人気ブログランキング | 話題のタグを見る

コミュニティ・ビジネス

120-1(562) コミュニティ・ビジネス
細内信孝、中央大学出版部、1999

雑誌Weの特集に刺激されて、ちょっと「コミビズ」業界探ってみました。
この著者はヒューマンルネッサンス研究所というオムロンが出資している研究所の研究員。地域コミュニティにおける社会開発の事例を6年間にわたって記録してきた集大成であると、おっしゃっています。

ヒューマンルネッサンス研究所の面白いところなのでしょうか、公開講座、勉強会などを研究員の方が精力的に開催しているように思います。そういう活動を見ていると、教育ってせまい業界なんだなと、しみじみ思います。いろいろな意味でいびつで矮小、近視眼。劇的Before Afterでものの見方を転換せんとなあ。

わかりやすく、そして事例の豊富な本です。

コミュニティ・ビジネスを通常のビジネスと比較した対比表があるのですが、22
利害関係、マーケティング、事業コンセプト、成果の視点で比較しています。
複雑で長期的な利害と、弱いマーケティング、共生を事業の目標とし、得られる成果は意義や意味であるというまとめです。
ボランティアと企業の中間とも位置づけられていますが、地域通貨など「小さな経済」の動きとも連動しているように思います。
著者は、海外の事例研究も行っているのですが、日本の場合は、中間的な意味づけを見失いがちだという指摘はおもしろいと思いました。55

・事業としての自立
・地域コミュニティによるコントロールと所有

この二つがコミビズの特徴であるとイギリスでは規定されているのですが78、日本では前者に重きが置かれ、後者の方法、やり方、市民性が不在、民主主義の異質性に理由がありそうです。

イギリスに本部があった時のグリーンピースも有限会社というステイタスしか持ち様がなく、そのためにNPO法人の可能性の高いオランダに移ったという経緯がありました。コミビズの方から見てみると、逆に、地域規模でこそ機能するやり方なのだと発見しました。
理念の共有が大事、ですね。

第四章で紹介されている日本の事例は以下の地域です。

・飯田市
・墨田区
・野沢温泉
北区も紹介されていて驚きました。

コミビズを始めるヒトの4類型も面白いネーミングなのでご紹介しておきます。152
1.市民企業家タイプ
2.7人の侍タイプ
3.コミュニティ共同体タイプ
4.失業者タイプ

NPO・起業・地域開発の総合された課題としてのコミビズ。地域風土からの切り口だと言えますね。
by eric-blog | 2006-01-29 09:29 | ■週5プロジェクト05
<< 『未来を学ぼう』ESD fc BQOEの諸原則 >>