ガイサンシーとその姉妹たち
班忠義、梨の木舎、2006
3051冊目
映画
http://www.jca.apc.org/nashinoki-sha/idea/sisou&bunnka21.htm
慰安婦に対する性暴力に対して、こんな冷たい見方をする人がいるんだなあ。
http://movie.maeda-y.com/movie/00886.htm
著者であり、監督であるある班忠義さんとの対談が収録されている。
『記憶せよ 抗議せよ そして生き延びよ 小森陽一対談集』シネ・フロント社、2010
1992年に来日した万愛花さんとの出会いの衝撃から、山西省の現地を尋ねて、事実を見たいと願った。実現したのは1995年。
とてつもなく不便な、鉄道の駅からも、その先のバスの終点からも遠い場所。
そのことが報道された時、中帰蓮の三重県支部の人から、まさかそんなことがあったはずがないという電話があったという。その人、山本泉さんとは2002年に、熊野に本人を訪ねて初めて会い、話をきく。
蓋山西で一番綺麗という意味でつけられた彼女の名前。万愛花さんが「候冬蛾さん」として、一緒に来るはずだったと紹介した彼女は著者が訪ねた前年に亡くなっていた。病死なのか自死なのかははっきりしない。
彼女たちの話に共通するのは日本軍に協力していた手先の中国人の存在だ。日本軍が村に作らせた傀儡組織である「維持会」が関わっていることもあったし、「黒腿」などと呼ばれる傀儡軍のこともあった。
木坂隊長やキバ隊長など、彼女たちが知り得ている情報だけからでも、本人を特定することができるだろうに、日本政府はそういうことをしてこなかった。彼女たちは名指しで、「わたしに謝れ。なぜあんなことをしたのか」と謝罪を求めているのだ。
いわゆる「慰安婦」という戦時性暴力被害者に対して、日本政府が加害者を特定し、個人的にでも謝罪をさせた、あるいは罪を認めて処罰したという話を聞かない。
中帰連で、そのような取り組みでもやったのだろうか?