規制の虜 グループシンクが日本を滅ぼす

規制の虜 グループシンクが日本を滅ぼす

黒川清、講談社、2016

3113冊目


3.11に連なる原発事故は人災であり、「Made in Japan」日本固有のものだった。


それが国会事故調をリードした委員長、黒川氏の結論である。


志が低く、責任感がない。この本の出だしである。


個人で判断しない、論理よりも協調を優先する、単線路線の年功序列の官僚および官僚的組織。そういったものが原子力産業を蝕んでいる。その結果としてのあの事故だった。


国会事故調が活動したのは7ヶ月、201112月から翌年6月にかけてである。


20回の委員会の全てを公開し、記録も閲覧可能とし、600ページもの調査報告書をまとめ、そして出版までした。


7つの提言」をまとめたが、国会でそれに対して答える様子もない、と著者は指摘する。


この本は、国会事故調の活動そのものの記録である。国会事故調法に則って設置、活動が行われた「憲政史上初めての、国会が独立して設置した委員会」の体験は貴重であるとの判断からだ。


独立的な委員の選任

情報セキュリティへの配慮

予算の確保

具体的な活動内容 (4参照, p.105)


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スリーマイル島事故調査のケメニー委員会のレポートを参考にして、地元の委員も入れた。委員長も入れて10人。そして、調査総括。委員それぞれが課題を持って調査し、そのために調査協力員をそれぞれ3-4人を選任。

海外視察のアポイントは外務省を通さない。徹底して行政、官僚からの独立を貫いた。


しかし、現実には、国会にも政府にも、事故調の責任は軽んじられていく。


2012131日、政府は原子力組織改革法案等を閣議決定した。89


提言を待つことなく、である。


後日談にいう。

福島第一一号機原子炉建屋内部への調査を申し入れた時、「現場は真っ暗」と拒否された。しかし、その後、ある程度の明るさはあることが判明。嘘だったのだ。109


国会事故調は「津波前に非常用電源が地震で破損」としたのに対し、規制委員会報告書の「津波で配電盤が浸水したことが原因」が日本の公式見解になってしまった。109

この時も、すでに解散してしまっていた事故調の委員に、規制委員会の地夕刊報告を送りつけ、「現時点で異論を受けていない」と説明したという。解散している組織の責任を個人に負わせて、自らの結論が違っていることの説名責任は果たさないというやり方を、田中俊一委員長率いる原子力規制委員会はとったのだ。しかも、そのやり取りの表に立っていたのは、原子力規制庁次長という官僚であった。111


部分最適しがちな日本社会の力学。155

責任ある立場にある人たちの逃げの姿勢を「仕方ない」と受けてしまう。155


「単線路線のエリート」は問題を先送りにしがち。156

他人事なのだ。


異論を言いにくい社会。160

グループシンク 集団浅慮(しゅうだんせんりょ)


『なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか』2014年を書いた宇田左近氏は、事故調の調査統括を務めた人だ。161


宇田氏は言う。「常に周りを慮って、自分の意見が持てない、と言うマインドが形成され、それに慣れてしまうのは、3歳以前の早い年齢からだ」と指摘している。167

幼稚園からでも、もう遅いとと言うのだ。


自らが陥っている同調圧力の罠にこうするには、意識して、自分の頭で考え、本当に自分が選びたいのは何かを見極める、選ぶ訓練が必要だと言うが、


日本企業の服従文化。


学校でも、社会でも、自分の頭で考えるのを心がけ続けるのは大変だ。



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by eric-blog | 2018-05-22 14:34 | □週5プロジェクト2018 | Comments(0)
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