オキナワ島嶼戦争 自衛隊の海峡封鎖作戦
小西誠、社会批評社、2016
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与那国島に監視部隊その他200人、石垣島には対艦対空部隊を含む600人、宮古島にも800人、奄美大島に600など、本島への旅団3000人などが配備される増強計画である。
しかし、2016年3月28日に運用開始が報道された与那国沿岸監視隊は、8月に訪れた著者による調査段階でもまだ工事中にしか過ぎなかった。
宮古島では巨大レーダーが住宅地からわずか数十メートルのところに建設されている。電磁波の影響が心配されると著者は言う。16
米国とともに自衛隊が構想しているのは「海洋限定戦争」、東中国海の風さ、中国軍の封じ込めだ。自衛隊主体の作戦。
もし、島嶼防衛戦争が勃発したら、先島諸島は「標的の島」となる。27
自衛隊は、これらの地域における反対運動の強さを理解できないでいる。
与那国島の弾薬庫の大きさは、今後の拡大を思わせる。33
これらの施設の設置に、嘘が塗れている。38
現段階としては、弾薬庫を置かない、とか。安心させる言葉がならぶ。しかし、自衛隊の構想全体を見れば、今後、どのように展開していきたいかは明らかだ。
いま、なぜ、石垣島の人々が反対しているかがよくわかる。軍隊は嘘をつくのだ。
与那国島の人口 2000人 人より馬の方が多い? 高校がないため、3月末に転出が多くなる島。
宮古島 5万4000人
石垣島 4万7000人
輸送も鍵となる。
住民の反対運動は激しい。しかし、この本で解説されているような防衛構想を読む限り、戦いは続くのだろう。国家の計画に対する反対運動が。そして、それは共謀罪の対象となり、監視と弾圧が継続することとなる。
著者の現地調査は反対する市民の会とともに行われている。そして、住民たちは著者から自衛隊、ひいては国の防衛計画を知る。騙されないように、しっかりと建設計画を監視していくことも重要だろう。しかし、一方は公務員として、予算を受けておこない、一方は市民運動でそれをするのだ。
昨日、『ラオス 竜の奇跡』を見た。
http://saynamlai.movie
日本ラオス友好60周年を記念して作られたという。1960年代、まだ内戦が続いていたラオスにダム工事でやってきた日本人青年と、現在、そのダムができた時代を知る若い女性が、タイムスリップしてダムに沈む村で出会うというのがメインのストーリー。
村の人々はダム建設に反対だ。龍神様が怒ると心配する。川とともにいきてきたのだからと。
しかし、ダム建設成功の結果を知る若い女性は言う。話し合って説得すべきだと。
村の生活を厭い、街に出ている彼女自身も、村の人々の思いに触れて、村の生活を見直すことになる。
国家計画の前に住民の思いは、無視されるよなあ。
2017年7月17日 東京新聞
■沖縄関連動画などFBで紹介されていました。マキシ好一さんより