198-7(964)日本人の正体
養老孟司、テリー伊藤、宝島新書、2006
『オバサンとサムライ』2004の新書版。
養老さんの本は、全体としては何を言いたいのかよくわからない。ひとつのことを言うために書いているのではなく、エッセイであったり、対談であったりするからだ。日本人の正体はオバサン=その代表的存在が扇千景さん、という発見に至ったノリノリの対談。と、ご本人たちの評価は高い。
けれど、わたしがおもしろかったのは、次の二つ。
わたしたちの頃にもいじめはあった。しかし、その頃、子どもには四つの世界があった。人間世界のいいとこと悪いとこ、自然世界のいいとこと悪いとこ。49
子どもの世界が半分になって、つらさが倍になった。
天才は身体という個性的な存在である。だから、伸ばすのではなく、その個性を邪魔しないこと。
身体的なところにこそ個性があり、脳は公共的なものなのだ、というのは養老さんが常々主張しているところ。も一つ発見したのは、脳は外肺葉から発生するのだということ。
脳は外界との接点なんだね。
膨大な著作を退職後に物している養老さん。論文を書いているより、よほど楽しいのだそうである。そして、すべてのマネジメントを自分自身で行うことで、自分のバカを治そうとしているのだそうである。まじめな人ですね。
ふふふふ、ははははは。笑ってしまったのは、テリー伊藤さんが、女の子を口説くのに、「一日に10分、人間が作ったものでないものを見つめること」という養老さんの言葉を引いて口説くのだと、「星や花をみつめてごらん」と言うと成功率が高いといっているくだりを連れ合いに話したら、「大丈夫、ぼくは毎日ナオコを見ているから」と言われた。なるほど、わたしは自然が作ったものなのだ。え?