでも「分析の枠組み」を活用したアクティビティは行ってきている。しかし、そのやり方がどのような思考スキルを活用しているものなのかについて、学ぶ側に十分意識づけできていたかというと、よくわからない。評価もしていない。


今回、TEST教育力向上講座2018の中ででたアイデアから、「12のものの見方・考え方」のアイコンを鬼木さんが作ってくれた。あと少しで完成する予定だが、そのアイコンを活用した「ものの見方・考え方」ノートを作ろうと思う。


まずは、主催研修でいつもやっている「ジャーナル作り」の方法で、表面で3つ、裏面に8つの分析の枠組みを練習できるようにする。一つのジャーナルは一つのテーマについて作る。というか、授業では大抵主要な「テーマ」は一つだ。


『参加型で伝える12のものの見方・考え方』はとてもいいテキストだが、ワークシートにはなっていない。できれば、今後、ワークブックも作成できたらと思っている。



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現在、1と10を改定中。



by eric-blog | 2018-04-09 16:14 | ERICニュース

ERICニュース585号 1.  教育力向上のための点検の視点 教授法・教育目標

◆◇◆1.  教育力向上のための点検の視点 教授法・教育目標  ◆◇◆

アクティビティ実践のふりかえりに時間と手だてをかけるようになって、人材育成プログラムとして「経験学習」のアプローチが有効であることをしみじみ実感しています。


教育目標、教育方法についてふりかえることで、改善の視点が見えてきます。


1. 教授法についてふりかえる


参加型アクティブ・ラーニングという教授法についてのふりかえりの視点は二つあります。一つは「活動形態」です。もう一つは「分析の枠組み」です。


(1)四つの活動形態から参加のスキルを伸ばす教授法の活用を点検する

教授法についてのふりかえりの視点の一つが「活動形態」です。個人作業、ペア作業、グループ作業、全体作業という四つの活動形態が有効に活用されていたかどうかをふりかえることが、なぜ参加型学習によるアクティブ・ラーニングという教授法がしっかりできていたかどうかの点検の視点になり得るのでしょうか?


■四つの活動形態の効用について、ESDファシリテーターズ・カレッジの『ファシリテーター・ハンドブック』から引用する。

-----引用開始

■ 学びあい・協同学習をすすめる4つの活動形態を活用する

 「個人作業」「ペア作業」「グループ作業」「全体作業」はそれぞれ学びの効果が異なります。どの作業形態を、どの段階で取り入れるかに、意識的である必要があります。

  • 個人作業導入で使うことで、テーマについての自らの考えや経験をふりかえり、意見を発表しやすくする。ペア作業やグループ作業の途中で取り入れることで、共有された考えや意見に対する自分の思いを確認する。まとめの段階で、自分の学びをまとめる。もっともやりやすい活動形態だが、参加者によって集中度が異なる、集中が続かない、考えが行き詰まってしまうと暗礁にのりあげたようになってしまう。
  • ペア作業 相手の様子を見ながら話をすすめることができるので、意見交換としては一番安心して取り組むことができる。逆に言えば、緊張感が高くもあるし、責任感も生まれる。「聞く姿勢」のトレーニングのように時間を区切って聞き手話し手になってもらうのもやりやすい。意見の多様性には限界がある。
  • グループ作業 グループの人数を4人か5人程度に抑えることで、一人ひとりの学習者にとって、もっとも「話す」「聞く」「考える」のバランスがよい構成になる。意見の多様性も増える。しかし、個人作業やペア作業のような「短時間」では結果が出せない。10分から20分程度の時間は必要になる。また、模造紙やマジックなどで、グループの全員が出した意見を書き取るようにすると、意見の重複が出ないで建設的になる。また、「分析の枠組み」を使うことで、ものの見方・考え方を身につけることにもつなげられる。

「仲間探し」のように、自分と共通項のある人を探してグループになってもらうなど、プログラムの中でグループを変えることは、「仲間壊し」とも言われ、グループが固定的になってしまうことを防ぐ。

  • 全体作業 アクティビティのすすめ方や導入のミニレクチャーなどは全体作業である。ペア作業やグループ作業の成果の共有も全体作業であることが多い。すべてのペアやグループからまんべんなく共有してもらうとかかる時間が長くなる。ペア数、グループ数が多い時は、ギャラリー方式や、選抜的共有などの工夫が必要である。


 以上のような特徴と活用のアイデアが考えられますが、これらの結果を知識として一方的に伝達するのは学習・応用効果が薄くなります。時間が許すのであれば、参加者のふりかえりから分析によって発見がある方が、定着、応用の両面からも望ましいです。


-------引用終わり

参加の三つのスキル「わたし」を見つめる、表現する、伸ばす、「あなた」とのコミュニケーションをよりよくする、「みんな」が学べる環境を作る、共通の課題を知る、問題解決に取り組むなどが、これらの活動形態を使うことで伸びるのです。


つまり、活動形態を振り返ることで

・一人ひとりが自分を見つめる、言語化する時間をとっているか

・互いのコミュニケーションをとる時間をとっているか

・グループ活動によって多様な意見に触れる機会を作っているか

などが点検できるのです。


プラス「分析の枠組み」として「12のものの見方・考え方」を活用しているかどうかは、高次の思考スキルを活用して課題を分析し、問題解決のための行動計画などを活動に取り入れているかどうかが確認できます。


12のものの見方・考え方」の背景には、人間の認知パターンがあります。高次の思考スキルに通じるものもある分析の枠組みを使うことによって、分析の枠組みに習熟していくことができます。


2. 教育目標の視点から点検する

ESDで育みたい価値観と能力があります。これもESDフアシリテーターズ・ハンドブックから引用します。


引用開始-----

----------------------
ESD
でつちかいたい 「価値観」
------------------


  • 1人間の尊厳はかけがえがない


  • 2私たちには社会的・経済的に公正な社会をつくる責任がある


  • 3現世代は将来世代に対する責任を持っている


  • 4人は自然の一部である


  • 5文化的な多様性を尊重する


---------------------ESDを通じて育みたい 「能力」---------------------


  • 1自分で感じ、考える力


  • 2問題の本質を見抜く力/批判する思考力


  • 3気持ちや考えを表現する力


  • 4多様な価値観をみとめ、尊重する力


  • 5他者と協力してものごとを進める力


  • 6具体的な解決方法を生み出す力


  • 7自分が望む社会を思い描く力


  • 8地域や国、地球の環境容量を理解する力


  • 9みずから実践する力


引用終わり--------


これらの視点からふりかえることで、教育目標が達成できたかどうかを点検することができます。

https://ericweblog.exblog.jp/238379790/


この研修での気づきを共有しておきます。


「例えば「お似合いのイニシャル」のアクティビティに「7.自分が望む社会を思い描く力」をクロスさせると、「互いを認め合う社会に向けてできること」を「結」で考えて終わることができる。それによって、「体験をふりかえる」だけではなく、「応用」への繋ぎができる。「人生の河」についても「3. 現世代は将来世代に対する責任を持っている}という、ESDの目標をクロスさせると、これからを考えることにつながる。など、より高い教育目標がアクティビティの質を変えることが共有できたのがとてもよかった。」


この研修の時もそうでしたが、より高い教育目標から点検することが、教育実践を伸ばしてくれることを実感しています。


その他、参加型学習を支える学習理論から点検することもできるかもしれませんが、具体的に「学習の本質チェックリスト」を現在作成中です。TEST18で初お目見えできるように頑張ります。


もう一つは『教員のためのリフレクション・ワークブック』の点検リストも活用できるが、これは教育プログラムそのものというよりは、教員の活動そのものの点検につながるものです。

https://ericweblog.exblog.jp/238361384/


点検の視点がPDCAサイクルによる改善につながります。コルトハーヘン・モデルの「本質への気づき」も点検の視点がしっかりしていることで初めて見えてくるのだと思います。


使い勝手の良いチェックリストを作っていきましょう。



by eric-blog | 2018-03-19 10:12 | ERICニュース

ERICニュース578号 2018年1月28日より 教育の人間化

◆◇◆◇ 1.  改めて、教育の人間化を考える(2) TEST2018 ◆◇◆◇


2017年度、最後の主催研修は「TEST 2018」教育力向上講座Teacher's Effective Skills and Trainingsです。3月24-25日の週末に開催いたします。


これまでのTESTのプログラムはブログのカテゴリーで検索してご参照ください。

http://ericweblog.exblog.jp/i24/


近代とは、どのような特徴のある時代でしょうか?


生産消費の拡大、情報の拡大など、人類史上、最大の人口、生産、消費を謳歌している時代です。『哲学の木』によれば、近代を特徴づけるものは次のような体制です。

・国民国家

・近代法

・資本主義経済

・自然科学

・市民社会

・官僚制

などです。まるで空気のようになってしまっているこれらの制度ですが、今、大きな変化の時であることは、るる指摘されています。ノーム・チョムスキーは、「アメリカ」と言う理念を揺るがせている「10の原則」を指摘しています。http://ericweblog.exblog.jp/238242048/

1.民主主義を減らす 富裕層という少数者が牛耳る

2.若者を教化・洗脳する 批判的言論を封じ込める

3.経済の仕組みをつくり変える 変質する金融機関と経済の金融化

4.負担は民衆に負わせる金持ち減税

5.連帯と団結への攻撃公教育への攻撃、公的医療制度の民営化

6.企業取締官を操る 政界と財界の間を自由に行き来する

7.大統領選挙を操作する

8.民衆を家畜化して整列させる

9.合意を捏造する広報宣伝産業の勃興

10.民衆を孤立させ、周辺化させる 怒りの間違った標的を作り出す。


トフラーが『パワーシフト』で言うように、人類社会を支配する原理が変化しつつあります。「暴力」による支配から「資本」による支配、さらに「知識」や「愛」による支配へと、人類社会の統治の原理が変わりつつあります。

http://ericweblog.exblog.jp/1068001/


より多様な人々とともに生きるためには、より普遍的に合意される理念を社会結合の「社会記号」として共有していく必要があります。


多様性、公正、正義、などの理念とともに、システム思考、民主主義などの手続きの原則を遵守することも、共生社会の成立には重要です。


ERICの主催研修 ESDファシリテーターズ・カレッジ テーマ「国際理解」では、人類の共生社会を成立させるものは何か、そしてそれはどのように広めていくことができるかを考えます。


「国際」と言う考え方そのものが近代であり、そして、時代は「国境」と言う国民国家の枠組みを超えているのです。



by eric-blog | 2018-02-07 09:53 | ERICニュース