傷口から人生。-メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった- 

傷口から人生。-メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった- 

小野 美由紀、幻冬舎文庫、2015

3200冊目


中学の頃の教員に再会した時に、泣かれたと言う。「まだ生きていたか。教員生活40年で、一番心配した生徒だった」と。


母親に反発してリスカ、リスカだと痕がつくので、注射パリを刺して血液を抜き、バケツに貯めて、目につくようにおいておく。しかし、深夜に帰宅する母が見る前に、祖母が片付けてしまう。そんなことを繰り返し、その戦いが周りからどう見られているかなど、眼中になかった。


学校でもリスカのことが知られるようになり、学級会のようなもので検討されるに至る。「自分のことを大切にして欲しい」とか、「かわいそう」と言って泣き崩れる優等生の姿に、「人のこと、ほっとけ」「関係ねぇーだろ」と、何も響かない。そこに、「キモいんだよ、トイレでリスカなんかしている姿」と運動系の女生徒が発言。そうなのか、こんな自分でも人の中で生きているんだと言う実感が湧いた。


など、中学の頃についての描写が秀逸だ。今、中学生を生きている人が読んでわかるとは思わないけれど、あの祖父母を殺してしまった中学生やら、自分のことで一生懸命なんだなあと、愛おしくなること間違いない。


何か、特別なものになりたいのに、何かになりたいのに、自分ではありたくない。自分は認められない。認めてくれない周りにイライラしているだけなのに。周りと同じ価値観で自分を見ていたり、その枠にはまらないことにイラついたり。

大学生の頃にはスペイン巡礼の旅へ。

と、就職に敗れて旅に出るまでぐらいの葛藤を描いている。


旅とは何か。


捨てること。


スペイン巡礼の旅は、何も考えずに「黄色」の矢印に従って歩くのみ。何も考えない。体重の10分の位置の荷物を担いで、歩く。そんなディーテイルを描いたのが、『人生に疲れたらスペイン巡礼』

 

書くことが自分の中に溢れて、滴り落ちて文章になる。のではなく、自分の中にあるものを文章にする。


いま、『メゾン刻の湯』を楽しみながら読んでいる。多かれ少なかれ、若い刻って、こう言うもんだよね。人とむやみに関わって、関わらなくなって。しっかり居場所あるように思っていた彼女は、どこに行っちゃったんだろう? とか、交差点の通行量が多い時代だから。


旅は捨てること。


わたし自身、大学時代はサイクリング部に所属していた。中央アルプスや九州縦断などの自転車旅行にも出かけた。本当にミニマムな荷物と駅前でも夕食を食べれちゃうサバイバルなライフスタイル。結果身についたのが、生活のミニマリズム。いいのか悪いのか、TPOにとらわれない。シンプルイズベスト。


『メゾン刻の湯』よかった。「自分を教育することに失敗している僕が」みたいな表現が刺さるなあ。教育ってそういう風に捉えられているのね。

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by eric-blog | 2018-10-23 13:29 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)
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