いとの森の家
東直子、ポプラ社、2016
3055冊目
『異空間の俳句たち』に紹介されている俳句と、「おハルさん」を介して主人公が出会う。
https://ericweblog.exblog.jp/238393492/
四年生の女の子が、福岡の山の中、海を見はるかすことができる高台に、更地を切り開いて立てた家に引っ越してくる。
自然豊かな村で、店といえば農協の一階しかなく、クラスは各学年2クラスだけの学校。
少女は同級生と友達になり、おハルさんという女性とも知り合う。
おハルさんという人は、死刑囚と交流するという活動もしている人。
著者が子どもの頃に体験したことが、博多弁での会話も入れて、紹介される。
自分が体験したことなんかに人は興味を持ってくれるだろうかと、ウェブマガジンで連載したところ、出版にまで繋がった。
死刑囚の俳句と主人公らが出会うシーンが鮮烈なのは、ご本人も歌人であるからだろうか。夢に出てきた死刑囚の母親だという幻。
芥川賞を受賞した『おらおらでひとりいぐも』も方言の描写が豊かだった。
どこかに根ざしたいという気持ちが、これらの本が受け入れられ、歓迎されることの背景にあるのだろうか。
日常と非日常の影も、共通しているなあ。