202-3(979)We 10/11月号
特集 ビッグイシューが拓いた、もうひとつのドア
稗田和博、『ビッグイシュー突破する人々』大月書店
慈善でもない、公的システムでもない。ホームレスと若者と表現者たちが協働する形。
二ヵ月に一回、稲邑さんたちはよくやっているなあ、と思う。今号の柱の一つに、Weの夏合宿についてのお話が乗っているのだが、「計画を立てたり、見通しをもってやっているから男たちはだめなのだ」と、稲邑さんが言い切っているところがある。
そう、それは、ERICの運営でも感じることがある。破天荒なイベントの方が、パワーがある。
継続して改善していかなければならない質のものと、人と人とをつないでいく物語りとは別物だから、同一線上では語ることはできないけれど、経済とは人が動いているところに生じる渦のようなものだ。わたしたち一人ひとりは、それぞれにお金や資源、アイデアの流れの渦を起こしていて、それが一つの大きな流れにまとまることもあれば、それぞれに、干渉せず、大量消費の渦にただただ流れていることもある。
未来バンクなど、NPO立の金融機関が多重債務防止のために金融機関の原資を5000万円にするとかの規制で、運営が厳しくなるというニュースがあった。
環境や福祉に関わる事業を行っているところに低金利で融資し、経営相談にものっているというそのバンクは、こまめに現場に出向いているので、第三者による保証はよぶんな負担になると言う。
Small Businessが成り立ちにくい風土は、果たして持続可能なのか。
思いつきでやる、気軽にやる、百姓をやる、一つの収入源ではなく、多岐に渡るものから収入を得る。そちらの方が、よほど、生きている存在に思える。
システム思考をすることが大切なのであって、システムが大切なのではない。システムがあるのにシステム思考をせずに、システムの裏をかくことばかりをするために、システムがよけい雁字搦めになっていく昨今、ビジョンの共有なきシステムは崩壊する、と心底思う。