裁かれる現代医療 スモン・隠れた加害者たち
高橋晄正・水間典昭、ちくまぶっくす、1981
2577冊目
わたしが市民運動について、最初に目を開かされた人が、この著者である水間さんである。情報収集、被害者へのよりそい、運動の構築と継続、どれをとっても学びだった。
スモン患者、キノホルムの投与によって引き起こされた薬害被害である。
神経がやられ、下半身麻痺や失明などの症状を伴う。
薬害・公害・職業病としてキノホルムという化学物質による人体破壊の特徴は以下のようなものである。
A. 永久破壊 B. 全身破壊 C. 人間破壊
SMON Subacute Myelo-Optico-Neuropathy 悪急性脊髄視神経神経病
1950年代から症状が出て居たにもかかわらず、1972年になってやっとキノホルム剤の服用が原因と特定されるに至る。69
1958年の最初の報告から10年以上。500名以上の死亡と一万人以上、推定3万人の被害者を出した。
1969年には会社は知っていた可能性もあったという。71
SMONという症状が特定されてから原因までの間に、感染やウィルスなどの原因が出されていた。
薬害の構造的な加害行為を水間さんは三つに整理している。133
科学技術、医療の現場
経済構造 医療の供給、医薬品の生産流通、
権力構造 厚生行政や医師会
下痢にきく薬ごときで、人生を奪われるか?
春本幸子さんの発症1968年から3年。
神経系の障害は、外からは見えにくく、それだけに配慮もしてもらえないことが多いのだという。
原因が特定されるまでのつらさとと惑い、迷いは深いよね。
化学物質過敏症にも通じるね。