人気ブログランキング | 話題のタグを見る

医療立国論 崩壊する医療制度に歯止めをかける!

232-4(1135) 医療立国論 崩壊する医療制度に歯止めをかける!
大村昭人、日刊工業新聞社、2007

医療費の削減・市場原理の導入、民間保険への移行では医療はよくならない。
「がんのひみつ」のドクター中川も指摘するように、日本の医者の数は少ない、医療費は少ない、人は長生き、で、医者の労働条件は劣悪になる一方。

大学から病院へ、病院から個人開業医へと人材は流れる。

結果、医学教育の質はあがらない。しかも、医師の抱える問題について「声」を代弁すべき日本医師会の会員は個人開業医中心。果たして、医療改革は可能なのか?

著者は、1983年に書かれた「医療費亡国論」に対抗して「医療に力を入れることが国を栄えさせる」と主張する。

日本の医師の数は27万人、OECD各国の人口当たりの医師数にくらべると10万人以上の不足。にもかかわらず手のつけやすいところのみをいじりまわす「マイクロマネジメント」的施策に終始し、医療現場はさらに混乱。2

人口当たりの公務員の数も少ない。178

ああ、どこかで聞いたような話しだ。陰山英男さんも、小学校の外に出て、やっと教育行政全体像が見えて来たようなことを日経の夕刊で書いていた。残業しないで済む働き方で、クオリティを提供する。そんな当たり前のことを実戦していけないものか。

もとい、医療である。

医療は成長産業。医療への投資は経済波及効果が高い。雇用創出にもつながる。
国民皆保健制度は市場経済を支える。

つまり、社会保障は経済の足を引っ張るものではなく、経済効果もあるし、実際活力ある経済のためにはきちんと整っていることが望ましいということだ。158

医学部の教授選考基準も論文中心主義で、臨床能力を評価する客観的な基準がない。92

公共的な投資は、より高い質の人材が活躍できる分野へ、というのが、わたしの考えだ。職業に貴賤はないし、人にも貴賎はない。しかし、構造的により効果の高い投資と低い投資がある。構造改革の方針をそこに定めなければ、減らすためだけの破壊的な議論になってしまう。
by eric-blog | 2008-07-26 10:43 | ■週5プロジェクト08
<< かがやく21世紀を拓く ドクター中川の"がん... >>