東京千円さんぽ
散歩の達人MOOK、交通新聞社、2011
2452冊目
たった五年前、デフレの影響か「千ベロ」「千飲みバー」などの特集が雑誌をにぎわせていた。デフレの中でも楽しもうという工夫もあったし、みんなが収入が減っていることを共有もできていたのだろう。
いま、格差社会が広がる中、「千円」というキーワードは消えてしまった。
わたしは社会的基準で言えば、貧困女性である。
しかし、別に構わない。20代後半で「月10万円」で生きることを選択したので、自分のことを貧しいとは思わない。一時、それ以上の収入を得ることがあったが、金融商品などに手を出さなければならないのではないかというような強迫観念から、かえって心の平穏は乱されていたように思う。
いま、社会全体がそのような強迫観念に叩き込まれているように思う。「もっともうけなければ」「お金を活かさなければ」、金利がマイナスになった以上、人々はそわそわと金融商品に誘導されていくだろう。これからは「オレオレ詐欺」「かあさん助けて詐欺」が高齢者をねらうのではなく、金融商品、投資が高齢者の金をねらい、そして投資の失敗のつけを彼らが払うことになるだろう。かけてもいい。
もはや資本主義経済圏に生きるものとしては「冷温停止」状態を目指したいわたし。
千円というのは、一週間に一度の外歩きとして、とてもいい。
それでも税金は8%とられるのだけれど、それもできれば避ける方法も編み出したい。
千円使えば、千の縁が紡がれるのではないかと思うのです。わたしと「千縁」さんぽしませんか?
【谷中千縁さんぽ】