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阿片帝国 日本

阿片帝国 日本

倉橋正直、共栄書房、2008

2692冊目


『日本の阿片戦略』1996年は、大阪府三島町で始まった阿片栽培の実態や台湾や韓国での生産と取締りの現状を中心に調査の結果がまとめられている。調査報告書の様相が強い。


『阿片帝国』はそこにさらに、密売問題、満州国における阿片政策、台湾における専売制の問題について、すなわち、生産流通に関わる政策的な問題についてさらに調査研究の結果が紹介されている。


拓殖大学三代目学長であった後藤新平は『漸禁論』によって、阿片を専売制にすることで、阿片吸引を限定することで漸次的に阿片吸引を無くしていこうとしているように見えて、専売制を敷き、特定の商人に取り扱いを限定し、価格を高く設定することで、専売収入を増加させている。145


中国本土におけるモルヒネ類密売よりも、その人道に悖る性質は見過ごされてきた、と著者は指摘する。145


また、モルヒネ密売は、日本が中国に対して領事裁判権を持っていたために、日本人の密売が目こぼしされたのだ。


実効性のない阿片撲滅の政策で、国際条約ハーグ阿片条約の批准を有名無実にしていたので。180


明治時代の日本の発展を支えたと言われる絹織物産業、それに加えて「からゆきさん」からの仕送りと阿片があったと著者は指摘する。


製薬会社との関係も、まだまだ掘り起こせばあるのだろうなあ。




戦争と日本人 日中戦争下の在留日本人の生活
倉橋正直、共栄書房、2015

日中戦争後、中国における日本人の暮らしや行動についての記録。
by eric-blog | 2017-01-23 13:26 | □週5プロジェクト16
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