人気ブログランキング |

寡黙なる巨人

寡黙なる巨人

多田富雄、集英社文庫、2010、単行本2007

3274冊目


なんと、この本を読んで、著者による新作能「望恨歌」の上演があることを知った! 大抵、あちゃー、終わってんじゃん!と歯噛みすることの方が多いのに、ラッキー。しかもc席がまだ空いているという! 即予約。

https://wan.or.jp/article/show/8121


電話番号: 090-9676-3798

電話でしか予約できないみたいでスーーー。


1934年生まれということは、私の母、1930 年生まれより若いじゃないか。

2001年というからまだ67歳じゃないか! これからが人生と本人が思っていたというのもわかる。解説とも呼べない解説を書いている養老孟司さんとは東大病院の仲間だったという。免疫学の権威。


2010年没までの約10年、この本は脳梗塞で倒れてから、第一部は4ヶ月の入院生活、第二部はその後に発表されたエッセイなどで構成されている。


折しも2006年の「診療報酬改定」によって、リハビリを180日に制限する改革が導入された。それを超えるものは介護保険の対象となり、医療的なリハビリは受けられなくなる。


自らの中に「新しい人」が生まれていることを自覚していた著者は、猛然とこの改革に異議申し立てを行う。48万筆の署名を集め、厚生労働省と交渉する。267


日数を超えるリハビリには報酬の逓減制さえ導入する彼らのやり方を「国家的犯罪」と断じる。271


病を得て「生きる」ことに出会った著者の、中世の表現である能を通して、「先の戦争で強制連行されて死んだ韓国人が残した手紙を、彼の年老いた妻が読んで、「恨の舞」を舞うという反戦の能」で描きたかったこと。264


日本の侵略戦争がもたらした悲劇を、心から恥じている観世英夫さんの、凄まじいまでの贖罪の演技


は流石に望むべくもないだろうが、女性能楽師の表現は、楽しみだ。


その巨人は天皇制について、森鴎外の「祭るにますがごとく」になぞらえて、「神を祀るところに神宿る」という。その祭祀を司る存在が長らくあることも民族の心を豊かにしてくれるという。一方で、愛国心は育てるものではなく、生まれるものだという。文化や伝統の中で育ってくることで生まれるもの。


それぞれにナショナリズムに担がれた過去があることに警鐘を鳴らしながらも、民族の深みへの感謝は忘れない。


ま、でも、私は、今の天皇礼賛の雰囲気、不合理な元号の強制など、鼻持ちならないことが多いので、反対を言葉にし続ける。ないことにされてしまわないために。



by eric-blog | 2019-01-24 13:50 | ■週5プロジェクト2018
<< leggs 05 北九州市 人権研修 5時間研修 >>