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希望 行動する人々

182-5(868)希望 行動する人々
スタッズ・ターケル、文春文庫、2005
Hope Dies Last, Keeping the Faith in Difficult Times, 2003

9.11の後、世の中に希望が見えないように感じていた時、この本に出会ったと、訳者は前書きで言う。1912年生まれのターケル、90才での仕事である。

ターケルの本は『Black Like Me』が縁でひも解いてみた。
『よい戦争』『仕事!』『死について!』など、いずれも、50-60人の市井の人々に対するインタビューで構成された激厚本だ。読むうちに、時代が、社会が、自分の中に構成されていく仕掛けだ。
ライフストーリーインタビュアであるターケルによって、さまざまな人生が共存し、流れ、つむぎあい、からみあっている現在が映し出される。

これらの本と、『希望』の違いは、今度は活動家だけに絞っていることだ。市井の人々に対して、『希望』を語ってもらっているのではない。行動することにこそ、希望はあるのだというメッセージが明らかなのだ。

活動家とはトラブルメーカーでもあると捉えられるわけだが、「民主主義はほおっておけば、保守に流れる」「市民が運転席に座って方向付けることが大切」という声は大切だ。
ERICが翻訳している『フード・ファースト・カリキュラム』に前書きを寄せているフランシス・ムーア・ラッペへのインタビュー、トム・ヘイドン、ガルブレイス、ピート・シーガーなど、著名な人も含まれているが、学生やホームレスから立ち上がった人など、合計24名が収録されている。原著の半分でしかない、と訳者は言う。

当たり前のことだが、人は生きている。
希望を持って生きている。
自分の場所で生きている。

世界で起こっていることの情報や、流れを構成しているのは、そのような「わたし」なのだ。

わたしが希望をもって行動することをやめないかぎり、世界に希望はある。

1964年にも絶望はあったと、トム・ヘイドンは言う。しかし、その時には「いい年長者がいなかった」と彼は言う。年長者はフラワーチルドレンを理解できず、反対する保守だった。いま、彼は「私の目標は、私が若い頃にはいなかったような年長者になることだ」と。

人類社会は、超長寿によって、どのような新たな知恵を身につけていくことができるのだろうか?

今朝のニュースは、81才の羽田澄子さんの新作映画についてであった。
Think! And keep your eyes and mind wide open!
by eric-blog | 2007-05-19 08:47 | ■週5プロジェクト07
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