東の果て、夜へ
ビル・ビバリー、早川書房、2017
DODGERS、2016
3046冊目
解説の諏訪部浩一さんが指摘するように、この小説は「犯罪小説」であるとともに「ロード」小説であり、そして「少年の成長物語」である。
第一部 犯罪
第二部 東へのロード
第三部 定職
息つく暇もなく、読み切ってしまった。
読み終わった時、そんなに急いで読まなければ良かったと思った。
結末がいい。
15歳の黒人少年は、31歳の母親と13歳の弟がいるが、「家族」らしいことなど経験したことがない。
第3部で定職を得て働いている先の社長と星を見て、「オリオン座って知っているか」と尋ねられ、星座の存在も知らないこと、家族でクリスマスのディナーを食べたこともなかったことが、わかってくる。15歳の少年の経験に欠けているもの。
しかし、少年はこれから探して行くのだ。自分の経験すべきことを。自分の意思で。
カズオ・イシグロの小説論以来、「なんで三行でわかることを延々読まなきゃいかんのだ」と思うものばかりだったが、これはいい。思わず、「週5」で紹介してしまうほどだ。