209-4(1010)セレンディップの三人の王子たち ペルシアのおとぎ話
竹内慶夫編、偕成文庫、2006
この方、理学博士。セレンゲピティというのは、思わぬ発見という意味で、18世紀にホリス・ウォーホールが作り出したことば。そのことばの語源がスリランカを表すペルシア語であり、この物語だ。セレンディピティについて調べるうちに、思いが高じて翻訳をされたのだという。
物語そのものは千夜一夜物語のように、王子、王女、機知、たとえ話などに満ちている。物語の中で、三人はの王子は、ある男が探しているラクダが片目で、一本歯がかけていて、足が不自由だということを、道草や足跡の観察から見抜くというエピソードが、彼らの機知と才気を表すものとして紹介されています。
後書きでは、次の事例があげられています。
・レントゲンによるX線の発見
・海苔の繁殖の邪魔になるカビを退治するのにクエン酸が効くことを発見したノリ養殖業者
偶然と才気によって探していないものを発見する。
著者は、ご自身の指導教官から「学生に必ず教えるべき言葉だ」と言われたと。
観察力、類推力、それを「探しているもの」と結びつける力が科学研究では大切だということを意味しているのだと思いました。
この言葉自身は、209-3(1009)の本に紹介されていました。
セレンゲティという言葉で、図書検索をして、アフリカあたりにぶちあたっていたわたしも、すっかり、しっかり覚えました。