129-2(621) 世界子ども白書2006「存在しない子どもたち」 unicef
子どもというものは、見えにくい、目に入りにくいものだ。富とサービスの交換で成り立っている社会では、「主体」ではないからだ。例え働いていも、誰か他の存在が後ろにいる。 道ですれちがって、「なんて奴だ、親の顔が見たい」と思うのが、子どもだ。たぶん。いつもその後ろに「誰か」がいる。 存在しない子どもたちは、子どもであるから見えにくいのに加え、後ろの誰かが彼らの健康、教育、平等、保護を与えていないのだが、そのことが社会で「見えない」子どもたちのことだ。子どもは見えていても、保護の不在は見えない。 生きることが、一日一日、生き延びることが戦いである子どもたち。 「子どもが暴力・虐待・搾取から自らを保護してくれる環境を失うおそれがあると見なされる場合、必要不可欠なサービス・財を受けることができず、将来社会的に全面的に参加するための能力が脅かされるような状態にある場合に、その子どもは他の子どもに比べて排除されている状態にある、と考える。子どもを排除する主体は、家族やコミュニティ、政府、市民社会、メディア、民間部門、および他の子どもなどである。」7 排除という概念は存在する。定義をめぐる知的議論が続く中、ある程度の合意もある。7 「排除とは経済的・社会的権利、ジェンダーに関わる権利、文化的・政治的権利の剥奪を含む多面的な現象であり、物質的貧困よりはるかに広い概念である。」7 差別、不利、剥奪の背景に社会政治的な強化要因も含まれている。 議論の中でも共通する点は、相対性 比較してしか決まらない、作用因があり、是正手段が特定できる、流動的要因、現在だけからではなく、先々の展望が明るくないことを根拠とする場合もある、という3つである。 先進国は18才未満人口が平均21%であるのに対し、開発途上国は37%、後発開発途上国はなんと49%なのである。こりゃ大変だ。半分じゃん。12 1999年以降に内戦のあった国々では5人に1人が5才未満で死亡する。14 ・「脆弱」な国家に暮らす子ども、後発開発途上国は「脆弱」であることが多い。 ・農村部と都市貧困層 ・所得の不平等 ・マイノリティ、先住民 ・障害 ・放棄ネグレクトと偏見 ・貧困、紛争、エイズ ・こう留中に忘れられていったケース ・児童労働 ・適切な医療の欠除 ・人身売買 ・早婚 「脆弱」な国家の特徴は、諸制度の弱体化、高度の腐敗、政治的不安定、法の支配の衰退、効率的な行政を支える資源の欠除、などである。15 マクロな統計にミレニアム開発目標は基づいているが、もっと細やかな対策を忘れてはならないと報告書は言う。 この報告の作成に貢献した国々としてあげられている中に、日本はないため、日本国内の「存在しない子ども」の事例はあげられていない。 「保護の不在」を見ようとしない社会ではないのかどうか、自己検証が必要だろう。 後発開発途上国 50カ国 アフガニスタン、アンゴラ、バングラデッシュ、ベニン*、ブータン、ブルキナファソ*、ブルンジ、カンボジア、カボヴェルデ、中央アフリカ共和国、チャド*、コモロ、コンゴ民主共和国、ジブチ、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ギニア、ギニアビザウ、ハイチ、キリバス、ラオス、レソト、リベリア、マダガスカル、マラウイ、モルディブ、マリ*、モーリタニア、モザンビーク、ミャンマー、ネパール、ニジェール、ルワンダ、サモア、サントメブリンシペ、セネガル、シエラレオネ、ソロモン諸島、ソマリア、スーダン、タンザニア、東ティモール、トーゴ、ツバル、ウガンダ、バヌアツ、イエメン、ザンビア 脆弱な国家の不幸は、これらの国々の中のアフリカの諸国が『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語』の中の綿花の悲劇に名前を列ねていた(*)ように、経済にからんだ政治で勝てないことである。零細さは、生産者レベルに限らない。国際政治の場に出かけなければならない人材もまた、乏しいのが、これらの「脆弱」な国家なのだ。 【発展読書】 ベニサー・スティーブンス 「(16才の時から一緒に暮らし始めた)父は私の人間性を認め、運転を教えてくれたり、仕事を見つけるのを支えてくれたりして、人間性が花開くよう励ましてくれた。母がけっして許してくれなかった自由を、父は認めてくれた。そのおかげで私は自分自身が愛することのできるアイデンティティを築き上げていった。」自身も骨形成不全症障害者で、障害者の美に関する本をまとめた。治療は受けれても、精神的な刺激がない、障害についての否定的偏見を内面化してしまうことなどで、自己意識、自己肯定感を育てるのが難しいことをコラムで書いている。 -- empowerment education -- Power Within わたしの中の力に気づき、引き出す Power With あなたとの関係の力を築き、引き出す Power To みんなの力、社会を動かす力を、引き出す
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| 2006-04-06 05:44
| ■週5プロジェクト06
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