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日本の漢字・学校の漢字

151-2(725)日本の漢字・学校の漢字
下村昇、高文研、2006

たくさんの漢字の本を出している著者の新たなシリーズ、第一巻。
漢字は「表意文字」というより、日本では、見る、観る、視る、診る、看るなど、単語そのものも違ってしまうものなので、「表語文字」なのだ 11 という指摘ははとてもおもしろい。
取る、撮る、採る、捕る、執る
聞く、聴く、効く、利く

「あ」「ア」のような表音文字の指導と違って、【言葉の学習】は
・言葉の表記方法
・言葉の発音
・言葉の持つ意味内容
の三者が一体となって完成するもの。19-20
漢字は「教えるべきものではない。使わせるべきものだ」20

基礎基本として選ばれている1350字の漢字の特徴は
1. 日常の生活に直接に関係を持ち、親しみの深いもの
・数字・方位・季節・行政区・人倫・衣食・徳目・色彩・植物・動物・鉱物
2. 熟語構成の力が強く、それが広い範囲に及んでいるもの
・名・流・在・その他
3. わかりやすい熟語の構成成分で、対照的意義を表わすそれぞれのもの。22-23

教育漢字1006字をマスターする。

熟語の上に来る場合と下に来る場合で、意味と読みが変わる。
・画家、画商、画面
・計画、企画

・交易、貿易
・容易、難易

などの法則を考えると、応用が効くし、調べて見ようというのにつなげられる。88

日本の漢字の発音には呉音、漢音、唐音の三種類がある。98
・呉音 仏教伝来とともに江南地方から朝鮮半島を経由して渡来した音。はやくから日本語化し、和音とも言う。
・漢音 随唐代に遣唐使や留学生によって移入された
・唐音 鎌倉、室町以降、江戸時代までに禅僧や商人たちちによって伝えられたもの「暖簾」「行灯」「普請」 漢音・呉音ほど体系的には残っていない

熟語の出来方 107
1. 上から下へ
2. 下から上へ
3. シーソー型
4. イコール型
5. その他
・打ち消し ・性、然、化などがついてできた ・三字以上 ・長い単語の略

同訓異議語と同音異議語 111
教育漢字1006字の中で、音読みだけで訓読みのないもの 296字
「部屋」などは熟字訓として認められている。
訓読みしかないもの 6字 「届く」「貝」「株」「箱」「畑」「皿」

漢字指導にとって教師に求められる「七つの資質」140
1. 漢字の来歴と定着過程を研究していること
2. 音訓がなぜあるのかという質問に答えられること
3. 新しい表記に熟すこと
4. 一点一画をおろそかにしないで書くクセをつける
5. 一般的な筆順指導と新たな工夫
6. 漢字は読み書きの機会を増やしてやるほど、習得率は高くなる  147
7. 学習者の興味や必要に訴えて指導すると学習効果は上がる

言語活動の基本は「理解から表現へ」「聞くことから話すことへ」「読むことから書くことへ」。漢字の指導は言葉の指導。

「本来、日本語の表記は漢字とかなを交ぜて書く方式です。・・・既習・未習を問わず、教科書に出す文章では、教育漢字を使って表記できる言葉はなるべく漢字を使って表記する、ただし、未習漢字にはルビをつける。」154-155
これは大賛成!!!
図かん、やにん者なんて無理に書くな!

で、下村さんは「子供」と書くんだよなあ。

参考図書としては、必携はこれだそうだ。
・『文部省 用字用語例』1981
by eric-blog | 2006-10-04 11:15 | ■週5プロジェクト06
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