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環境自治体会議in遊佐

環境自治体会議in遊佐

新潟で乗り換えて酒田へ、そしてさらに乗り換えて遊佐、吹浦へというのは初めての体験。(しかも最終便で・・・)山形県内でも庄内(荘内?)は、文化的にも内陸部とは違っていると言われています。風、雲、光によって姿を変える、遊佐町からの鳥海山の美しさに感動しきりの毎時・毎瞬でした。帰りには、山口吉彦さんが館長を勤めておられる「出羽国際村アマゾン民族館」を鶴岡に訪ね、いっきに庄内地域が身近になった三日間でした。

一日目の全体会には、この間紹介した『抵抗者たち』に紹介されていた大潟村の村長さんもいたので、逃したのは残念だったのだが、実質的な参加は二日目の分科会から。

第12分科会は、「知っているだけ、はもう終わり」-中長期CO2削減への道筋-である。これまで、さまざまな分科会のテーマとして、取り組まれてきたことが、どのように総合的な地域計画として「CO2削減」という目標に向かって積み上げられていくのか。その事例発表だというので、期待して参加。

パネラーの一人は、スウェーデンのエコ自治体連合SEKOMから、コニー・セーヴェヘムさんが「派遣」参加。費用はSEKOM持ちだという。通訳を務めてくださったのは地元河北町出身でスウェーデン在住の矢作さん。こちらも自費でのご参加だ。

コニーさんが議員を勤める地方自治体はVergburg、デンマークの対岸にあるギョーテボーグ(スウェーデン第二の都市)から南へ80キロ、人口58000人の町である。エネルギー公社、住宅公社などの会社組織を持つ自治体である。CO2削減のために、昨年度は35億5000万円を投資し、その内8億円が政府からの補助金であったという。対策は複合的なもので、それぞれの対策からの二酸化炭素削減が累積されて、中長期的な削減目標の達成が可能になるというバックキャスティング・シナリオだ。メニューは以下の通り。
■ 地域暖房
製紙工場からの廃熱水を利用して、地域の住宅の1/3に熱源を共有している。
■ ヒムレ川の自然環境回復
■ 安全で、自転車優先になるように車の乗り入れがしにくくなるような中心街道路の整備
■ 学校へ通うのは自転車で。そのためにも通学路の安全確保対策推進。
■ バイクレーンを全市で整備。
■ エコドライビングの講習を、自動車免許教習所で開催。自治体職員全員が受講できるように、また若い人たちには半免措置を講じるなど。10%の削減効果につながる。
■ 港湾輸送に力を入れ、鉄道から船への積み替えがスムーズになるように、幹線鉄道からの引き込み線を設置。
■ 1991年から取り組み始めている風車の設置も26基に。農家による建設にも力を入れていて、収入になる。5年後には個人・自治体の設置を含め80基になる予定。
■ 水力発電も導入。2015年までで68000トンの削減効果になる。
■ バイオガスは、都市内のさまざまな産業、家庭、廃棄物から170台の車を動かす燃料を作っている。その処理から液肥が生まれるが、よい肥料になる。
■ 住宅公社が5121戸のアパートを173カ所に所有。そのうち4300戸には製紙工場からの廃熱水で暖房を供給。処理業者との契約によって、家庭からの廃棄物は近距離処理を97%実現。生ゴミは79%をコンポストにしている。

以上のような総合的な努力の結果と、ガソリン・ディーゼルをいまも購入している分についてはヨーロッパの排出権購入枠を活用して、2008年4月にカーボンニュートラルを実現。現在も、企業や学校に対する研修や認証制度など、努力中。2012年には一人当たりCO2排出が4トン以下を目指している。新たな目標としては、食堂で提供される食べ物の15%以上を有機製品にする、20%以上の車の燃料をバイオガスにする、などの達成目標を掲げている。

それにしても、目標達成への集中的な投資力、そして自治体が公社を、エネルギー、住宅という部門についてもっていることの強みをしみじみ感じたプレゼンだった。現在299ある地方自治体のうち、71がSEKOMに加入しているという。(今年中に73になる予定とか)

次のパネラーは、最上町の高橋町長が共有林の活用、福生市の事例をコンサルタントとして関わった浦上さんが、そして来年の環境自治体会議の開催地多治見、杉並区のエネルギーカフェなど。

多治見市は窯業の衰退ということもあって、国や県レベルの二酸化炭素排出総量に対する金額別国民総生産に対する案分で算出した数値では、1990年レベルの15%削減をすでに2004年で達成しているという勘定になり、何を目標にすべきかの再検討議論から入ったという。2030年の30%削減目標は、現在の取り組みで十分達成可能なのだと。

環境自治体会議に、こういう大枠での目標設定と実践報告の分科会ができたことは、とてもうれしい。今年の環境自治体白書は、それぞれの自治体についてのデータが出されているというから、これは買い、だね! 重いから買わなかったけど・・・。

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by eric-blog | 2008-05-31 09:23 | △研修その他案内
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