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貧困と不正を生む資本主義を潰せ

122-2(566) 貧困と不正を生む資本主義を潰せ 企業によるグローバル化の悪を糾弾する人々の記録
ナオミ・クライン、はまの出版、2003
Fences and Windows,2002

http://www.nologo.org/をお気に入りに入れることに決めた。まだ『ブランドはいらない』は読んでいないが、この本は、その出版の後、彼女があっというまにグローバリゼーション反対運動の只中に入ってしまい、そこで経験したことを毎週「グローブ・アンド・メール」に書き送った記事の集大成である。同紙は「カナダ最大の地方紙」と紹介されている。最大の地方紙? インターネットで見る限り、権威的あるいは商業的なにおいの少ない作りかただけど。

彼女のレポートはジェノバ、ウーメラ、プラハ、メキシコ、アルゼンチンからと、活動家たちと学習会と講演会やデモで町があふれかえっているようだ。

1999年から2002年。わたし自身はちょうど結婚もし、happily building our base期でしたね。その15年前、この頃のナオミと同年の頃は、ちょうど出産育児だったし。ここで紹介されているような活動はしていない。それぞれの世界はそれぞれに続いている。無関係なようでいて、どこかでつながって。

しかし、共通している認識は、「利益より人」「地球は売り物じゃない」という認識が若い人たちの間に広がっているということだ。もちろんそうじゃない人もいるけれど。(それは日本でも同じこと)

大学時代はアジア学生会議で、アジアの学生運動を垣間見つつ、国内の消費者運動、成田闘争などに近いところをウロウロ。大学院で平和運動の一端に触れ、卒業後は子育てもあいまって女性運動に触れ、数年してグリーンピースで環境運動に触れ。

すべての根っこは共通している。そして、すべての根っこに共通する問題を解く鍵も。

カナダの警察がアメリカから学んだことが紹介されている。165-68
・先制攻撃-何が何でも活動家の「華」を当日は拘留しておく
・警察の暴力を正当に見せる
・市民運動も暴力も一緒くたに見せる
・分裂させ、戦わせる
でも、そんなこと、日本では70年代にはやっている。新しいなと思ったのは「企業によるグローバル化」が進む一方で、「政治そのものは閉じられたコミュニティに引きこもっている」168ということだ。ひとつの国際会議のフェンスを開けさせたと思っていたら、意思決定が別のところに動いているという。しかも、だんだんと山奥で。

いま、運動の中で教えられていることは、自分たちや自分たちの関係を「非モノ化」しないこと。らしい。

自分たちが反対しているものと同じことをしないこと。

集中・統合・均質化をしないこと。

経済原理主義と宗教原理主義のように、力を頼みにしないこと。

強いリーダーを生まないこと。中央集権化しないこと。土着の知恵を生かすこと、心に訴えること。サパティスタのように。

人の心に訴えるものを自分の中に探すこと。育てること。

そうすれば、わたしたちは、すでに「閉じこもったコミュニティ」で世界を動かそうと思っている人々を全方向から囲むことができる。

ナイキというシンボルを戦いの矛先にしてきた戦いは終わったという。それは真の目標ではなく、「窓」だったのだ。と。247

わたしたち、ひとりひとりが生きていて、誠実に生きていて、少しずつ世界をよくしようとしていて、何をしたらいいのかを互いに教えあって、協力していけば、そんなわたしたちで、世界は埋まる。多様な風土に根ざしつつ、育てつつ。これまで、人間がそうしてきたように。

フェンスは人間が作ったものだけど、フェンスを越えてわたしたちがお互いをつなぎ、つながらなければならないのは、どこなのか、なぜなのか。
by eric-blog | 2006-02-14 09:24 | ■週5プロジェクト05
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