介護士K
久坂部羊、KADOKAWA、2018
3277冊目
1955年、大阪生まれ、大阪大学医学部卒業、作家で医師。医療分野での執筆多数。
果たして、彼は三人の高齢者を殺した、あるいは自殺を幇助したのか?
取材するジャーナリストも、弁護する弁護士も、捜査する警察も、それぞれに「彼」にある一定の役割、事実を期待する。
ジャーナリストは「高齢者に同情して自殺を幇助する」善良なる介護士としての彼を求め
弁護士は、幇助の事実も、殺人もないと主張
警察は、「高齢者の介護が嫌だったから殺した」と言う自己中心的な殺人者のイメージをメディアに暴露する。
彼は虚言癖すらあるのか?
読者は彼に対するイメージの揺れの大波に揺られて、目眩すら感じることだろう。そこには、自分自身の先入見や判断も突きつけられる。