「心」と戦争
高橋哲哉、晶文社、2003
2647冊目
いまこの時代をどう見るか。と問われたら、心と戦争と答えると始まるこの本。
教育は、戦前戦中の国民精神を作り出すことに決定的な役割を果たした。
国家神道を布教する宗教施設のようなものだった。御真影、奉安殿、日の丸、君が代、教育勅語のセット。
学校と軍隊は「ディシプリン」の権力、「規律=訓練権力」の代表的装置と言えるから。15
この本が書かれた2003年。
国旗国歌法=1999年
住民基本台帳法改訂=2000年
学習指導要領に「愛国心」=2002年
教育基本法改訂=2006年
有事法制の検討
『心のノート』=2002年
執筆者の名前がない。
2年間で11億円をかけて作成された道徳教育教材。
2014年には全面改訂され「私たちの道徳」となって、小中に配布されました。
予算は単年度で10億円。
合わせて、道徳教育の教科化は、小学校では2018年度、中学校では2019年から始まる。
通知表で愛国心を評価することも、すでに2002年には行われている。福岡市。
1997年の日本会議の設立以来、5周年の記念大会2002年の決議。3
・憲法改正
・教育基本法の全面改訂
・国立追悼施設計画の阻止
・道徳心涵養の国民運動
2002年、日米共同訓練に対する抗議集会に対して、松川正昭総監が中止を要求。戦後生まれ初の総監。127
1999年新ガイドライン。周辺事態法。
軍備増強、脅威拡大の悪循環。
在日への暴力増加。146
すでにこれらのことが2002年に言われていたのだ。
そして、2003年、国立大学の独立強制法人化。
13年で、ガラガラとここまで来てしまった。
『小さいおうち』の著者である中島京子さんは言う。
「戦争はおもしろい」のだと。これは警告である。
https://15plus.jp/2016/10/31/nakano-3/
ささやかな幸せと工夫と美しさのある日常の向こうに
戦争があるのに、それは、なんだか「ワクワクドキドキ」するようなエキサイティングで心踊るような、遠い物語でしかない。
今もそうなのではないかと、中島さんは警告する。
http://imidas.jp/column/L-73-014-16-11-G652.html
「いま起きていることを知ること。批判的な目をもって見えないものを見ようとすること。 不健全な「空気」に乗せられないこと。そうした努力をしなければ、私たちはいつか大切な「小さいおうち」さえ失ってしまうかもしれない。決して声高ではない中島さんの言葉から伝わってくるのは、そういうことではないかと思う。」