日本人はどこまでバカになるのか 「PISA型学力」低下
尾木直樹、青灯社ブックス、2008
3110冊目
発想の転換ができない日本の詰め込み教育を踏襲している新学習指導要領。2011年度実施。
2020年から実施される新学習指導要領の一つ前のものについての批判であるから、そのままでは読むことはできないが、2007年に出されたPISA調査の結果に対する論調そのものに、すでに「知識偏重教育」への回帰を求める「ゆとり教育批判」があったことは「素人の床屋談義そのもの」53という指摘はその通りだと思う。
不思議である。PISAが求めているのは知識ではなく、知識の活用なのであるから。「指揮者の認識の浅さ」というのは全く同意。
学力論争にも「交差性」の概念が使えるのではないかと思えるほどの、「基礎基本」「知識」そして、「応用」というような「段階論的発想」。
いま、目の前に、三年生にして九九で落ちこぼれている子どもがいる。これまで何時間の時間を費やしてきたのだろうか。もう、四年生になったら、手遅れである。子どもの感性が全く変わってしまうからだ。すごいお年頃だねぇ。
この子たちが、PISAのような問題にも取り組めるようになるなんて!
それは段階的であるかもしれないが、その段階段階においての充実感や熱中、集中は必須なのではないか。
何れにしても、教育は素人談義のはびこる領域であることは間違いない。
フィンランドの教育改革は「教える」から「学び」へ、管理から信頼、信任へであるといえる。学校に任されているのだ。今、日本がより管理的になっているのとえらい違いだ。
2007年に、日本に住むフィンランド人による教育についての本が出た。『平等社会フィンランドが育む未来型学力』(ヘィッキ・マキパー、明石書店)
そこからの引用で、13の特徴。
1. 教えることから学ぶことへの転換と通知表のない小学校
2. 子ども参加の学校づくり
3. 休暇がいっぱいの学校生活
4. 少ない授業時間に通学時間制限
5. 学校と家庭の協力効果
6. 義務教育から大学院まで完全無償
7. 地域間格差のない学校教育
8. 競争と差別のない平等な教育
9. 教師の専門性の高さ
10. 学校が社会参加を育む
11. 自治体ごとに運営される教育制度
12. 学校委員会の活動
13. 就学前教育制度
2020年度からの新学習指導要領では
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/30/1234773_001.pdf
言語活動
理数教育
伝統文化
道徳教育
体験活動
外国語
の6点が「改善事項」となっている。
伝統文化やら道徳やら、うちむきだよね。基本。にも関わらず、小手先でPISAの順位だけはあげたがる。