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新たなマイノリティの誕生 声を奪われた白人労働者たち

新たなマイノリティの誕生 声を奪われた白人労働者たち

ジャスティン・ゲスト、弘文堂、2019

3371冊目


孤独や孤立は、すでに時代のキーワードだ。


ミドルクラスの孤軍奮闘を描いたこの本。

https://ericweblog.exblog.jp/15658451/


そして、米国におけるコミュニティの崩壊。

https://ericweblog.exblog.jp/7459630/


そして、この本の著者は、白人労働者は「白人」というマジョリティであるがゆえに、マイノリティとしての属性を確立することや団結から遠いという。


それは、裕福な黒人層が、社会政治的には共和党の政策に親和性が高いにも関わらず、マイノリティ支援の政策に賛同する、ないし賛同していると見られているのと、対照的だ。


白人労働者の特徴を著者は次のようにまとめる。62

・社会経済的不平等を拡大させている経済的あ知力から影響を受ける。

・将来、社会階層間の移動がおそらく難しい子供達を育てている。

・福祉全般や政治的影響力を増大させる機会について悲観的である。

・選挙において彼らの指示や見解をあまり求めようとしない政党から影響を受けている。

・無秩序に広がる都市の周縁か、衰退しつつある工場街に居住している。

・このような社会的政治的状況の変革に無頓着か、そうでなければ反抗している。

・政治的変革や課題設定を行う能力に自信がない。

・それにもかかわらず多くの場合、再分配政策を支持しない。


つまり、「負け組」なのに、従来の負け組が「差別」や「マイノリティ」を盾に戦ったような生き方はしない人々ということか。


孤独なミドルクラスのように、労働者階級として団結するのではなく、「自分自身」の力で戦うという価値観を持ちながら、実は戦うための資源を「白人」という以上は持てていない。


実際、わたし自身、「労働者」が団結する、できるということに、すごく不思議さを感じていて、そういう意味でマルクス主義や資本論の社会的影響はすごいなと驚くのだ。だから、白人労働者が団結できないのはよくわかる。個人の問題だし、個人の努力だし、自己責任でしょ?みたいな方が、楽じゃないですか?


にも関わらず、長らく「労働者」は労働者というだけで団結できてきていた。マルクスすごい!


「安心社会から信頼社会へ」の変換が日本では難しく、キリスト教社会においてそれができていることの方が奇跡だと、山岸さんは指摘している。

https://ericweblog.exblog.jp/11411425/


同様に、マルクス主義は労働者の間に「信頼」を生み出していると言えるのではないだろうか。属性の類似という点では「安心社会」ですらある。


しかし、この本が示していることは、一旦信頼社会へ移行してしまった社会では、「安心社会」はできないということなのではないか。白人労働者たちは、地縁血縁コミュニティなどという自然発生的な「安心社会」からも、隔絶されているように見える。


それは、彼らが「安心社会」の靭帯を形成する論理に馴染めないからではないか。


などという疑問を「??????」たくさん持ちながら、一生懸命読んだのだが、著者の関心や論理の展開と、わたしの「?」はとてもかけ離れていたようで、疑問符は残されたままだ。山岸さんの本は翻訳されているのかしら?



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by eric-blog | 2019-08-18 14:33 | □週5プロジェクト2019
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