地球にちりばめられて

地球にちりばめられて

多和田葉子、講談社、2018

3137冊目


小説である。この「週5プロジェクト」では、小説などのフィクションはあまり紹介していない。読んでいないわけではない。と言い訳したりして。


1960年生まれで、1982年からドイツで活動してきたという著者。交差性を見事に描き出しているように思う。



小説の背景は、「日本」という国が消失してしまっている近未来という限りなく今。


アイデンティティについての物語。


日本人らしき主人公の一人は、北欧での生活が長く、「パンスカ」というスカンジナビアに一般的に通用する言語を作り出し、コミュニケーションに用いている。


「わかる日本語」などもそうだが、「パンスカ」もこぎみ良い。シャープに単語が並び、意味が通じる。


日本手話もそうだが、語順が大事。


言語のアイデンティティを解体してしまっている。


「日本人」と思われている寿司屋の職人が、実は日本人ではないことに出会い、言葉と国籍を結びつけることも不要であることに気づく。


不思議な物語である。


世界がいま、どんな状況にあるのかを描き出している。出自、属性、人種、国籍、言語の多様性の交差点。



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by eric-blog | 2018-07-05 10:37 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)
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