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障害のある子の親である私たち その解き放ちのために

障害のある子の親である私たち その解き放ちのために

福井公子、生活書院、2013

3296冊目


徳島県阿波市、同い年! となれば親近感もいや増すと言うもの。

息子さんが自閉症で知的障害。この本が書かれた時に37歳、5年以上がたち、すでに40代になるか。


障害を持って生まれた子どもの母は、どこか被差別者のアイデンティティの変遷に似たような心の成長の段階を経るようだ。


例えば、カリブ出身のマリーズ・コンデ。

1. 幸せな子ども時代

2. フランスに渡って、有色人種に対する差別に出会う、自己否認

3. アフリカにルーツ探しに。自己肯定、自己受容。

4. 先進国に戻り、差別的な社会の中での自己確立


例えば、『部落の青春』

1. 幸せな子ども時代

2. 差別との出会い、自己否定、ショック。

3. 運動の歴史やカミングアウトしている人たちと出会う学び直し

4. 言う言わないは本人の選択、多様な青春がある


障害を持つ親たちも

1. 遮二無二子どもの世話に明け暮れる時代、病の否定、改善の希望

2. 障害者に対する差別が年齢が上がるとともにあからさまになり、強くなる。差別的な視線の内化、二重の差別

3. 運動に連なり、異なる視線を獲得する。社会からのサポートや支援を獲得する。

4. 障害の程度は人さまざま。サービスや支援の結果「できる」ようになる人ばかりでもない。


女性も同じだ。

1. 幸せな子ども時代。ピンクフリフリが好きでも、嫌いでも構わない。

2. 「女」に求められる視線に傷つくこともある体験をする

3. 女性解放の視点、運動との連なりなどによるエンパワメント

4. ハイブリッド・ウーマンも含め、女の戦い方は多様である中での自己確立


もちろん、差別のない社会を、わたしだって目指している。毎日が戦いだ。

最近は女の子に対する暴力がひどくて、ニュースを見るのが嫌になる。どうしてくれようぞ!


自閉症という診断が生まれたのは1943年。まだ70年ほどの歴史しかない。その中で、療育のあり方をめぐって、試行錯誤が繰り返されてきた。著者と息子さんの37年間の歩みは、まさに、その歴史の中で歩まれてきたものだった。


自閉症の支援にも流行がある。その中で「新しいものより、変わらないものへ、有名な先生よりも身近な支援者へ」と気持ちが変わってきたという。111


『光とともに』というコミックにも違和感を抱えてきたという。


保育園を卒業するシーン。光に変わって、母親が答えた言葉。「大きくなったら明るく元気に働く大人になります。」101


合理的配慮を求める運動をしている人は、合理的配慮さえあれば、課題が解決され、社会に役立つのだと、言っていないか?


著者はここで『母よ!殺すな』を想起する。


障害者の生きる権利そのものだ。社会的に役立つためではなく。




by eric-blog | 2019-04-08 12:23 | □週5プロジェクト2019
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