115-6(540) 不況! 東京路上サバイバル
増田明利、恒友出版、2004
28人のホームレスに対するインタビュー集。有名大学卒業して、有名企業入って、それでリストラされてホームレスに、という人、いるんだねぇ。
とはいえ、マンガ本拾って日に2000円の稼ぎ、月に15万円を稼ぐ生活に対しても、それで充分、と思う人と、えーーーっと思う人がいるんだね。
失業は、職業選択の自由と職業移動がある社会では必ず存在するものなのだと思う。じゃなんで、ホームレスにまで至るの?
そこにバブルに踊らされ、高い住宅を取得し、長年のローンを組んでいた、35歳以上の「職探し適齢すぎた高齢」というファクターが加わると、あっという間に借金地獄。住居がなくなる。離婚する。信用がなくなる。よりいっそう職探しが厳しくなる。という悪循環を作り出している。
そのことが「大企業に勤めていても安泰じゃないんだよなあ」という感想に結びつく。
それは違うはずだ。
不況を嘆くと、再びバブル待望論的になる。インタビュアーが、どうもいまのホームレスの人々が語る「昔はよかった」に流されすぎている気がしてならない。
中期的には10%程度までの失業率であれば、大丈夫な社会を創ることを決意しつつ、短期的にはいまのホームレス対策をすべきなのだと思う。
とはいえ、いよいよ団塊の世代が定年を迎えだし、ホームレス人口も増えそうだ。団塊の世代が日雇い労働者の労働条件改善に多少なりとも寄与した部分があるのであれば、次は、ホームレスの支援政策が改善されていくことに貢献しないものだろうか。
冬季支援は必須ですね。カンパ。