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文化の三角測量 川田順造講演集

267-2(1198)文化の三角測量 川田順造講演集
人文書院、2008

待ってました! 図書館にやっと入りました。

一つ目の講演は、高校生を対象にしたもの。川田さん自身はからだが弱かったため、高校には行かず、田舎でからだを動かす毎日を送り、大検によって大学に進学したという経歴の持ち主。

高校生に「ヒト」って何かを語る。

直立二足歩行によって、声帯が下がり、のどの奥の調音器官、構音器官が発達し、分節的に発音する無能力をもつようになった。
ヒトの言語の特徴は二重分節性にある。
まず音を分けて音素として発音できる。
音素を組み合わせて、意味を担った最小単位を、分けて発音できる。
そして、意味素を組み合わせて、一人ひとりが自分で新しいメッセージを発信することができる。25

この能力はヒトだけ。

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グローバリゼーションと文化についてかんがえる時に、グローバル対ローカルという軸と普遍対特殊の二つの軸で考える。
屈折語であるヨーロッパ語と孤立語である漢字による中国語。
英語はグローバル化していく中で、孤立語の特徴を持つようになってきている。

人間の判断はすべて主観的。だから、自分の主観的な判断だけを絶対化しないです、常に謙虚に保つ。39
そのために他に二つの視点を取る。東西・南。

トヨタ財団二十周年記念講演では、アジアについて語っている。
日本を含むアジアの文化の発展の歴史を、青木の分析に似ているが、次のように段階づけている。
中国文化とインド文化に影響された時代。
ヨーロッパ文化の第一期、海洋探検とキリスト教、布教と交易。
第2期としての領域支配、植民地時代。
そして、いま、ヨーロッパモデルの国民国家が全世界をおおう時代。

国民国家のモデルにアジアが追いつくために、国家主導型の開発政策がとられた。大・政治イデオロギーの終焉とともに、実感できる単位としての、言語、進行などを共にする人々による政治社会の再編成の動きが起こっている。71

日本では和魂洋才というような技術と精神の分離が、技術の受け入れに際して主張された。しかし、川田さんはこういう。「近代性用が果たした技術的達成は、西洋の精神、つまり価値観、自然観や労働観に基づいて実現されたものであり、技術と精神を決定的に分けて考えることは誤っている。技術というものは、人間が自然や人間をどうみるかという価値意識の、具体的な表れであると思う。」76

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文化財や文化に関わる情報は、経済水準の低い国から高い国へ流れていく一方で、経済力を必要とする産業化されたメディアによる大衆文化のあるものは、経済水準の高い国から低い国へ輸出される傾向を生む。
観光客や商工業の経営者→←出稼ぎ労働者
人がどういう資格とどういう目的で、どの程度の経済力で外国にいくかによって、その人の外国体験、人と人との交わりのあり方は著しくことなる。
アジア太平洋地域内の文化交流は、相互的平等的ではなかった。

残りは、またのお楽しみ!
by eric-blog | 2008-11-13 08:58 | ■週5プロジェクト08
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