214-7(1044)リスク学入門 5 科学技術からみたリスク
益永茂樹、岩波書店、2007
リスク学入門のシリーズ。専門的なデータ解析などを含んだ本なのだが、地球温暖化については、膨大なデータ解析ではなく、時間軸の長さ、不確実性の多さ、これまでの実験室型研究の限界や、防災対策の不人気と地球温暖化対策の類似点など、問題について書かれている。
また生態リスク評価に化学物質の影響評価なども含めている。
このシリーズには
1.リスク学とは何か
2.経済からみたリスク
3.法律からみたリスク
4.社会生活みたリスク
がある。
中でもおもしろいのは第四巻の「家族のリスク化」
この間ではリスク社会と社会保障、リスク社会の中の教育、リスク・コミュニケーションなどが論じられている。
「リスク社会の中の教育」で佐藤学さんは、「学校を第二のホームとして学びの共同体と同時にケアの共同体として機能させる。」ことを提案する。
新自由主義は、真の「リスク社会」へと導く。選択の自由は、好機よりも、リスクを被る人々を多く生み出す。
リスク社会に対抗する教育改革は、「リスク」を好機に変え、子どもたちの絶望的な「ギャンブル」を、希望を探究するチャレンジへと変える。53
その改革は教職の専門性と尊厳、保護者との関係、分権化によってなしどけられるという。それができる社会は、すでに、新自由主義でも、リスク社会でもないと、わたしは思うのだが。