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政治の発見

190-5(916)政治の発見
ジグムント・バウマン、日本経済評論社、2002
In Search for Politics, 1999

無謀である。ギデンズとフーコーとバウマンを連続して紹介するなど。しかし、「インターネットの人権侵害」というレッスンバンクを作るために、このバウマンは欠かせない。なぜなら、「公共性の発見」というキーワードがなければ、「マツリ」を読み誤ってしまうからだ。

個人的自由の増大は、集団的無気力の増大と表裏一体である。3
私的領域と公的領域の架橋がうまくなされていないので、・・・公的に述べられる唯一の不満は、多くの私的な苦痛と不安である。4

現代の社会性は、一回限りの華やかな爆発で開放され易い---あらゆる爆発がそうであるように、短命である。4

この状況を変えるチャンスはアゴラにある。私的でも公的でもない、私的でも公的でもある領域。・・・「公共善」「公正な社会」「共有価値」といった初観念が乱され、形成されていくような領域。
古いアゴラは、企業心のある開発者によって継承され、テーマ・パークという形をとってよみがえっているのに対し、有力な勢力は政治的な無関心と相俟って、新しいアゴラの建設許可を拒否している。5

個人的自由は共同作業の所産にすぎない。(共同してはじめて確保され保障される。)10

「言うは易し、行なうは難し」と、序章で問題提起をし、第一章が「公的領域の発見」。紹介されているのは、刑務所から出た人が「ある町に来る」ことに対する抗議の例である。15
「これまで公的な行為に参加したいという希望を表明したことのない多様な人々が、・・・包囲攻撃を行った。・・・「その厄介者を殺せ」と叫び・・・監視した」16

「大声で、公的に、しかも、絶対に罰を受けることなく、誰かを現実に憎悪するという稀有な機会。・・・自分たちをまともなものと決めてかかっている。激しい憎悪の対象となりうるものは、めったにいない」
「ついに大義を見つけた」「共通の大義、町全体を刺激する興奮である。」

他、面白かった部分。

「イデオロギー」というのはideaのlogic、つまり「思想の科学」という意味である。162合理的に行動する人間によって構成される社会の建設のために「思想の科学」は、思想の法則性を見出し、用いる。
思想の科学がなさねばならないことは、無知に対する戦いと誤った教育・教師に対する戦いであった。163

「伝統と自律性」196-199
必然的に現代は選択者の社会である。
何を選んでいないか、そして選んだ結果を引き受けることが我々の運命だ。

伝統とは他律的である。
凍結した信頼が疑われることのない社会。
服従を要求する規則の人間的起源について認識することを拒否したり反対したりする社会。
植え込まれた制度的性質

自律的社会とは自律的個人の社会である。自己決定する個人。
多元的に構成されているアイデンティティ。[ホール『アイデンティティを必要としているのは誰か』1997]
by eric-blog | 2007-07-14 10:15 | ■週5プロジェクト07
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