子どものための精神医学

子どものための精神医学

滝川一廣、医学書院、2017

3141冊目


基本ができていれば、応用できる。丁寧に基本から、というのがこの本の方針。とてもいい本である。


『されど愛しきお妻様』の鈴木大介さんが紹介する一節。


第一部 はじめに知っておきたいこと

ピアジェやフロイトの発達論なども、その限界と効用を含めて紹介する。


第二部 育つ側の難しさ

発達障害についての診断は確定しているわけではない。現在も、WHOと米国で異なる分類が採用されている。しかし、診断は手立てのためであるとするならば、ある程度の区分は役立つだろうと、著者はABCのカテゴリーで発達障害を分類している。


発達の方向を「認識」の発達と「関係」の発達の二軸で捉え、四象限に分類する。

認知が-で関係が+が知的障害。A

認知が-で関係も-が自閉症。B

認知+で関係が-がアスペルガー症候群。C


第三次産業という「ひと」との関わりが仕事になる産業に従事する人が70%を超えたことが、「C領域」の人々のいきづらさになっているのではないかということだ。265


第一次産業は「自然」、第二次産業は「もの」に対する知識があれば、寡黙に仕事に取り組めばよかったものが、「関係」の発達の遅れが「障害」となって際立ってしまう。


3部で取り上げられる子育ての困難は三つに分類されている。


現代社会は少年犯罪も減っており、「子育て」のレベルは格段に上がっている。


第一のグループは、家族の子育て力がアップしているがゆえに起こる問題群である。引きこもり、摂食障害、家庭内暴力など。305


第二のグループはレベルアップした子育てについていけない子育て失調家族。

315

ゆとりのなさが家族に子育て失調を引き起こす。ゆとりのなさを引き起こすものは五つある。

・経済的困難

・家族の不和

・疾病

・子どもの障害

・子育ての不得手さ


DVのカテゴリーとも通じるところがあるね。


3部の最後の提言はとても具体的だ。「子育ての不調」をなるべく初期の段階からフォローする。


年間出生件数はおよそ100万件。一日2750人の赤ちゃん。日本の産科施設数は5500だから、一施設二日に一名。深刻な養育失調が生じる確率を相談件数から推計して0.3%とすれば、そのうち6名がリスクをはらんでいる。それぞれの施設に1-2名、支援専門のスタッフを置けばフォローできる数字ではなかろうか。371


支援の継続システムが必要なのだ。



そして第四部は社会に出ていく困難さである。


子どものうつ病が増えている背景にも、子供への期待の変化を著者は上げている。


対人恐怖において「中間距離」が苦手というのも面白い。446


対人恐怖の症状が軽くなって、引きこもりになったのかもしれないね。と。


いじめのタイプの変化についても、よく分析されている。



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by eric-blog | 2018-07-12 12:20 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)
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