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江戸川区立二之江中学校 第二回全体研修会 2016年9月2日

江戸川区立二之江中学校 第二回全体研修会 2016年9月2日

4月28日の見学会の報告はこちらから
http://ericweblog.exblog.jp/22739934/

今回はなんと、福島県郡山市の中学校二校から、(偶然らしいが)見学者がいた。また、導入のきっかけとなった時に校長をしていた方もいて、過去を知るいい機会になった。

【公開授業について】
1年2組 理科 「身の周りの物質とその性質 密度」 35名
授業者は中堅男性。後の全体会で紹介されたが、二之江中学校ではすでに8年目で、長い方の方。週3回の理科の時間の一コマである。

■すすめ方
最初、ビニール袋にシューとスプレー缶から気体を吹き入れる。ビニール袋はフワリと上がっていって天井に張り付いた。
「おおおおーー」
いまどきは、簡単に水素ガスの缶が買えるんだなあ。で、これは前回学んだ気体の重さについての復習を含めた確認。
つまり、「水素<空気」がわかったということ。こういうことも板書しないんだなあ。この辺りで確実に「不等記号」について、落ちこぼれるだろうに。中学校の「板書計画」杜撰すぎる気がする。一回言ったらわかっているという感覚なんだな。
水素はH2だから、周期表にある物質の質量から計算することができる。

ワークシートの配布。

テーマ1 水素は空気中で浮く。
「酸素、窒素、二酸化炭素、アンモニアはどうだろうか」
データを元に予測しなさい。

13:00 四人グループになる。グループが決まっているのは第一回と同じ。席替えはランダムに行うようである。

すごく暗い顔をした女子が目についたが、この生徒については全体会の時に、永島さんが「恨みのこもった眼をした生徒が数名いた。それは他のクラスでも同様だった。」と指摘した。すごい表現だなあ。今回、永島さん、かなり挑発的なもの言いをしていた。教員の方々に響けばいいのだが。

教員が「索引とか、目次さかを参考にしてね」と。

グループ討議はなし。それぞれが資料種、教科書を開いて探している。グループの機能としては、まだ開けていない生徒に教えてあげる、ぐらいか。

13:05 「席を戻してください」

教員、全体共有の進行役に。

「何ページ?」「資料集145ページ」
「他には?」「教科書95ページ」
「他に気がついた人?」  とても低調。ほとんど指名。

13:08 「空気より軽いのは?」「水素」「わかっていることだけれど、確認ね。」「次に軽いのは?」「アンモニア」「次は?」「窒素」「記号は?」「N2」
「いちばん重いのは?」「二酸化炭素」「後、残ったのは?」「酸素」
「数字を見ていけばわかるね。データで分かる」
記号と不等記号で、結果を板書。

テーマ2 いろいろな物体を水に入れたら沈むだろうか、浮くだろうか。

13:12 「四人組、代表者1名決めてください。」「とりに来て」
ほとんどが男子。
「まず、トレイに入っているものを確認してね。」
生徒たち、思い思いに触る。
「データ、資料集・教科書を使って予測しなさい。」

ワークシート、右側に記入欄。表の左列に10種類がリストされている。真ん中の欄は「浮き沈みの予想と根拠」、右の欄が「結果」である。

並びがわからん。アルミニウムが四種あるんだが、並んでいない。混乱させたいのか?

栓が二種類。プラスティックも二種類。

栓はゴム栓。誰かが「お風呂の栓」と身近な例で考えた。これが水に浮くと困るよね、と。

もう一つの栓はプラスティック製で、手に取ると軽い。

なんと、資料集には「プラスティックの見分け方」というコラムがあるのだ!
楽しい! えーー、身近なプラスティックで、水に入れてもいいものってないかな。やってみたい! 

そうなんだあ。プラスティックを見分けることは、とっても大事なことなんだ。
基本、「燃やす」方法。
http://www.plastic.co.jp/knowhow/distinction.html

こちらは「水に浮くか沈む」が第一段階。資料集と同じ。
https://www.aist.go.jp/science_town/dream_lab/dream_lab_05/dream_lab_05_02.html

「ペット・ボトルと荷造りバンド、フィルム・ケース、クリア・フォルダーを、実験がし易いように、同じ大きさに切ってみました。」

浮き沈みは「比重」の問題ということも指摘されています。

なんて、寄り道している場合じゃない。

生徒は、ほとんど「根拠」を記入していない。

教科書・資料集を閉じて、話し合ったり、触ったりしているグループもある。

13:25 「○1を書いてください。その後実験です。」

13:40 「では、終了です。」
「裏切り者はどれだった? 予想を裏切ったものはどれでしょう。」
「竹」「沈んだ」「裏切られた人?」多い!
「じゃあ、後は?」「緑の栓」「ゴム栓は沈んだのに、この栓は浮いた」
「数字は便利だねぇ。浮くか沈むかを考えるのに数字が役に立つ。」
「気づいたことも、書いてね」
13:45 終了。

【授業検討会】
14:00から

個別の班や個人に焦点を当てたふりかえりが面白いのであるが、例えば、水泳部の顧問をしている教員が、授業での様子を見たいと思って見ていたり、他の授業でみていて気になる子を見ていたりしたようだ。

基本的にとても落ち着いたおとなしい学級。

話し合いはあまり活発ではないが、実験(水に入れる!)になると積極的になる子、きらきらする子がいたことは確か。

しかし、実験を「なぜ」につなげるのが難しいと感じたのは、わたしだけではなかったようだなあ。

女の子を育てたいという意見も何人かから出た。リードしてくれるので。

■永島さん講評

「高い課題」の方が実力差が出ない。「低い課題」ではできるできないが際立つ。
例として「6月の3年生、ふりこの授業」の様子を写真で示す。

「フリコの支点の移動によって、巻き付く条件を予想する。」

「片付けなさい」の声かけの後から、始まった。これまでグループ活動に参加したことのなかった生徒が始めたので、担当者は感激していた。

授業開始から5分がゴールデンタイム。浮いたビニール袋をみんな見ていた。

何を恨んでいるのか知らないが、恨んでいる眼をしている子がいた。

2年生になったら、増えている。

コの字型の時、発表するのは圧力がかかる。聞き手の人数でプレッシャーは変わるから。

小学校3年生まではふたり作業で十分。4人にしても、何をしていいかわからない。

先生の手順に反したことをやり出した時に学びが成り立つ。

やりながらでないと考えられない。

二之江中学校の原点がゆるんできている。
行事や部活による生徒指導が実をむすばない。授業外では無理という事態があり、コの字型の取り組みが始まった。一人ひとりが大切にされていることを実感すること。
原点回帰しよう!

■グループ討議
「コの字型は何のため?」
「四人グループは何のため?」
見学者の人は、その教員の四人組の討議状況を見ていてください。

■永島講評
コの字型の効果は20ほどあげられている。
しかし、7-8割の人はこのじ型で一斉授業をやっている。
東アジアの学校の特徴だと思うが、40人だからコの字型にしている。20人なら、コの字型はいらない。先生のまわりに集めるため。

英語の授業で、一人が音源を聞きながらシャドウイングを行い、それを聞きながら「穴埋め」課題に残りの三人が取り組むという実践がある。順番に。
グループに一つずつ音源があることで、自由に止めることができる。

自分が大切にされている教室の中で、問題行動は起こし様がない。

【かくたの気づいたこと・感じたこと・学んだこと】
■「恨んでいる眼」の生徒は気になった。そのグループは資料集や教科書を開かずに話し合っていた。
■ワークシートの作り方が気になる。比較するものはまとめて並べて欲しい。わたしなら、実験は各班二つずつぐらいに絞るなあ。「分担させる」ひょっとすると予測の段階から分担式でもいいかもしれないが、そうしたら班からの共有の時に、聞かないかなあ。
なんでみんなが同じことを経験させないといけないと思うんだろうか。
プラスティックの見分け方に取り組むグループ
栓の違いを考察するグループ
アルミ箔の「密度」に着目するグループ
竹と木、木の中でも「鉄木」などもあるとおもしろい。密度だよね。
沈むのは「重さ」ではなく、比重。
面白い課題なんだけどなあ。

■教員の集団があきらかにできて来ていて、「狎れ」が感じられる。こりゃだめだな。なぐさめあっている雰囲気。高めあっている雰囲気ではない。なぜだろう?
集団ができたおかげで、緊張感がなくなっている。ふだん、どんな会話をしているんだろうか?
■グループ討議の時の、表情がいやだ。そして、その表情は、生徒にうつっている。
形だけ、やっている。互いの意見から学びあおうとしていない。聞く姿勢ができていない。
■大変だなあ。学校全体で同じ方法論に取り組むということは。
■『「アクティブ・ラーニング」を考える』の中に東大の「構造的ジグソー法」というのが紹介されていた。グループで課題をやり、別の課題をやった人で次の課題ミックスグループにして、共有するというやり方である。
■『We203号』に、石川晋さんが書いている。「学びからの逃走」が都市部ではないここでも起きている。コミュニケーション、コミュニティからの逃走だ。行事で子どもたちの関係性が育たなくなった。団結力を高め、信頼関係を醸成し、学級づくりに直結した姿はもうない。
子どもたちの生活の大半が授業であることを考えれば、授業と学級づくりとの連動を真剣に模索しなければならないというあたり前の結論に到達する。
授業改善に本気で取り組むしかない。
by eric-blog | 2016-09-09 11:42 | ☆よりよい質の教育へBQOE
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