人気ブログランキング | 話題のタグを見る

逆うらみの人生 死刑囚・孫斗八の生涯

逆うらみの人生 死刑囚・孫斗八の生涯
丸山友岐子、インパクト出版会、2017 
2705冊目

辛淑玉さんの解説が秀逸だ! 「書かれているのは、若き日本人女性丸山友岐子の自己主張の記録である」!

この本が書かれたのは1968年、そして70年、81年、93年と出版されている。
丸山さんは1981年の「死刑をなくす女の会」の立ち上げに関わっている。その時、この箸にも棒にもかからないほどの明示的殺人犯人であり、反省の色もない死刑囚との交流体験は、どう影響したのだろうか。

孫が在日であったことは切り離すことのできないものではあるが、「在日だから」と説明できるようなところは、多分どこにもない。それほどに彼は強烈な個性である。

獄中で勉強し、そしてその知識でありとあらゆる告訴を、減刑運動を展開するのだ。すごい生への執念。それは死刑当日まで変わらなかったようだ、記録にはないようだが。

再び辛淑玉さんの解説より。彼は「フーテンの寅さん・在日版」なのだと。
逆に、フーテンの寅さんに被差別の色が全くないのが、その職業や土地柄から考えて不思議であるとも。

丸山さんがこれを書いたのは29歳。子どもを抱えて執筆活動をしていること、おっちょこちょいで色々なことに首を突っ込んでいること、などなど。こんな人でなしの死刑囚に関わってどうなるという忸怩たる思いなどがつらつら書かれている。だからって「自己主張の記録」とまで言われるかあ。

なんで4回も再版されるのだろうか。思わず読んでしまったが、うーーん、である。日本のチェスマン。海外にも同じような人がいるんだなあ。これはこれで、人生の励みになるなあ。暇な死刑囚の一念岩をも通すというところか。
by eric-blog | 2017-02-13 14:37 | □週5プロジェクト16
<< 見てる、知ってる、考えてる ERIC NEWS 528号 ... >>