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科学の未来

123-4(574) 科学の未来
フリーマン・ダイソン、みすず書房、2005
Imagined Worlds, 1997

科学モノを読んで、涙が出た。
カナダ映画の「コズミックワールド」がミクロからマクロの世界を見せてくれたのに対して、ダイソンは、55億年前のビッグバンから55億年後の宇宙までの予測までのナビゲーターを務めてくれる。

ダイソン、74歳の著書である。若くして核の平和利用に道を開く研究に携わり、そして最近では核実験を伴わない核兵器の保持能力についての研究に関わり、核兵器が式典のために養われている騎兵隊の騎馬のような存在になる未来の可能性を描き出す。20世紀後半の科学の変遷を、体現し、科学の道を選ばなかったヒッピー世代の息子との接点を取り戻し、社会の変遷を体現してきたことのおもしろさが見える。

最後の章「倫理」から、二つを紹介しよう。

「労働者の望みは何か。
学校が増え、刑務所が減り、
本が増え、銃が減り、
知識が増え、悪徳が減り、
余暇が増え、貪欲が減り、
正義が増え、復讐が減ること。
そして、われわれの天性のよい面を養う機会がもっと欲しい。」
サミュエル・ゴンパーズ 155
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老いた無知

時間の海に溺れ、
長年の深い無知の中で、
神聖かつ冷酷に、
月下のあらゆるものの羽根を切る。

『天国の門』ウィリアム・ブレイクより 179
by eric-blog | 2006-02-23 09:52 | ■週5プロジェクト05
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