レインツリーの国
有川浩、新潮社、2006年
3058冊目
日曜日、東京都中途失聴・難聴者協会主催の講演会に行った。そこで伝えられたことと同じことが、この小説には書かれていた。すごいなあ、小説家の取材力と構成力。
講演会聞くより、この本読んだ方がいいんじゃない?
主人公は高校生の時に事故で聴力を失った女性と、健聴者の男性。
中途失聴者にあることとして彼女は「手話」はできない。
聾者には「手話」は自分たちの言語という気持ちがあるから、それ以外の手話を認めないという排他的な気持ちが、中途失聴者のような「中途半端な」手話者に向けられることへの違和感も感じたことがある彼女。
そのことを主人公(男)は「ハンデがあるとフラットになるのは難しい」と指摘する。
ハンデのせいで、健聴者に対して底意地の悪いところのある彼女に、彼は自分の傷つき体験で切り返す。って、あんまり意味ない、不毛なことのように思うけれど。
でも、それで彼女は自分が意固地になっていることに気づき、反省し、県庁舎の男性と難聴の女性の結婚はうまくいかないというデータを超えて、「二人が降りるところまで一緒に行こう」という男性の提案に乗ることを決意する。
これまでは長い髪で隠していた補聴器が周りの人に見えるようなショートにも挑戦するという変化が初々しいなあ。
この本、誰に紹介されたんだっけかなあ。手話講習会でだっけ?
うん。でも面白かった。作者が「あとがき」も書いている小説としては珍しいスタイル。「図書館戦争」シリーズが有川浩さんの元々の路線なのね。たぶん、読まなさそう。
レインツリーとは英語でネムノキ。その花言葉は?
英文のタイトルがつけられているのだが、「World of Delight」 歓喜の国。
いいね。