大卒 無業女性の憂鬱 彼女たちの働かない・働けない理由
前田正子、新泉社、2017
2808冊目
2010年から甲南大学教授。関西出身だが、大学、職業と東京で過ごし、久々に関西エリアで働くことになり、様々な驚き体験からこの本をまとめることになった。
コウナンと聞けば、甲南女子大学と思ってしまうし、本の内容も女性の問題なのだが、所属は甲南大学である。逆に、女子大の方が、就職支援や自立などのメッセージがはっきりしているのかなあと、ホームページを読みながら思った。
知らなんだ、知らなんだ。大阪が共稼ぎが少ないなんて。「男は外、女はウチ」なんていう価値観がつよくて、職場の女性管理職も少ないなんて。最低賃金が低いので、特に大卒女性はパートに出るのもバカバカしいくらいだなんて。しかも、職業選択の幅が狭いなんて・・・
ドオーーーリで、「大阪撃沈」するはずだ。こんな社会風土なのなら、撃沈してしまえ。
とはいえ、わたしの身の回りでも、未婚既婚に関わらず、「働いていない」「働けない」女性だらけだ。病気や体調もあるが、40代、50代まで社会経験なしできたら、ほとんど社会参加の道は閉ざされているに等しい。
高級住宅街で、ちょっとしたカフェや雑貨店が開店しては消えていく現象も紹介されている。親が金を出して起業するのだが、続かないのだという。
うーーん、自営もダメかあ。
トコロテンで出世する男社会の裏がこれだということ。
しかし、憂鬱になるのは本人達だけではないはず。
20歳から64歳の単身女性の3人に一人が貧困だという。
さらにその中で、「大学教育」という社会資源をつぎ込んだ人の数が少なくないとなれば、何か根本的にこの社会がおかしいと、思わざるを得ないのではないか。
それは「女は結婚すればいいから」と甘く考えている本人達の意識がどのように形成されてきたかも含めてである。
ただね、単純労働ややりがいのない仕事というのは、これから先も少なくなるだろうから、人間の労働そのものも考える必要があるとは思うけれどね。
遊びをせむとや生まれけむ。
面白い時代だなあ。