306-5(1334)暴力の学校 倒錯の街 福岡・近畿大学附属女子高校殺人事件
藤井誠二、雲母書房、1998
教師が生徒を殺してしまった場合、そこはパワーのアンバランスがのしかかる。
20年という教員歴、卓球部の指導等。知る人も多い。
かたや、まだ16年しか生きていない女子高生。クラスメイトはその人を知るが、隣のクラスですら、その子の人となりを知らず、一方的なデマに振り回されていく。
女子高生を体罰のすえ、死に至らしめた事件で、75000人の減刑嘆願署名が数週間で集められた。
その際に、女子高生に対する誹謗中傷がついてまわり、遺族に対する誹謗中傷も含め、「二度殺された」というような事態を生んだ。
この本は、その誹謗中傷の出所を丹念に追ったルポルタージュだ。
わたしにとっては、「教員とはここまで力の側なのだ」ということを改めて感じさせた本だった。
人殺しの心理学に通じるものが、二度殺された背景に、あるのではないだろうか。