小水力発電が地域を救う 日本を明るくする広大なフロンティア

小水力発電が地域を救う 日本を明るくする広大なフロンティア

中島大、東洋経済新報社、2018

2983冊目


こちらの本と合わせて読むのがベスト!

『水力発電が日本を救う 今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる』

竹林公太郎、東洋経済新報社、2016

http://ericweblog.exblog.jp/237919908/


日本に一年間に降る雨や雪の位置エネルギーを、全て水力発電で電力に変換されると、7176kWhになると試算されている。98


小水力発電(出力1000kW以下)で開発できるのは全国数千箇所、合計100kW程度と、著者は試算している。年間発電量で言えば50kWh程度。日本全体の電力消費量の1%


資源エネルギー庁の数字を見てみよう。


平成299月の電力需要は803kWh

新電力は85kWh,11%程度。

http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/results.html


2016年度の速報値はこちら。

http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/stte_023.pdf

  • 発電電力量は1506kWh。発電電力量の構成は、再エネが15.3%(前年度比0.8%p) 原子力が1.7%(0.8%p)、火力が83.0%(1.6%p)

部門別消費内訳は運輸23%、家庭14%、企業・事業所63%

1990年から比べたら、「農林水産鉱建設業」は消費エネルギーが半減、2005年から比べても3割近く減少している。全体に占める割合は2.8%でしかない。


農山村にとっては、エネルギー自給は大きな意味を持ちそうだ。


しかも、「成熟経済の時代に、求められるのは多様な人材。」


「山の暮らしで育った人たちが増えることは、必ず私たちの社会に安定感を生んでくれます。」20


そして、小水力発電を開発し、山間地の地域社会を継続させることは、様々なタイプの人が生きられる多様性に富んだ寛容な社会につながると。


こういう意見を読むと、実はちょっと暗澹たる思いがする。どれだけの山暮らしの知恵をわたしたちは失ったことかと。ま、でも、遅すぎることはないか。

Better Late than Never.

いつでも、ここから、これから。なりたい未来を創ること。


なりたい未来のジクソーパズルのワンピースに、小水力がある。300ピースくらいのパズルかな?


山暮らしの知恵だけではない。小水力発電には、地元の建設会社が不可欠なのだ。いま、公共工事、道路建設などで生き延びている悪名高き、とわたしなどは思っているのだが、竹村さんも指摘するように、これからの日本は新規建設よりも「メインテナンス」なのである。道路と水路の両方のメインテナンスに、小水力はぴったりのアイテムなのだ。


実は、明治時代、日本各地に水力発電所ができたのだ。まだまだ石炭が高価であったため、水力発電と送電網の整備が産業革命を担っていた。それはアメリカに遅れること5-10年であったという。 150


これはすごい。


特に村落電化に力を発揮したのが小水力だった。


ヨーロッパでは戦後も生き延びた村営発電所。日本では全国を九つの電力会社で区分けするなどの流れの中で、やめるように指導があったという。159


誰だ、そんな指導をしたのは?


それから60年。著者が進めてきた「分散型エネルギー」による地域づくりが、やっと始まったというべきか。


なんだかなあ。1980年代に、すでに気づいても良かったのに。なぜ、舵をきれなかったのかなあ。


残念ではある。が、その間にも、小水力の事例は増えてきている。それで元気になった地域もある。そういう事例、サクセスストーリーも紹介されている。


また、実務の面にも第6章が割かれている。手頃なハンドブックだ。


小水力は地元の会社も村落も含めた人材ネットワークが続かないと続かない。

だから「地域を元気にする」のだ。


しかし、竹村さん、そして中島さんが「救う」とタイトルをつけていることをリスペクトして言うならば、


小水力は自ら助けるものを助ける。そういう天からの贈り物なのだ。


■加藤純子さんによる書評

https://brevis.exblog.jp/27138212/



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by eric-blog | 2017-12-26 11:56 | ■週5プロジェクト17 | Comments(0)
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