人気ブログランキング | 話題のタグを見る

環境市民とまちづくり

151-4(727) 環境市民とまちづくり3 地域共生編
進士五十八編、ぎょうせい、2003

編者は東京農業大学の学長である。地産地消、歴史的景観保全、棚田支援・野焼き支援ボランティア、ワーキングホリデー、行政と住民の中間セクター、エコロジーキャンプ、サスティナブル・ツーリズム、エコ・ツーリズムなどの実践報告が並んでいる。

全三巻の出版物によって
・自然との共生
・環境共生
・地域共生
の「三つの共生」を考えることで、21世紀の地球社会を生きる知恵を探ろうとしたという。
編者は、地域共生がいちばん難しいという。生物的自然との共生や資源エネルギーとの共生は、モノとの共生である、のに、地域共生は、国、地方、場所との共生だが、本当はその主人公である「ヒト」の「ココロ」との共生である。10

地域の特色を構成する5つの側面を、スイス政府の『ランドスケープ・コンセプト』から引用している。13
・生命の空間
・自然の空間
・文化の空間
・経済の空間
・体験の空間

同じく東京農業大学の麻生恵さんが指摘しているように、「これまでの自然景観保全は構造物の建設や森林伐採など人間が環境に働きかけ過ぎることを規制したり保護制度を設けて解決してきた。現在の国民的風景の危機は、自然への人間の働きかけを回復しなければ解決できない。」22

まさしく、和辻が指摘したように、日本の風土は、日本の社会経済構造、ライフスタイルに根ざしたものだ。「景観」のためにという行動によって「風土」は出来ていたわけではない。

わたしたちは、これからどのような「風土」を育み、次の世代につなげていくのか、大きな宿題を課されている。
1994年に「地球の未来はみんなの手で」というワークショップを行った時の資料に「日本の農地は約600万ヘクタール」としたように思う。それが現在は、478万ヘクタール、だそうだ。国民一人あたりの農地面積は4a。

北海道の人が「地産地消」を提案しているというのが、新鮮。
また、霧多布で、漁業、そして湿原保全の活動からホテル経営などにも取り組んできた瓜田さんの報告は、地元の人の自然観などが書かれていておもしろい。

さて、来年の環境自治体会議は、愛媛県内子町。岡田文淑さんが「町並みから村並み」へと題して取り組みを紹介している。240-
町域 120km2、人口12000人。高齢化率30%!
江戸から明治時代には和紙と木蝋で栄えた町。
1970年代から、観光資源としての町並み保存にとりくみ出した。
1982年町並保存条例、可決。
しかし、2001年の意識調査においては、保存地区の住民の30%しか「やってきて良かった」と答えていない。248
保存される町並みだけではなく、それを取り巻く村並み全体も考えようという面への広がり。
まず、取り組みのネックだったのが「会長」という人々の「市民参加」意識と現実。
行政とは与えるものであり、その利益誘導のパイプ役が、それらの「市民」なのだ。
そして、行政組織そのものの抱える矛盾、慣習や制度。
与えてしまう、ハコモノを右へ習えで作ってしまう「足し算」を行政がやるのではなく、「引き算」すること。何が大切かを考えること。255

行政人は住民活動のサポーターへ。
と、この時のタイトルは「行政マン」となっているのだが。Gap合宿の後だけに、むむむむ。

残りの二巻も読んでみよう。
by eric-blog | 2006-10-11 12:10 | ■週5プロジェクト06
<< プリオン病とは何か いのちのまつり >>