323-7(1401)搾取される若者たち
阿部真大、集英社新書、2006
バイク便ライダーという請負契約労働の現場に一年間参与観察し、自らの体験と20人のライダーとの会話から構成、考察された本。
前半がライダーの世界の体験共有で、後半はライダーが「自己実現型ワーカホリック」にはまる謎解き編。
ライダー以外に、トラック運転手、ケアワーカーが同じトリックにはまると、著者は仮説する。
東大社会学ゼミでの検討プロセスも紹介してもらえたら、もっと面白いだろうにと思う。博士課程という職場は勝ち組への道なのか?研究職はシュアなのか?
カフカの壁の上はフカフカなのか?
閑話休題。バイク便である。「あっち側」の人や組織の間を飛び交う流通を介在する「こっち側」と著者は位置づけ、本人たちの自認も自嘲もあるとエピソードが紹介されている。「あっち側」には入れない「こっち側」。
趣味や好きなことを仕事にする。ケアワーカーのように感情労働的仕事に絡めとられる。
そこに搾取の構造が潜む。
ライダーの場合は時給制から歩合制へ昇格することが、ライダーとしての腕を誇り、競うことが罠だという。
その罠を仕掛けているのは、他ならぬ団塊の世代ジュニアの「素直で好戦的」な育ちにあると。
「妻も子もある」男性労働者は月収40万円は欲しいのね!?
保障のなさという意味ではコンビニ、ファミレス、ファストフードなどのバイトも同じ何だろね。
フリーター、非正規雇用労働者の中の自己実現型の発見とそのメカニズムの解説として手軽に読める本だ。
ericかくた なおこ沅