モグラびと ニューヨーク地下生活者たち

267-3(1161)モグラびと ニューヨーク地下生活者たち
ジェニファー・トス、集英社、1997
原著 1993

ニューヨークの地下には広大なトンネルや構造物が広がっている。そのことは1940年に出された『ニューヨークの地下』という本に詳しいらしい。

これはそこに逃げ込んだハウスレスの人々の物語。物語、ストーリーというようなつながりや一貫性のあるものではなく、エピソード群と言った方がよいのだろうか。著者が出会った人々すら、その後大半がトレースできないというような状態だし、さらには、その人たちにインタビューして聞いたという物語のどこまでが事実で、どこまでが想像なのかすら、読んでいても定かではない。

確実なことは、彼らが地上とは違う感覚、違う共同体、違うマナーで「生き延びている」ということだ。税金もなければ、光熱費、住宅費、諸経費もない。仕事もないし、住民票もない。

そんな地上世界から地下に閉じこもった人々の断片的な観察記録。

動物的な感覚を基盤に関係を作るとき、人間とはやさしい生き物なのだなと思った。チームで狩りをする動物ではない。グループは作る。でも、ふれあったときに、困っている人がいたら、基本的には哀れむ存在、心配する存在なのだということがよくわかる。

自分が何かをしてあげるべきだなんて思わないこと。してあげられることなんて限られているのだから。

できると思わないことというのは大切なことだよね。
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by eric-blog | 2008-08-27 10:16 | ■週5プロジェクト08 | Comments(0)
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