人類のやっかいな遺産 遺伝子、人種、進化の歴史

人類のやっかいな遺産 遺伝子、人種、進化の歴史

ニコラス・ウェイド、晶文社、2016、原著2014、改訂新版2015

A Troublesome Inheritance: Genes, Race, Human History

3119冊目


訳者解説が充実している。2014年の出版からものすごい批判にさらされ(そのことについては著者も「はじめに」で言及している)、改訂した。翻訳にかかっていた訳者(山形浩生)は改訂版を元にこの翻訳を仕上げている。著者は「改訂はマイナーなものである」と言っているのだが、訳者がチェックしたところでは、第9章「文明と歴史」がかなり大幅に変えられているという。そして、訳者は元々の「西洋はなぜ台頭したか」の削除された結びを紹介している。322


「西洋の台頭は、何やら文化的な偶発事などではなかった。それはヨーロッパの集団が、その特定の生態的居住地の地理的軍事的条件に適応する中で進化した直接の結果なのだ。・・・ヨーロッパの制度は、文化とヨーロッパ人の適応による社会行動の混合物だ。そしてそれがヨーロッパ人が革新的でオープンで生産的な社会を構築できた理由だ。西洋の台頭は単なる歴史上の出来事ではなく、人間の進化上の出来事でもあるのだ」323


まだ著者の「仮説」を支持するに足るだけの研究はない。というのが訳者の補足である。


西洋の技術について、引き合いに出されるのが日本だったりする。


「西洋科学は、技術の原動力だが、今でも他国に対して支配的なリードを保っている。日本の科学が現代化の完了後には手強い相手になるという期待はあったが、こうした開花は起こっていない。・・・中国が主要な科学列強になれるという保証はない。」273


「科学は・・・転覆的なものだ。東アジア社会は恭順性と上司への敬意を極めて重視するが、これは科学が花開く土壌としてあまり肥沃なものとはいえない。」274


8章は「ユダヤ人の適応」。ユダヤ人のIQの平均も高いのはなぜか、ノーベル賞受賞者数などの検討だ。



■参考文献

銃・病原菌・鉄 13000年にわたる人類史の謎

https://ericweblog.exblog.jp/17741666/

暴力の人類史 

https://ericweblog.exblog.jp/21126468/



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by eric-blog | 2018-06-12 12:17 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)
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