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打ちのめされるようなすごい本

163-2(773)打ちのめされるようなすごい本
米原万里、文芸春秋、2006

よねはらさんは、今年5月にがんで亡くなってる。わたしより5才年上。子どもの時にロシアに親の赴任で在住。ロシア語の通訳者として、ロシア語通訳協会の事務局長や会長などを務めてきた方。

1995年に会長になった頃から、書評などを週刊誌などにも連載するようになり、これは週刊文春に連載した「私の読書日記」といろいろな所に発表された書評の二部構成。文春の連載の最後が「癌治療本を我が身を以って検証」1,2,3となっているのが痛ましい。300

職業柄ロシア、東欧関係の政治情勢も含めて、ふだん目に止まらないであろう書籍が紹介されているのが新鮮である。

人は、読書によって、生き延びる力を与えられること、書くことによって、自分をまっとうできるものでもあるらしい。

予約できる限りのものは予約して、これから読んで行こうと思う。

以下は予約に入りきれなかったり、あるいは図書館になかったりするもので、読んでみようと思うものです。
・アリはなぜ、ちゃんと働くのか
・よみがえる部落史
・地球は売り物じゃない!
・革命の中央アジア
・「テロリスト」がアメリカを憎む理由
・2050年のわたしから 本当にリアルな日本の未来


イタリア語の通訳ができる人は5人ほどしかおらず、その第一人者に通訳してもらいたいがために、毎年イタリアから人を招いている団体もあるとかいう通訳秘話も楽しい。兼高薫さん、鳥飼久美子さんや伊庭みかこさんなど、通訳上手は、勉強家が多いし、国際感覚もすぐれていておもしろいね。

「(日本的な)組織内の個人は、ささやかな保身や出世のために全体の趨勢を敏感に察して、それにそうように動いて行く。」

それらの組織の間を、彼女らのような自立した個人が「通訳」している。そのような存在にほっとすると同時に、組織に取り込まれた女男双方の存在がこわい。

・文学部をめぐる病い
・モダンガール論
・ベリヤ スターリンに仕えた死刑執行人
・明るい夜 暗い昼

書物も、生きた人間と同じように「生きてる」のだなと、改めて思う。
by eric-blog | 2006-12-25 11:33 | ■週5プロジェクト06
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