日本の大問題 残酷な日本の未来を変える22の方法
荻上チキ、ダイヤモンド社、2018
3211冊目
22の方法ではあるが、問題は6分野。
政治、経済・福祉、外交、メディア、治安、教育
教育が「大問題」の一つに入れられている本は少ないので、嬉しい。
いまだになくならない「規律訓練型」アプローチ。「通学中心主義」その結果としての隔離主義、分離主義。定型発達を前提として、「異常」な発達障害を生み出している。220
一方で、「こどもの貧困対策法」によって、学校とソーシャル・ワークの連携が見えてきた。223
2017年施行の「教育機会確保法」など、新たな法律が提案されるときの議論にはフリースクールやホームスクーリングも義務教育に認めるとなっていたのに、法律が成立する頃には換骨奪胎。224
偏見がないでは差別は無くならない。理解が必要なのだ。
という問題提起の割には、三つの方法は穏やかだなあ。担任を増やすとか。混ぜるとか、「ブラック校則」廃止とか。かあ。
紹介したかったのは「政治」
社会活動を「地域利害型」「テーマ型」などと分類したことがあるが、ここでは、三段階が提起されている。(『すべての「新聞」は偏っている』にも提案されているらしい。)
第一段階の社会運動 共同体ベースの民族運動、宗教運動
第二段階の「新しい社会運動」。連帯する個人を主体とした運動。
第三段階、2000年代。「ポスト社会運動」瞬間的な動員力を持つ社会運動。「タグ単位」で運動が持続する。041
なるほど。
割とマイルドな、でもラディカルな提案に満ちている本です。というか、手立てよりも、問題を捉える視点がいいと思います。
ブラック企業は低成長とデフレの結果。働き方、子育て、外国人労働者に対する平等。
いまの外国人労働者、一号、二号など、さらなる線引きばかりを論じている限り、平等や正義が実現するはずがない。