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現代の貧困 ワーキングプア/ホームレス/生活保護

203-4(984)現代の貧困 ワーキングプア/ホームレス/生活保護
岩田正美、ちくま新書、2007

なぜ、貧困を見つめるのか。格差社会という問題提起は、「格差がある状態」を示すだけで、そこには格差があって悪いという判断が必ずしも伴うわけではない。
それに対して「貧困」は「あってはならない」という価値判断を含むと、著者は言う。そして「貧困は個人の人権だけの問題ではない。社会統合や連帯の問題なのである。」219

貧困はバスのようなもので、人生のさまざまな段階で乗ったり降りたりしている。ずっと乗りっぱなしの「固定層」の問題と、一時的貧困層の問題は違っている。若いときの貧しさは人生のスパイスだが、それが固定化すると、「人格も、家族関係も、希望も、社会との関係も、打ち砕く」。そのような問題としての「貧困」に焦点を当てたとき、貧困は再発見されていくのだ。

OECD諸国における貧困率は10%、それに対して日本は15%。

生存費用がまかなえない「絶対的貧困」
生活様式からの剥奪指標による「相対的貧困」社会的剥奪

貧困をどう定義するか、いずれの指標から判断するか、議論はつきないのだが。

人生において、わたしたちは三回貧困に陥る危険があるという。020
・子どもだった時代
・結婚して自分の子どもを育てている時代
・子どもが独立し、自分がリタイアした高齢期

その時々に標準型からはずれた人生を選択した場合、貧困のリスクが高くなっているのが現代の日本なのだという。

学歴、離死別、離職などが貧困経験と結びつきやすい項目なのだという。091

「不利な人々」というのは低学歴、未婚、病気、たくさんの子どもの養育、不安定な職、家族からの支援の欠如、資産や貯金などの不足などという状況が重なりやすい「複合的」な状況にある人々のことなのだ。

豊かな時代の問題にも取り組みながらも、貧困の問題も継続している、そんな時代なのであるなあ。

どんな「社会的剥奪」を、あなたは「あってはならない」ものだと、思いますか?
by eric-blog | 2007-11-02 09:31 | ■週5プロジェクト07
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